ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












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第三章 謎と遠征のクロス
第十九話 あるポケモンの弱点
ここは林檎の森――。
虫、草ポケモンが多く集まる森だ。
しかも、そこに生る林檎は、絶品との噂が。
そして、そこには虫に弄ばれるポケモンがいた――。



「ぎゃぁあああ!!!??」

「……おい、叫びすぎだぞ?」

「きゃぁああああ!!!??」

「五月蝿いよ?君」

え?いきなり五月蝿いって?
御免なさい、実はこれには訳が……。
それはまた、少し前の話。








〜☆〜

「え〜、今日はちょっと依頼を頼まれて欲しい」

「何だ?」

「今日は……ちょっと食料を採ってきてくれないか?」

何だ?この焼き鳥≪ペルー≫は……。
いきなり依頼をしろ?いやいや、俺達ちょっと道場に行こうとしてたんだけど?
道場復活って事で、俺達(性格にはラルドとシルガ)滅茶苦茶張り切っていたんだけど……。

「何だよ、お前が行けよ」

「私は【グミ草原】に行くんだよ」

「うわぁ、変なネーミングのダンジョン」

本気で思う、なんだよグミ草原って。
誰がつけたんだよ……可笑しすぎる。

「だから、お前達は【林檎の森】へ行ってくれ」

「【林檎の森】……と言うと、虫、草ポケモンが多いダンジョン……」

「そうだ……って、ん?シルガ、どうした?震えてるぞ?」

は?震えてる?いやいや無いでしょ……え?
嘘だろ?震えてやがる……。

「え?いやいや、別に虫ポケモンが不気味で気色悪くてきもくて触れられないくてあの体を見る度に体が震えるなんて、はっはっは」

「いやに喋るな……お前」

「しかも、自分が虫ポケモン怖いって曝してるしね、馬鹿と思うよ」

本当に馬鹿だな……このリオルは。
でもまぁ、弱点を曝け出してくれたし……ぷっ。

「はっはっは!! 弱点を自分から言うなんてこいつ……馬鹿だろ!!」

「お前の弱点は……確かここだったな」

「え?ちょっと待っ……ぎゃああ!!?」

シルガはいきなりラルドの後ろに回ると、脇を……擽った。
これは案外、つぼだったらしく、滅茶苦茶に暴れている。

「な、何で知ってんだ!?」

「……ボソッ(お前のニンゲンだった頃の姿形などを知っているんだから……弱点も知ってるはずだろ?)」

「ぐっ……」

「しかも、あんな事やこんな事も、お前の表情に変化や波動で丸解かりだぞ?」

そんな使い方はダメだろ! 人には入られて良い域と悪い域があってだな……。

「そうだ、虫除けのなんか無いか?」

「無い」

「……俺はペルーを手伝おうか」

「ん?私の所には、ペンドラーやテッカニンなどがいるぞ?」

うわぁ、まるでシルガを精神的に倒すために作られた依頼だな。

「は、はははは。俺、今日はここに残る」

「おぉい!?」

「絶対に連れて行かなきゃダメだよね……フィリア!!」

「分かってるよ、“縛られの種”!!」

「大きい林檎より大きい林檎があると思うから、それだけは忘れるなよー!!セカイイチっていうんだが、解かるか?解かるならさっさと行って来い!!」

その後、縛られの種による効果で動けなくなったシルガはその間に縛られ……涙を流しながらリンゴの森へと向かっていく。
そこで、エンジェルを監視する動きがあった。

「……ヒソヒソ(おい、聞いたか?奴ら【林檎の森】へ行くらしいぞ)」

「……ヒソヒソ(なら、俺達も行きやしょう)」

「……ヒソヒソ(俺達の恐ろしさ、見せてやりましょう)」

「「「クックックッ」」」








〜☆〜

と言う事で、俺達は【林檎の森】にいる。
ただ、シルガが虫ポケモンをみたら、気付かれずとも波動弾撃つからな……。
全く、スピアーとかには撃つなよ?
って、言わなきゃな。あいつなら本当にやりかね……。

「――“波動連弾”!!」

おいおい……ここで連弾?セリエス?いや、それよりも……。
――スピアーがいるぞッ!?

(いや、これはもう……)

死んだかも……。

刹那、大音量の激音と共に、電撃が辺りに轟いたという。




「本当に、やめろよなッ!?」

「はぁあ、……」

「そこではい、『目潰しの種』」

フィリアが丁度のタイミングで出してくれたこの種は、食べると目が見えなくなるんだ。
原理?そんな物は知らない。

「おお!!ここでそれは有り難い」

「はい食べて」

「ふぐぉ!?」

シルガの口に、大量の目潰しの種を入れたところで……。

「さて出発。シルガは波動で来てくれ」

「波動弾」

「何でぇぇ!!?」

いきなりの波動弾?
いや、確かにこの威力は溜めていた。
もしや……もしや!?

「シルガこのやろう……さっきから溜めてやがったな!!」

「それはどうかな? 俺は知らないが」

こいつぅ!!俺は怒った、怒ったぞ!

「波動弾!!波動弾!!」

「やめろ!!十万ボルトッ!!」

「君達静かにしなさい!!

「私、あんまり喋れて……」

もう何がなんだか解からなくなってきた。
いや、でも……十万ボルトを撃てばいいんだな、とにかく。

「十万ボルト!!」

「見切り!!」

「って、あっ!!あそこはバタフリーの住処……」

やばい、やばいよ!!
これはちょっと拙い!!
待てよ……?これはちょっと拙いよ?だって、あそこには……。
ビードルいたよ!?

「ぎゃああ!!皆、逃げろぉお!!」

「え……って、うわっ!?」

「え?嘘、これって……

 
 スピアー五十匹ッ!!?」

嘘……だろ?何だよこれ、完全に詰んだなこれ。
いや、他にもバタフリーが三十匹程いるし……。
もういやだ!!

「こうなったら……みなマッハ玉!!」

みなマッハ玉――。
使うとチーム全体の素早さが上がる玉だが、ここではリーダーから半径五メートルいないじゃなければ効果なしです。
ちなみに、素早さは結構上がる。

「これで逃げるぞ!!」

「蜘蛛の糸受けちゃったー!!」

「……敵縛り玉!!」

案外、このチームでは重宝されている敵縛り玉であった。

「行くぞ!!トラブルメーカーも!!」

「おい、俺はトラブルなんか起こしてないぞ、お前が起こしてるんだろ?」

「僕からしてみれば、君達両方が起こしてるように見えるけどね」

「絡まったー!!」

もう他の奴ら全員ががトラブルメーカーだろうな。

「おい!早く!!」

「自分だけ高速移動使うなよ!!」

「君だって神速使ってるじゃん。未完成だけど」

「早いよー!!」

このグダグダで、よく逃げれたなって?
……念のために、敵縛り玉(五個)持って来て良かった。
俺……ちょっと在庫を確かめなきゃな。
そう思いつつも、俺達は林檎の森の奥地に行った。




――林檎の森 奥地――



「ふぅ、やっと着いた……」

「君達、あの時は偶然階段を発見できたから良かったものの……」

(フィリアのお説教タイム、入ったら怖いんだよね……)

いや、フィリア、それは違うんだよ。
こいつが挑発をするから……。
と言う弁解も、今のこいつには言えなかった。

「クククッ、めでたい奴らだぜ」

「そうですね、ずっとここで待ってたと言うのに」

「時間は三十秒ぐらいだけどな」

「「おいっ!!」」

え?何?なんですか?いやこの声は誰って聞かれたら解かるけど……。
待った、いや、まさかとは思うけど……。

「セカイイチ……食べちゃった?」

「え?嘘ぉ!!私達、ペルーに怒られるよ!!」

「君達のせいで、僕達の評判が……そうだ、カメラあったかな……」

「とりあえず、波動弾」

シルガが直横で波動弾を三つ撃つ。
もう正体解かってるから、出てきて良いよ。

「ドクローズの皆さんッ!!」

「クククッ、ばれてたか」

「兄貴の『辻斬り』で相殺しなきゃ、今頃俺達戦闘不能だったすよー」

なんか緊張という物はしないな……。
だって、こいつら笑えるもん。

「おーい、セカイイチ食べたか聞いてんだけど」

「ああ、一個ずつ食べたぞ。お前達より早く着くように、なんと聖なる種などを使って……」

「「おいっ!!」」

こいつら……俺達の手伝いしに来たのか?
主に緊張を解くための。

「調子狂うな……まぁいい。俺達は手伝いに来たんだぜ?」

「は?」

「……ボソッ(波動で確かめたら嘘をついてる事が判明した。フィリア、ラルド。戦闘体制)」

「「……ボソッ(ラジャー)」」

ちなみにミルに言わないのは……うん、ちょっとね。

「お前達じゃ、この樹の大きさからして、セカイイチ採るの難しいだろ?だからほら」

そういうと、クロドは樹に体当たりをする。
だが、その行動全てに注意を払う。
あいつらを信じろなんて……不可能に近いからな。
恐らくドガースが降ってくるんだろう(無いけど)
だが、実際は違った。

「そら!!」

なんと、普通にセカイイチが落ちてきたのだ。
でもなぁ……。

「ほら、拾えよ」

「手伝ってやってんだから」

もうその言葉で無理です、近づけません。
……あ、でもミルはどうするかな……。

「ほらっ!!」

「ふん!!私達は騙されないもんっ!!」

さすがだミル!!イートと戦ってから、少し大人びたぞ!!
って、あれ?あいつらが後ろを向いた……?

「おい、どうする!?あのイーブイは騙せると思ったのに!!」

「俺もですよ……」

「催眠術にでもかかってるんじゃ……?」

酷っ!?ミルへの言い分酷っ!?

「とにかく、あなた達は帰って!!」

ミルは穴抜けの玉を投げる。
だが、それは容易に避けられる。

「ふん……罠にかからなかったのは残念だが、俺達の究極技を受けても、そんな事をいえるかな?」

「?」

「バルン……行くぜ」

「はい兄貴!!」

お前達に構ってる暇は無いんだよ!!
こっちは忙しいんだよ!!

「行くぜ……」

「けっ、後悔しろ!!」

「「必殺、『毒ガススペシャルコンボ』!!」

「へっ……?」

これは……臭いか!?
だとしたら拙い、本当に拙い!!
――って、そうだ!!

「行け!!フィリア!!」

「ああ、『グラスミキサー』!!」

これはいける!!吹き払える!!
と、俺は思ったのだが……。

「残念だな!!」

「えぇ!?真ん中だけを貫いた!?」

「周りの毒ガスが向かってくるよ」

「こうなったら……」

でもなぁ、この技、使いたくないんだよな……。
いや、技じゃないんだけどさぁ……。
ええい、しょうがない!!

「お前達、俺に捉まれ!!」

「へ?」

「早く!!」

エンジェルの面々は、急いでラルドにしがみ付く。
そして……。

「行くぜ……『電気ショック』!!」

それはガスの前の地面に当たり、そして火花が散る。
このパターンは……もう……な。

「上乗せだ!!穴抜けの玉!!」

「ぎゃぁああ!?」

ラルドは爆発の中に穴抜けの玉を投げ込む。
すると、爆発が収まった瞬間に青い光を発し、ドクローズごと消えて行った。

「ふ、ふぅ。終わった……?」

ちなみにこの後、全部のセカイイチ採ろうとして、樹が少し焦げたのは気にせずにね。
それをギルドに持っていくと、物凄く涙が流れているペルーにしがみつかれた。
これで遠征はバッチリだな!!
……ちなみにあいつらはいきなり傷だらけで帰ってきたから、部屋で休んでるらしい。
どこにあいてる部屋があるんだろう……。




次回「遠征前夜」

ものずき ( 2012/07/28(土) 19:47 )