第二十四話 赤き地の化身
ここは名前が解からない、とにかく謎に包まれた洞窟……。
ただ俺は、あまりにもの熱さと、なのに水がある事から、【熱水の洞窟】と名づけた.
まぁ、俺が勝手に付けた名なので、当然誰も知らないわけで……。
とにかく、俺達は今、非常に面倒な事態に陥っていた。あ、敵的な事じゃねぇぞ?
〜☆〜
「暑い……熱い……二連続あつい……」
「寝るな!フィリア、寝るなよ!体が溶けるぞ!!」
「いや、むしろ動かない方が良いんじゃ……」
「とにかく、これを使えばいいんじゃないか?」
最初から事件が起きているエンジェル。
今日も元気に探検……なんて気分ではなく、非常に深刻な問題になっている。
だって、この暑さと熱さだぜ?俺でも死にそうだけど、フィリアは草タイプ。特別に暑さに弱い。
つまり、どういうことかって?
……こいつが発狂するんだよ。
「うわぁああ!!もう暑い、もう熱い!!」
「活字でしか使えない表現はするな!!後、エナジボール乱射するな!!」
「きゃ!ヤンヤンマとかブルーに直撃して……あ、倒れちゃった」
「俺の話を聞け!全く……しょうがない。『雨玉』!!」
シルガは半ば呆れ、面倒くさいのだろうか、一つの解決策を『砕く』。
それは光りを噴出し……雨雲となった。
「うわぁ!雨だ!土砂降りだ!」
「土砂降りではないが……こういう自体を予測して、他にも日照り玉などを持ってきた」
「あ、俺。寒いの苦手……」
「ふん、ならば。霰はいかがだ……?」
「やめなさいっ!!」
こんな状況でも、こんな風になれば緊張感も消えるこのチーム。
それがいざと言うときに、役に立つのかもしれないが……。
「って、ありゃ?ガルーラ像がある?」
「と言う事は、もう中腹に着いたんだね……そういえば、さっきより冷たくはなったね」
「不思議だ……。この先はさっきより冷たくなっている。蒸し暑くもなっているが……」
「じゃ、もっと楽に行けるの?」
確かにそれはありがたい……俺は暑いのも熱いのも苦手だからな……。
「ねぇ、ラルド」
「なんだ?」
「自分に目覚めるパワーって……撃てるかなぁ?」
「鏡とかに反射させればいけるんじゃないか?それともあの『シャドーピンボール』と同じ様にすれば?」
「そっか!ありがとね、ラルド」
その後、ミルが氷付けになって動けなくなり、溶けるまで運んでいくという事件が起こったという。
――熱水の洞窟(ラルド命名)最深部――
遂にやって来た熱水の洞窟、最深部。
ここはさっきよりも格段に涼しくなっている。
やはり、この奥に今回の目的、『霧の湖』があるからだろうか?
それにしても……。
「さっきから……地鳴りとか叫び声が相次いで聞こえてくるよな」
「もしかしたら、グラードンがいたりして」
「やめてよぉ!!」
「いや……奥に念力の結晶のようなものが……っ!伏せろお前ら!!」
……ん?なんだいきなり大声をあげ……って、うわぁあ!?
「なんだぁ!?」
「守る!」
「咄嗟の判断力もついてきたか……」
「これは……泥?さっきのは弾丸みたいな威力だったぞ……?まさか、『マッドショット』?」
マッドショット――泥を塊にし、弾丸のように放つ技。
ちなみに、普通のポケモンではこの威力はない。少なくともこの威力は伝説×同タイプでは無理だ。ミルの『守る』に見ただけで解かるような『皹』を入れたのだから。
「も、もうすこしで砕け散りそうだったよ……」
「これは……おいフィリア。盛大にフラグたてやがって……」
「すまない、これは……あまりにもの予想外だったよ」
「来たぞ。あいつが……」
瞬間、地震が起こる。技ではないので、俺はダメージを受けない。
が、逆に考えると、恐らく足で地面を踏んでこの威力……地震を使えば、この洞窟は崩れそうだった。しかも……それを引き起こしたものは、赤い体に、いかにも強力な爪。更に圧倒的な体格を持った伝説のポケモン……グラードン。
そのポケモンが、圧倒的な体で、圧倒的な強さを見せ付けるような『雄叫び』をあげた。
「グォオオオオオオオ!!!!!!」
まるで、世界が終わるかの様な大咆哮を……。
〜☆〜
所変わって、ここはグラードン像前。そこには、プリルとドクローズの面々がいた。
「睨めっこしましょ、笑うと負けよ♪」
「……ヒソヒソ(兄貴、いつまで睨めっこ続けてるんですか?)」
「……ヒソヒソ(解かってる!ええい、こうなったら。毒ガススペシャルコンボだ!!)」
「……ヒソヒソ(了解)」
プリルはいつもの無邪気な顔でドクローズと接する。
自分が攻撃されようとしている事にも気付かずに……。
「おいプリル!!」
「ンドゥアーニィ?(なーにー?)」
「ここが……貴様の墓場だ!!」
「「毒ガススペシャルコンボ!!」」
さすがのプリルも、この不意打ちに対抗は……。
「残念だなぁ」
「え……?」
出来た。
「大人しくしとけば。この遠征での儲けを少し分けてあげようと思ったのにー。無いけどね☆」
「な、なにを……?」
「眠ってて。『ハイパーボイス』!!」
「「「ぐぁあああ!!??」」」
「ヘイ!ここだぜ!!」
「エンジェルは!?」
「もういないですわね。どうしたの?そんなに慌てて」
「グラードン……もし、あいつらがそんな化け物と戦っているのならば……助けに行かねば!」
ペルーが走る(?)と、弟子達もついていく。
そして、熱水の洞窟に入りかかった頃……。
『グォオオオオオオオ!!!!!!』
急に大声が聞こえてきたので、弟子達は全員少し止まる。
「これは……まずいぞ!!」
「なぁペルー。グラードンって、そんなに強いのか?」
「ガオン!お前そんな事も知らないのか!?いいか、グラードンっていうのは……」
同時刻、最深部では……。
「なぁ、フィリア。グラードンって。強いのか?」
それはもう解かりきった事だった。だって、全身の毛が逆立っているから。
それでも俺は聞く。解かりきった事なのに……。
「当たり前だよ!いいかい、グラードンってのは……」
「「大地を創りし、伝説の大陸ポケモンだよ!!?」」
次回「地神の強さ 仲間の絆」