ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












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第三章 謎と遠征のクロス
第二十五話 地神の強さ 仲間の絆
今、俺達は非常に拙い状態の中にいる。いつものようなギャグなどではなく、ましてやピンチだが安易に切り抜けれるような状態ではない。
それほど強いのだ、伝説の大陸ポケモンは。
『神』と崇められるポケモンよりは格段に弱いが、それでも強い。それも並大抵のポケモンなら、そこで土に埋まるほどに。
そんな伝説の大陸ポケモンを、俺達は……?







〜☆〜

「おいおい……これはちょっと拙いぞ……?」

「伝説との対決は、それ程の強さじゃなきゃダメだよ。多分、今の僕達では10分の1の力でも……土に埋まれるよ」

「……(こいつは……なにか可笑しいな。体から波動が出ていない……?)」

何か戦うような展開になってきているが、俺達は戦わずに、普通にここから逃げるため……。
って、アレ?シルガさん。なんでいきなり波動纏装してるんだ?おい馬鹿止めろ!!

「先手必勝だ。見てろ、『波動連弾』」

「グォオオ!!」

シルガは先手必勝で、波動連弾を放つが、それはグラードンの切り裂くによって文字通り切り裂かれる。

「貴様らは何者だッ!?いきなり攻撃するとは、敵か!?」

「やっと喋ったよ……俺達は探検隊エンジェル。この奥にある【霧の湖】を探しに……」

「グォオオオオ!!!やはり貴様らも物欲に身を任せた者達か!ならば覚悟しろッ!!グォオオオオ!!!!」

グラードンはいきなり怒りだすと、さっきのように、『マッドショット』を撃つ。
だが、これも守るにより、完璧に防がれ……はしなかった。

「きゃあっ!?」

「ミル!?そんな、守るを破るなんて……」

「さっきは遠距離からの攻撃だったからな、恐らく威力が落ちていたのだろう」

あれでも高威力だったのに……だけど、弱点も発見できた。
あいつの弱点。それは……。

「鈍間だって事だ!『十万ボルト』!!」

「グヌッ!?」

グラードンはいきなりの技に驚くが、直にマッドショットの溜めにはいる。

「なんだ?この余裕……って、あれ!?十万ボルトが全然効かない!?」

「ラルド!こいつは地面タイプ、電撃は効かないよ!!」

「じゃあ、これはどう?」

ミルの周りに水色の光の球体が現れる。この技は……目覚めるパワー!

「行くよ……目覚めるパワー!!」

「僕も、エナジーボール!!」

「グォオオオ!?」

グラードンの弱点の二属性の攻撃は、グラードンの体力を大幅に減らした。
それでも大ダメージではないようだった。

「これでもダメか……?」

「でも効いてるはずだよ、もっと攻撃を続ければ……!そうだ、あれを使えば……ねぇ、フィリア」

「なんだい?……ふむ、それは大ダメージを期待できそうだね」

「指示は私が出す。行くよ……『シャドーピンボール』!!」

ミルが技名を放つと同時に、紫色の弾が複数現れる。
そして、それに続いてフィリアも複数のエナジーボールを現す。
それは、まるで緑と紫の弾が、踊っているかのように……。

「行くよ……ラルド!アイアンテール使える?使えたらシルガと一緒にグラードンの気を引かせて!!」

「ああ!解かった!!グラードンこっちだッ!」

「舐めるな……ッ!?」

「遅い、遅すぎる。今宵の血は疼く。俺の生贄となってもらうぞ……『波動纏装……」

シルガは技の溜めを終えると、神速でグラードンの顔に跳躍し……。

「解放≪バースト≫』!!」

シルガの周りに纏う蒼い光が消えると同時に、、強力な波動の衝撃がグラードンを襲う。
それは、グラードンを怯ませるには十二分な威力だった。

「今だ!ミル、フィリア!!」

「うん、解かった。行くよフィリア!」

「うん、ミル。僕達の合体技……」

「「紫翠跳弾ッ!!」」

瞬間、ミルとフィリアのエナジーボールとシャドーボールが合体し、そこら中の壁に跳ね返る。
それは怯んだグラードンに近づいていき……。

「無防備だよ。グラードン」

「チェックメイト、だよ」

瞬間、紫翠跳弾が全て直撃し、グラードンは倒れた。

そして、そのまま動かない事十秒……。

「お、終わった……?」

「いや、油断はするな」

「解かってるよ。ミル、フィリア。大丈夫か?大活躍だったな。お前達」

「ああ、疲れたよ」

グラードンを倒した『気になり』、すっかり和みムードになるエンジェル。
だが、何故かさっきから続く異変があった。

「それにしても……暑いな」

「うん、直射日光が当たってるような……」

「……まさか!ミル、ラルド、シルガ!まだあいつは倒れていない!演技だ!!」

「へ……?」

瞬間、グラードンがその体ではとても無理そうな素早さで起き上がり、ミルに、向かってマッドショットを放つ。それはいきなりの事で、ミルも反応が出来なかった。

ただ、その中で一人、物凄い速さで反応した者がいた。
その者はミルをマッドショットから庇う。
自らの弱点と知りながら……。

「ラ……ルド?」

「へ、へへへ……大丈夫……そうだな」

「うん、私は大丈夫……って、ラルド、何?その赤いの……」

確信してかもしれない、解かってたかも知れない。でも、信じたくなかった。
それは……。

「血……かな?ははっ、意識が無くなってきたかも……」

「ラルドォ!!」

見たくない、見たくないよ……。

そんな考えが脳裏を過ぎる。
だが、そんな事を考えてる暇は無い。

「フィリア、シルガ。ちょっと待ってて。お願い」

「ミル……解かった。シルガ」

「ああ」

二人はグラードンの気を逸らすべく、攻撃を続ける。

ラルドは私を何度も救ってくれた。助けてくれた。
だから、いくら泣いても仕方が無い。
今度は……私の番。

「今度は……私がラルドを助ける番だ!!」

そして、ラルドの意識は、この言葉と共に深い闇へと消えて行った――。



次回「解放」

ものずき ( 2012/08/04(土) 14:47 )