ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












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第三章 謎と遠征のクロス
第二十七話 時を護りし湖
今、俺は非常に優勢だ。だって、解放と言う特殊能力を使えるようになったのだ。
当然、そんな俺にグラードンなんて敵じゃない……じゃなくて、やっと互角になれた。
しかもなんだよ。可笑しいよ?目がエメラルドグリーンになるなんて。
……と言う事で、俺達は今、逆転劇が始まるのであった。







〜☆〜

「行くぜッ!!俺達の逆転劇!!」

「フィリア、エナジーボール」

「なんで君が僕に指示を……しょうがない。エナジーボール!!」

「私も、目覚めるパワー!」

二人の技がグラードンに直撃する。
グラードンは一応遅いので、殆どの攻撃が直撃する。

――でも、なんでさっきから動かないんだ?

「グ……ォオオオオ!!!!」

「うわぁッ!?」

グラードンの爪に紫のエネルギーが纏ったと思うと、その爪を俺達に向かって振り下ろす。
それは、驚異的な破壊力だった。その爪が直撃した岩が大破したのだ。

「これは……”ドラゴンクロー”!?」

「ビルドアップも積んである……これは驚異的な破壊力だぞ。気をつけろ。奴の攻撃が全て強化されている」

「うん……じゃあ、あの作戦を実行するしかないね」

「作戦?」

なんの作戦だ?いや、多分俺のいない間に考えたんだろうな……。
……そういえば、なんか新しい技でもやってやろうかな……。

「おい、ラルド。これをグラードンの口に入れろ」

「ん?これは……邪悪な種?うわぁ、絶対にこれを食べさせたらお前らにオクタン殴りにされるな」

「そんな当たり前の戯言をぬかすな。ほら行け」

「へーい、じゃあ保険と言う事で……”超帯電≪ボルテックス≫”!!」

刹那、ラルドの体が碧く光りだす。
帯電を超えた帯電……超帯電状態になったからだ。

「行くぜ……高速移動!!」

「グガァアアアアアア!!!」

ラルドは高速移動でグラードンの前まで移動する。
グラードンも負けじと”ドラゴンクロー”をラルドに向かって放つが、バックステップで避けられる。

「はい!邪悪な種!!」

「グガッ!?」

グラードンの口に邪悪な種を無事入れ、俺は置き土産に電撃連波を放つ。
しかもなんか電撃連波の数が五つから十つのなってたし……。

「ふん、作戦は成功か……行くぞ」

「了解、合体技……」

「「ボルトウェーブ!!」」

ラルドが放った広範囲の電撃波に、シルガが衝撃を加える事によって電撃の波ができる。
その波にグラードンは足をとられ、転ぶ。

「今だッ!」

「解かってるよ!一々命令しないでくれ!!」

「フィリアも相当お怒りだね……行くよ、”シャドーセリエス”ッ!!」

「ソーラービーム!!」

二つの技は寸分狂わずにグラードンの顔に直撃する。
シャドーセリエスの方は高い技術が必要だが、それは置いといて。

「グォオオオオ!!!!」

グラードンも”ドラゴンクロー”で迎え撃つ、が力負けしてしまい、結局直撃する。

「これは……邪悪な種だけじゃない。まさか……お前ら猛撃の種を!?」

「戦場では、一手も二手も先を読む方が勝ちだからな……今からあのグラードンの動きを止める。お前は今もてる最高の力で、あいつを倒せ」

「了解……超帯電。チャージ……」

シルガの言葉を信じ、ラルドは電気を溜める。
その姿はより碧さが増し、神々しかった。

「行くぞ、グラードン……接続≪コネクト≫!!」

「グギャアアア!?」

突如、グラードンが喘ぎ声を上げる。
恐らくエスパータイプの技だろうが……リオルはエスパータイプの技は覚えない。

「何が起こってるの?」

「……もし二人の言ったとおりに、あのグラードンが偽者で、念力かなにかで創られたのなら……その念力を妨害できたら、グラードンを消しは出来なくとも、動きを止められる……全く、凄いよあの二人は」

フィリア達も後ろでエネルギーを溜めている。
万が一の時の為に、ラルドが攻撃すると同時に自分達もする為に。

「グゥォオオオオ!!!!」

「行け!時間が無い、お前達もだッ!!」

「元よりそのつもりだよ……ミル」

「解かってるよ!ラルド!!」

「ああ、グラードン、俺達の全力を喰らえ!!」

瞬間、ラルドが両手を翳し、そこに巨大な電撃の塊が出来る。
フィリアは新緑と猛撃の種を掛けて、ソーラービームを放とうと。
ミルは口が黒く光り、発射口をグラードンに向ける。

そして……。

「行くぞッ!!雷撃弾”シース”!!」

ラルドは巨大な電撃の塊を、

「倒れろッ!!”ソーラービーム”!!」

フィリアは最大威力のソーラービームを、

「これで最後だよッ!”シャドーロアー”!!」

ミルはシャドーボールをビームの様に放ち、それぞれの技は全て直撃する。
さしものグラードンもこの猛攻には耐えられずに――倒れた。

「お、終わったの……?」

「確かめてみるか?波動弾」

「ちょッ!シルガ!」

「……どうやら、本当に終わったようだね」

フィリアのその言葉と共に、俺達は脱力する。
だって……あんなに苦労したんだぜ?

「そういえば……なんでグラードンに雷が通用したの?」

「解放はそれぞれで特徴が違う。どうやらラルドの場合はタイプを無視できるらしいな」

「いや、他にもなんか体のエネルギーが尽きてないとか……」

「へー、あれだけの威力の技を放っても、まだ解放は解けないんだ……」

ん?そうなのか?まだ解けてないの?
っていっても、鏡もなにもないから……あ、そうだ。

「ちょっとミル。目を見せてくれ」

「ふぇ!?な、ななな、なんで!?」

「いいから」

そして、俺はミルの目を見る。
思ったとおりにこいつの目は鏡の代わりになる……。
って、うわっ!?本当だ。まだエメラルドグリーンの儘だ……。

「いや、解放は解けてるぞ。只単にお前の目は本当はエメラルドグリーンじゃないのか?」

「いやいや、そんなはずが……そういえばなんか力が抜けてきたかも」

「翠色の瞳のピカチュウって珍しいね。でもちょっとさっきより薄くなってるよ?」

「ああ、本当だね。でも珍しいね」

「……そういえば、グラードンはどうなって……」

ラルドがグラードンへ振り向いた瞬間、辺り一面が光に包まれる。
そして、光が収まると……グラードンはいなかった。

「えっ!?」

「グラードンは幻影だ。それより……本体であるユクシーは?」

「……隠れても無駄だ。生き物は必ず波動を出す。感じれば……そこだ!」

「――念力」

シルガが俺達の後ろに波動弾を放つ。
だが、それは念力によって相殺される。

「……やはりいたか。記憶を操ると言われるポケモン……ユクシー」

「はい。あなた達の戦いは見せてもらいました。そこのピカチュウがいきなり強くなったのは疑問ですが……そんな事はどうでもいいです。あなた達の記憶は消えてもらうしかありません」

「え?ちょっと待ってよ!」

「さよなら」

そういうと共に、ユクシーの目が光る。
それを見た瞬間、不思議な感覚に襲われたが……。

「なにも……起こってない?」

「なっ……!?」

「……ユクシーの記憶を消す能力は目と目を合わせ、特殊な念力で相手の脳を操作するからだ……逆に言うと、その念力を妨害すればいい……それだけだ」

そういうシルガの体は蒼く光っている。
恐らく波動で妨害したんだろうな……。

「ゆ、ユクシー!聞いて!」

「野蛮な探検隊に貸す耳などありません。即刻立ち去ってください!!」

「私達は確かに霧の湖を探しにきた!それは確かだよ。でも……でも、あなたがもし霧の湖を見てはいけないって言うなら、私達は遠征を中止する。プリルなら解かってくれるからね」

「……そんな嘘に……」

ユクシーは知識を司るポケモンと言われている。
このように自分を騙そうとする言葉も、全てお見通し。

「まぁ、無理に話さなくても良い。時の番人だから……な」

「ッ!?あ、あなた。いつどこでその情報を?」

「俺は知っているが、こいつらは知らないぞ?大丈夫だ。”話す”気はない」

「……解かりました。着いてきてください」

半ば脅しに近い形で霧の湖へ来る事となった俺達エンジェル。
そして、霧の湖に着いて――。



――霧の湖――



「ここが……霧の湖?」

「そうです。ここが……霧の湖です」

「へぇ〜……ん?なんかあそこにあるよ!翠色の……ラルドの目と同じ色だね」

「噴水かなんかの中だよな?蒼い……歯車?」

なんか、あれを見たら心がうずうずしてきた……何故だろう?

「あれは……時を護る物です」

「時……!まさか……」

「そうです。あれは――時の歯車です」



次回「遠征終了」

ものずき ( 2012/08/07(火) 19:36 )