ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












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第三章 謎と遠征のクロス
第二十三話 霧の湖 後編
今日は清々しい朝を迎えることが出来た。
こんな暑い中、ミルの目覚めるパワーが俺に誤まって直撃したからだ。
おかげで俺は、氷付けのまま、朝礼に出席する事となった。
そして、それから朝礼が大方終わったとき……。







〜☆〜

「えー、今回の遠征の目的は、霧の湖に眠る宝を見つけ出す事だ」

「本当かよ?!」

「霧の湖と言ったら、難攻不落のダンジョンと言われてますから、突破も難しいんでしょうね」

今は氷が溶け、俺も普通に聞いている。
それにしても、予想が当たったな……お二人さん。

(それにしても、なんだか胸がもやもやする……変な感触だな)

「あの〜……」

「ん?何だフウ」

俺が胸のもやもやについて考えていると、フウが話を持ち出す。
恐らくユクシーの事だろうな……。
俺はそのまま考え続けた。なにか不思議な力が働いているのか……とか。
まぁ、当たり前の事に解からなかったが。
そして、フウがユクシー伝説を話し終えた時……。

「ふぅむ……だが、そんな数々の伝説を突破してきたのが、我々プクリンのギルドではないか?」

「そうだ、俺達は止められないぜ!!」

「ふふふ、心配は要らない。少し難しい謎かもしれないけど……頑張ろ」

皆がプリルの言葉でやる気になり、更に遠征成功率が高まった所で……。

「じゃあ、各自チームを解散して、一人で探索してくれ。エンジェルはそのままでいいがな。皆、張り切っていくよーーー!!!」

「「「おぉおーーー!!!」」」

弟子達のやる気ゲージが一杯になった所で、俺達も探索に出掛ける。
いざ、霧が深い所で有名な【濃霧の森】へ出発……の、所で、ミルが何かを見つけた。
なんだ……?

「見てみてラルド!赤い宝石がある!」

「なんだこれ……ルビー?」

「さぁ?でも熱を持ってるのかな?ちょっと温かいよー」

へぇー、そんなのがあるんだ……珍しい。
こんな所に落ちてる……霧の湖と関係がありそうだな。

「貰っとこ♪」

「別に誰の物でもないだろ……」

「早く行こうよ。霧の湖まで後一歩だよ!」

「……ボソッ(確かにな)」

それぞれの思いを秘め、濃霧の森に挑んだ――。



――濃霧の森――



ここは濃霧の森――。
名の通り『霧』が『濃』い森だ。
そのせいで、ラルドの電気技は半減する……。
……意味が解かるだろうか?
もしこの状態で、モンスターハウスなんかに迷い込んだら……。
最悪の二文字しか浮かばなかった。
過去形な言葉なのは、それはもう――。

「放電!放電!……ダメだ。全然効かない」

「霧に勢いを弱められているんだよ」

「知ってる!……ちっ、モンスターハウス用の道具使うしかないか」

「何かあるの?」

ミルがその最終兵器っぽいのが何かを尋ねる。
すると……。

「縛り玉発動!効果は敵を一定時間縛り付ける!!」

「おお!救世主ならぬ救世玉だ!!」

取り出したのは青い玉――縛り玉だ。
これは敵を一定時間止めてくれるトラブルメーカーが常に一人いる状態のエンジェルにとって、なんとも有り難い一品だった。

「一斉に走れ!縛り玉ッ!!」

瞬間、玉から出た電気の線のような物が敵を縛り付ける。
その間にエンジェルは走り去っていく……。







〜☆〜

「はぁ、はぁ……」

「ぬ、抜けれたよ……」

「疲れた……」

「あんなんで疲れるとは……やはり軟弱だな」

こ、こいつ……種族柄、体力があるからって……。

「二人とも!」

「あ、あそこになにかあるよー」

「フィリア!何だよその棒読み!」

本当に棒読みだぞ?それこそ真似できないくらい……。
って、本当に有った!?

「何だこれ……?」

「石像だね……しかも、この種族はグラードンか……?」

「グラードンって、おとぎ話のセウス神話に出てくるポケモンの?」

セウス神話……?なんだそれ?
神話なのは解かるけど……。

「ヘーイ!お前ら来てたのかー!?」

「ん?ガオンじゃないか!もう来たのか?」

「ヘーイ、予想以上に手こずったけどな。モンスターハウスに入って、しかも全員怒っててな……」

この言葉を聞いた瞬間、俺達の中のなにかが心の中でガオンに謝罪していた。
絶対、俺達のせいだな……。

「ん?これは……?」

「大地の化身と言われるポケモン……グラードンの石像だよ」

「グラードン?なんだか知らないけど、なにがどうなってるんだ!?」

そんなの知るかよ……とりあえず、俺はこの石像を観察しよう……ん?なんだ?この文字……足型みたいだけど……。

「なぁ、ミル。これなんだ?」

「え?これは……足型文字?だけど……古代のかな?今のじゃないよ?」

「僕なら読めるよ」

「うおっ?フィリアか吃驚させんな!」

いきなり出てくるなよ……全く。

「えーと、『グラードンの命 灯りし時 空は日照り、宝の道開かれん』……だってさ」

「へぇ〜、宝の道……って、えぇーー!!?」

宝の道って!?まさか霧の湖への!?
こんな時に、名家の人がいてよかった。
だが、命を灯らせる、という言葉に俺達は詰まる。

そして、考え尽くして十分後……。

「そうだ!ラルド、あの目眩なら……」

「そうか!目眩か!よし解かった!!」

俺はミルの言ったとおりに、石像に触れる。
すると……?

ブゥウンという音と共に、俺の視界は真っ暗になった。



――なるほど、グラードン像に日照り石をはめ込む。それで霧は晴れるのか!さすが、俺のパートナー!――

――そういう特殊能力なんだから、解からなかったら困るわよ――

――ご、ごめん……――



そして、ブゥウンという音と共に、俺の意識は戻る。
今回は声だけだったな……ルリの解きもそうだけど。
そういえば……日照り石って言ってたな……!まさか……。

「ミル、あの赤い石を貸してくれ」

「うん、解かった」

ミルは言葉こそ普通な物の、顔は思いっきり渋々、といった感じだった。
だが、俺はそんなの気にしない。

「えーと、あったあった。ここにこれを……えい!」

「ああ!取れなくなるー!!」

と、ミルの本音が聞こえたが、そんなの気にしない。

「皆、離れろ!!ガオンも、早く!!」

「ヘイ!?なんだか解からないけど……解かったぜヘーイ!!」

そして、俺達が石像から十分離れたとき。
石像が閃光を放った――。







「うん……あれ?ここは……」

「あ、ラルド。おきた?」

「ああ……あれ?」

気絶していたのだろうか、目を開けると、そこには霧が晴れ、見通しが良くなった場所があった。
いや、俺達がさっきまでいた場所だ……!!

「あれは……」

「ラルドも気付いた?私、多分だと思うんだけどね。あの頂上に……霧の湖があると思うんだ」

「……あそこは……あっちの方に進めば良いのか」

「あれ?ラルドなんで解かったの?」

「え……?いや、なんとなく……」

恐らく、いや本当に来た事があるんだろうな……人間の時に。

「じゃ、ラルドもおきたし。皆、行こ……」

「「ちょっと待ったー!!」」

ミルが行こうと言ったその時だった。
いきなり茂みから、あの三匹が出てきたのだ。

「クククッ、ここから先は行かせねぇぜ」

「いや、お前達が俺達を妨害する意味が解からん。あの時もお前達から喧嘩を売ってきたんだよな?」

「ケッ、どうだか」

こいつら……ふざけてやがる。

「クククッ、だからな。今ここで……気絶してやがれ!!」

「行きますぜ、兄貴!」

「「毒ガススペシャルコン……」」

「あ〜ん、待ってー!僕のセカイイチー!!」

今、正にドクローズが毒ガススペシャルコンボを放とうとした時。
なんと、セカイイチと共に、プリルが現れたのだ。

「あ〜、やっと捕まえたー。僕のセカイイチ〜。これが無かったら、僕は、僕は……ん?君達どうしたの?あ、僕の友達も!」

「プ、プリル……?なんでここに?」

「あのね、あの森を散歩してたらね、いきなり霧が晴れて、僕吃驚しちゃって……そしたらセカイイチが転がって行っちゃって……。あれ?君達もなんでこんな所で道草食ってるの?」

「え?あ、それは……」

えーと、説明しても信じてくれるかな……。
って、あ!フィリアが草を食ってやがる!!

「全くーほらほら、早く行って探索だよ!!」

「え?」

「親方の命令が聞けないの?プンプン」

「わ、解かった。皆、行くぞ!」

「うん、解かった」

俺達は不安にもなりながら、霧の湖へと向かっていく。

「……親方様?私達も探索へ出掛けたいのですが……」

「えー!?友達を危険な目に合わせられないよ!ここは、報告がくるまで待っとこ♪」

「……ボソッ(どうしやす?兄貴)」

「……ボソッ(隙を見て、毒ガススペシャルコンボで倒す。クククッ、最年少ギルドマスターランクで名を覇せた探検家、プリル・クリムも……

……ここで終わりだ!!)」







「暑いよー、なにここ……」

「水蒸気が漏れてる。かなり暑いけど……意地だね」

所変わって、今ラルド達がいるのは、水蒸気が漏れる洞窟だった。
見た目からもう暑そうだったが、水蒸気がそれを確信させた。

「だが、行くしかないぞ?この先に霧の湖があるのならば」

「ああ、解かってる。だから、行こうぜ、皆!!」

「じゃあ、霧の湖目指して……」

「「「出発進行ー!!」」」



次回「赤き地の化身」




ものずき ( 2012/08/02(木) 00:39 )