第二十一話 遠征出発
今日は皆が待ちに待った遠征メンバー発表&遠征の日。
俺は昨日から起きているが、寝不足なんて事にはなっていない。
シルガは俺よりも早くにおきたのか、朝になって帰ってきた。
どこに行っていたか尋ねると、「サメハダ岩に日の出を見に」と言っていた。
案外、年寄りな部分もあるんだな……。
そして、いざ朝礼の時……
〜☆〜
「皆、揃ったか?」
「はーい、揃いましたー!」
「準備も済んだことだし……では、これから遠征メンバーを発表する。各自落ち込まないように」
嫌な事をさっそく言うな……。
ちなみに、朝礼の前に準備などを済ましている、
ペルーが五月蝿かったからな……。
「まずは……」
この空白の時間に比例し、弟子達の鼓動も早まる。
そんなに緊張させたいか……?
「ボイノだ♪」
「よ、よっしゃぁああ!!!」
「五月蝿いよ!!」
「すまん……だが、俺なら当然だったな!!」
この言葉に、満場一致で「よく言う……」と思ったらしい。
こんな時にはシルガの波動が使えるんだよな……。
「次、ソーワ、それにフウ♪」
「きゃー!!やったですわー!!」
「そうね」
ソーワはあんなにはしゃぐのに、フウさんはあまりはしゃがない。
大人と子供の差ってやつか?
「え〜、次。ん?おお、ビーグだ、よく選ばれたな」
「あっしが……?遠征に……?」
「そういえば言い忘れていたが、呼ばれた者は前に出る事……って、どうした?ビーグ、前に行かないのか?」
「行きたいのは山々なんゲスが……あまりの感動に足が動かないでゲス……」
「……放っておくぞ」
まぁ、そうなるよな。
感動で足が動かないとか……どれだけ嬉しいんだよ。
「えー、次は……おお、ラルド、ミル、フィリア、それにシルガだ。新入りなのに、頑張ったな」
「ふん、当たり前だ……」
「やったぁ!!」
「はしゃぐなよ、ってかシルガは格好つけなくて良いから……」
と、軽い茶番を繰り広げていると、いきな後ろから何かが落ちるような音がした。
な、なんだ……?
「や、やったー……」
「……足が震えてるよ?」
「呼ばれた瞬間、足の力が抜けて……」
ビーグ以上だな、おい。
それより、どれだけ緊張に体を任せてたんだよ……。
「次、ガオン」
「ヘーイ!!やったぜヘイヘーイ!!」
異常なテンションだな……。
やっぱり、このギルドはテンションが何時も高いな。
と、軽く突っ込んでおくと、ペルーが以上、という言葉を出す。
しかもドクローズが俺達を睨んでる……酷いな。
「以上で……ん?」
「ん?どうしたんだ?」
「い、いや……(こんな隅のほうにも書いてある……しかも滅茶苦茶小さく。でもこんな事言ったらどんな事されるか解からないから、言わないでおこう……)」
ペルーはその隅に書かれた文字を、辛うじて読めるように目を極限にまで近づけた。
「えーと、ディル、サーイ、ドツキ……って、ギルドの弟子全員じゃないですか!?」
「当たり前でしょ?」
「親方様ー!!」
おいおい……当たり前って。
いままで頑張った意味が無いんじゃ……。
「親方様、私達も心配です。もし大勢でいって、襲われでもしたら……」
「う〜ん、友達に言われたらちょっと考えちゃうなぁ……」
ここでクロドが俺達を潰しにかかってきたがった。
ちなみにこいつらはセカイイチを数個届けた事で、少し評価されている。
それにしても、いつ『友達』になったんだ?
「そもそも全員で行く理由などあるですか?」
「あるよ?だって……楽しいじゃない!!」
「へ?」
「皆で行く事を考えてたら、僕、昨日あまり眠れ無かったよ?」
「ひえぇ〜……!?」
さすがプリル。そのマイペースさはセカイイチ。
あ、だからセカイイチが好きなのか……とかの冗談は抜こうか。
「確かに俺もプリルの意見に賛成だ。皆で行ったほうが楽しいだろうな。一緒には無理だろうがな」
「ああ、あまりにも人数が多いので、チームを分けることにした。各自聞いといてくれ」
「はーい♪」
随分上機嫌だな、ミル。
それにしても、クロドもしつこいな……俺に負けたくせに。
「えー、一チーム目は……ソーワ、ボイノ、フウ、それにディルだ」
「お前ら、俺の足を引っ張るなよ?」
「それはこっちのセリフですわ!!」
「こらこら、二人とも喧嘩しないの」
「喧嘩は良くないと思いますよ……?」
いきなり喧嘩か?本当に仲が悪いな。あの二匹。
「次、ビーグ、ガオン、サーイ、ドツキ」
「頑張るでゲスよぉ!!」
「ヘイヘイ!頑張るぜ!!」
「必ず成功させようじゃないか」
「ぐへへへ、そうだな」
なんか個性的なメンバーが総結集したな……。
「最後、エンジェル♪」
「よっしッ!いつものメンバーだ!」
「が、が、頑張ろう!!」
「ミル、もっとリラックス♪」
「ふん、一瞬で進みきってやる」
と、シルガの妙な自信の言葉を聞いたところで……。
「じゃあ、皆、用意できたら交差点に来てくれ。じゃあ、交差点で待ってるぞ」
そのままペルーは梯子を上って(?)行く。
そして、ぺるーが行ったのを確認すると、俺達は円陣を組む(もちろん親方、ドクローズ抜き)。
「まさか、全員が遠征に行けるとはな……驚きだ」
「うう、遠征にけるうえに全員でだなんて……夢みたいでゲス」
「ビーグ、夢じゃないんだから、この遠征。私達も初めてなんだよ?」
「まぁ、とにかくだ。遠征成功目指して……」
「「「「頑張ろうーー!!!!!」」」」
次回「霧の湖、前編」