番外編 湖照らされし閃光
ここは……あるジャングルを抜けたところにある、巨大な岩石群。
そこに、俺は……盗賊が足を踏み入れる。
この“巨大岩石群”は、難攻不落のダンジョンだった。
何故過去形かと言うと、ある探検家がここの謎を全て解き明かしたからだ。
ただ、誰にも教えてはいないがな……。
じゃあ、何故知ってるかって?それは秘密だ、絶対に言えない。
それにしても、すっかり寂れたなここも……。
「さて、入るか」
俺は周りに警戒しながら、ダンジョンを進む。
そこで、何匹かのポケモンが飛び出してくる。
それを俺は切れ味抜群の“リーフブレード”で斬りつける。
血飛沫が少しだけ上がるが、急所ははずしている。
「こんな格好いいことを言っても意味が無いな……あいつは元気にやっているかな……いやいや、今は任務に集中だ」
そして、再び前に進む、だがここは複雑な形なので、一日かかってもここに眠っている“あれ”を見つけれるかは解からない、
それでも見つけなければいけないほどの貴重品、いや世界を救う為のキーアイテムか。
キーアイテムの時点で見つけなければいけないけどな……。
「中腹には近いな……さっさと行くか」
俺は電光石火並の速さで走る。これも種族柄だな。
それにしても、本当に何も無い所だな。
あるのは無数の岩石と、狂ったポケモン。
しかも、そんな中でも正常なポケモンもいるのだから驚きだ。
何故に普通に社会に溶け込まないのか不思議だ。
「ここはもう中腹か……早いな」
ここが案外短いだけなのだが、迷路がそのデメリットをカバーしているのをこのポケモンは気付いていない。
「早く進まなければ……あの連中がここまで来たら厄介だ。この前も記憶を失わせるほどの衝撃を与えなければならなかったからな……」
そして、そのポケモンは急いで奥地へと向かって行った――。
〜☆〜
「ここが……奥地なのか?」
今、ポケモンがいるのは白い岩石が周りにある場所……奥地らしき場所だった。
「いや……ここが中腹と言ってもいいか……さて、先に……」
「グォオオオオ!!」
「?」
ポケモンが進もうとすると、両方対極にある岩からコドラが四匹ずつ出てきて、そして真ん中の地面から……。
「貴様、何者だッ!!」
ボスゴドラというポケモンが出てくる。
「俺は……盗賊だ」
そして、先手必勝といわんばかりに“リーフブレード”で斬る。
が、それは鉄壁によりあまり効かなかった。
「ならば……“エナジーボール”」
今度は鉄壁の効果が及ばない“特殊攻撃”のエナジーボールを撃つ。
それは見事に何匹かのコドラに当たる。
「むん!メタルバースト!!」
ボスゴドラも負けてはおらず、今まで受けたダメージをそっくりそのままエネルギーを撃つ“メタルバースト”を放つ。
「“高速移動”そして……」
ポケモンは高速で移動すると、ボスゴドラの後ろに回りこみ……。
「“エナジーボール”」
「ギャァア!?」
そのままボスゴドラは倒れ、俺は残ったコドラにこういった。
――死にたくなかったら立ち去れ。
そして、まだまだ続く迷路に、俺は苦戦していた。
あの後はあいつらが逃げて行った、終わり。
……あまり話すのは好きじゃないんだ。勘弁してくれ。
「ここか……」
俺は右と左に分かれている場所に着くと、あの言葉を思い出す。
『肉眼で見える道だけが、道ではない』
前……か。俺は進んでいく、まっすぐ、壁に向かって。
そして、俺の体は……溶け込むように入っていく。
抜けきって、目に入ったその場所は……。
「鍾乳洞……?」
鍾乳洞だった。
「とりあえず進むしかないか。それにしても不思議だな……うん?」
俺が進んでいくと、そこには宝箱があった。
好奇心に駆られた俺は、空けてみる。
するとそこには、巨大な目があった。
「これは……?」
「出て行け……」
「喋った……という事はポケモンか?」
「出て行け……」
「ならば簡単だ。“リーフブレード”」
「……ぎゃっ!?」
宝箱からは血飛沫が少し上がり、形が崩れていく。
その姿は、ピンクのスライムのようなポケモン……メタモンだった。
「なにを……ここで眠っておけ。番人は……嫌いだ」
「ぎゃっ!?」
止めに“エナジーボール”を撃つと、俺はその更に奥へと急ぐ。
その速さは“迅速”といっても過言ではない。
「見つけたぞ……」
そして、エメラルドに輝くそのキーアイテム、周りの湖が反射してより美しく、幻想的なソレを目の前にして俺は言った。
「――見つけたぞ、二つ目の……“時の歯車”!!」
その光に映し出されし姿は、殺気溢れる“大怪盗”だった。