ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












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第四章 未来からの彗星
第三十三話 無慈悲な暴虐
ふと聞こえた謎の声――。
それがなんなのか、解からずにとにかく隠れるも、意味は無さそうなので俺達は中央に移動する。
そして現れたのは、“ライボルト軍団”という者達が現れて――?







〜☆〜

「ら、ライボルト……軍団……?」

「なんだ?こいつら……」

「とにかく、逆上させてはいけないね」

(確かにな……)

恐らくあの取り巻きのラクライたちは、護衛のような物だ。……恐らく、後ろにはもっといるだろう。

「……ボソッ(水のフロートだけが目的だ。俺達が縄張りに入ったんだから……な)

「……ボソッ(解かったよ。私も無駄に傷つけるのは嫌いだもん)」

見事に二人、ラルドとミルの意見は一致する。
その時シルガが結構な音で舌打ちをしたのは気のせいだろう。

「じゃあ、化け物二人組みは別に分かれて。ラルドとミルはコンビネーションが信じられないぐらいあってるから、僕とシルガは囮に、君達は頑張って取り返してくれ」

「後、一つ忠告だ。ひよっこ」

「なんだ?」

シルガの口から、ラルドに対しては信じられないぐらい相性最悪の言葉を放つ。



――電気技は吸収されるからな。



〜☆〜

今しがた俺は絶対に拙い事実を言われた。
なに?電気が吸収される?

「これは……かなり無理な感じが否めない……」

苦笑しながら言うも、これはかなりやばいです。
周りは十匹のラクライで正に完全防御、奥はライボルトの絶対攻撃。

――これは一秒の決断が死ぬかどうかを決める。

「でも待てよ?グラードンには効いたんだから、当然ライボルトにも……」

「超帯電≪ボルテージ≫したら危ないよ?それに生半可な電撃じゃ逆にパワーアップさせちゃうし」

「ほ、本当かよ!?」

これは非情だな、少しは慈悲の感情をだなぁ……。

「無慈悲としか言いようが無ぇぜ」

電撃を使わないで置く方法はあるんだけどなぁ……これは後の楽しみだ!!

「さぁ、“水のフロート奪還作戦”、開始だッ!!」

「「「――おぉっ!!」」」







〜☆〜

ラルド命名、“水のフロート奪還作戦”が合図と共に始まる。
それにしてもラルド大丈夫かなぁ?

さっき思いっきり焦った顔してたし、本当に拙いのかなぁ?

「でも……数が面倒だね。いくら俊足の種を服用しても、前に進めなかったら意味が無いよ」

「“メガトンパンチ”も結構痛いしな……今まで“雷パンチ”は痛くなかったのに」

実はエネルギーなどを纏う攻撃は、使用者のダメージも最低限軽減している。
だから自分自身のフルパワーで相手を殴るメガトンパンチなどは反動が凄い……らしい?

――実際、よく解かってないしね。

「それにしても、本当に倒しても霧が無いね」

「……シャドーロアー……あれを拡散させる事は?」

「あれ自身でもエネルギーの調節難しいんだよ?シャドーボールを練り合わせて、光線状に飛ばすだけでも死ぬ苦労だよ」

まぁ、ラルドがいたからこそだけどね。

「だからここまで頑張れた……あ、ラルド!」

「ああ、“メガトンキック”!!」

いつのなったらこのライボルト軍団たちを全部倒して……あれ?

そういえば、さっきからライボルトが全然動いて……ない?
……待って?ラルドは帯電したら蓄電量が限界を超えるらしい。
だとしたら……!

「まさか……ッ」

「どうした?ミル」

「ちょっと足止め頑張って!ライボルトが……“パワーアップ”しちゃう!!」

「パワーアップって……?って、おい。待てミル!!」

私はラルドの制止を聞こえぬふりをして、俊足の種+電光石火で高速で走る。

早く行かなきゃ……ッ。

「いたっ!」

ここは出し惜しみしてる暇は無い。丁度ライボルトは気付いてないらしい。
だったら……ここでエネルギー温存のためにボスを少なくとも気絶状態にしないか、今ここで出来るだけ傷つけずに気絶させるのなら……今がチャンスッ!!

「お願い。あまり傷つかないで……“シャドーロアー”!!」

「もう少しで……ッ!?」

ライボルトに向かっていく紫の光線は、ライボルトが直前で避けた事により少し当たっただけで済んだが、それでも気絶量のダメージを受けたと思う。

「少なくとも、充電は止めれたかな……?」

そう、ライボルトが止まってた理由は“充電”だ。
動くよりも動かずに溜める方が効率がよい。
だから援護射撃もせずにずっと後ろにいたのだ。

「偶々気付いてよかった……?」

ミルはライボルトがいた“はず”の地面に目をやる。
だが、そこには既にライボルトはいなかった。

「移動して……まさか……後ろに……?」

「よく気付いたな。小娘」

「や……っぱり……」

「その観察力、是非スカウトしたいがな……残念だがもうだめだ」

今、パチッっていう音がした。
恐らく電気を溜めて……。

「じゃあな。小さな愚者」

「――ッ!!??」

「これが我の無慈悲だ」

「きゃあああ!!!」

少女は真っ白な光にと爆音に包まれながらも、真っ黒な闇と無音の世界に意識が飛んだ――。







〜☆〜

僕は今、何十匹のラクライを倒している。
これは本当に厄介だ。いや、面倒だ。

実際この程度の強さなら百匹いても化け物二人組みで倒せる。
でも――ライボルトがどこかから奇襲を仕掛けるかもしれない。

「どこから……ッ?」

僕はもう奇襲前提で辺りを探りながら、僕はエナジーボールを地面に当てたりして、爆風で攻撃する。

「フィリア。あいつは動いてないぞ」

この時、僕の耳がピクッと動いた。
実際は耳は隠れてて見えないけどね。

「波動かい?」

「波導ともいえるな」

「活字でしか解からない訂正やめてくれ……」

「実際、探知機能は“波導”の方が優れている。だから俺はこっちをいつも感じている」

ポケモンの波を導く――それが一つの波導。

「次は攻撃などに向いている、所謂戦闘用の“波動”だ」

動く波……なるほど、確かに言えてる。

「しかも充電もしている……これは確かに拙いな」

「えぇ!?」

「――しかもミルが既に近づいている」

「ほ、本当……?」

と、言った突如の事だった。
雷鳴が辺りに響いた――?

「これは……?」

「ミルがやられた……あいつは咄嗟に少しの守るで致命傷は防いだようだがな」

「……ミルッ!!」

僕はそれを聞くと同時に走り出した。



――ミル、無事でいてくれ……!







〜☆〜

どうしたものだろうか。
ミルが突如いなくなると同時に、奥のほうから雷鳴が響き渡った。
でも、ラクライたちは吸収しなかったな……避雷針のはずなのに。

「ちっ、それにしても厄介なのはここの電気だ……静電気が増幅しちまう」

「お?そこにいるのはひよっこピカチュウのラルドか」

「ん?おぉ、へっぽこリオルのシルガ君か。久しぶり」

「「……うざい」」

ここからはあまり覚えてなかった。
多分、これは喧嘩の騒動のついで……ではなく無意識に体が反応していたらしい。
まぁ、俺の電気を感じる能力で気配もくそもないけどな。

「はぁ、やったか……?」

「いや、後二十匹はいるはずだが……この周りに」

「それにしても、あいつらどこに……」

「あいつらなら……」

シルガが口を開こうとした瞬間だった。

またもや雷鳴が鳴り響いた。

「なんだ!?」

「間に合わなかったか……」

「あっち……」

(拙い……このまま行くと……)

素越すの不安を胸に若干帯びるも、“波動纏装”をして向かった――。



〜☆〜



ラルドがそこに着くと、そこには――

――ボロボロになった二人、ミルとフィリアがいた。

「な……んだよ……これ?」

「くそっ、これは……あまりにもおろかだぞ……」

「ん?そこにいるのはさっきのチビ共か」

「お前は……!」

そこにいたのは、少しの電気を帯びたライボルトだった。
否、電気を帯びているのではない、残っているのだ。

さっき発射した大量の電撃が。

「お前……まさか」

「そうだ、我々の領域に踏み入れたので少し制裁をな……」

「ふざけるなッ!!」

「ふざけてはいない。本気で……殺った」

「ッ!?」

嘘だろ……?

俺は、また傷つけて……あれ?
なんか……全く同じ様なことがあったような……。

あれ?

「我々の領地を荒らすからこうなる。そうだなぁ、今のうちに恐怖を植えつけてやろう!!」

「……」

(ちぃっ、厄介な事を……ッ)

「さて、我の無慈悲を教えてやる、終わるのだ!雷……」

直後、ライボルトの雷が直撃した。

避雷針では吸い取りきる事のできない、自然と言うポケモンでは出せない出力の雷を。

「かはっ……なにが……?」

「……お前、今さっき無慈悲って言ったよな……」

ラルドは血が少し垂れた口を拭ってこういった。

「なら俺が……無慈悲な“暴虐”ってのを教えてやる」

その形相はまるで悪鬼修羅の如くだった――。



次回「正当な暴虐」

■筆者メッセージ
すいません、間が滅茶苦茶に開いてしまいました!!
この身をもってしても償いきれません……本当にごめんなさい!!

後、暴虐はぼうぎゃくって読みます。
果たして、この後ラルドは……?

次回「正当な暴虐」もよろしくお願いします!!
ものずき ( 2012/08/28(火) 00:15 )