第八話 天に戻る雷
「やっと......第二ラウンドが出来るな」
そして、この言葉を放った一秒後、ヨウムは怒った。
ヨウムはサイコショックを無造作に繰り出す。
だが、ラルドは[察知]していたかの様に避ける。
「ちっ......!!」
「遅いぜ!!雷パンチ!!」
「ぐおぉ!!?」
サイコショックで出来た隙に、ラルドは雷パンチを叩き込む。
その衝撃により、ヨウムは二転、三転と転がる。
そして、追撃として何処かからシャドーボールを叩き込まれる。
追撃の犯人は......。
「大丈夫!?ラルド!!」
「ミル!?何で......」
「僕の弱めのエナジーボールで弱らして、気絶させて復活の種を口に入れたんだ」
「そしたら体力ごとも骨折も治ってたの!!」
「これには驚かされたよ......」
そう、信じられない。
復活の種は通常、瀕死の体力を回復させる物だ。
骨折までは直せない......筈。
「じゃ、行こうか」
「うん!目覚める......」
「馬鹿め!予測済みだ!!」
「パワー!!」
すでに予測された攻撃を、ミルは放つ。
そして、それを煙幕にしようと、サイコショックを放った。
だが、それは叶わなかった。
フィリアが両の技を喰らい、吹き飛んだのだ。
「なっ......だが、これで戦力は......」
「戦力が......何だい?」
「え......?」
瞬間、振り返ったヨウムにエナジーボールが直撃する。
やったのは......さっき両の技を喰らったフィリアだった。
「何で......」
「さっきのは身代わり、油断した後にエナジーボールを喰らわしたんだ。どう?お味は?」
「ふ、ふざけるなぁ!!」
怒ったヨウムが冷気を纏った拳ーー冷凍パンチが襲う。
だが、それは難無く避けられた。
「動きが単調だよ」
その追撃として、木の葉の竜巻......グラスミキサーを直撃させた。
その威力でヨウムは吹き飛んだ。
「で、もういいかい?」
「当たり前だ!、準備は出来たぜ。後は良いから戻って来い!!」
「ああ、そうさせてもらうよ」
「解かった!!」
ミルとフィリアに退却命令を出して......。
あ、ミルがシャドーボールを置き土産にしてる。
......土煙が立ち込めたから良いけど。
「行くぜ!!電撃波!!」
新技である電撃波を二発撃ち、その間に赤い種を食べる。
そして、作戦を実行する......。
だが、計算が狂った。
「く、くくく......体力回復......」
「なっ......オレンの実!?」
そう、
あの猛攻の中、オレンの実を食べたのだ。
やはり、予知夢は恐ろしい......。
が。
「しょうがないよな......貴重だけど、出し惜しみしねぇぜ!!」
瞬間、ラルドが消えた。
いや、見えないぐらいの瞬発力で向かって行ったのだ。
「なっ......!?」
何も出来ないまま、ヨウムは青い種を口に入れられ、体内に入れられた。
それが勝敗に影響するとも知らずに、ヨウムはラルドを追いかけていく。
それを利用し、ラルドは罠に向かって走り出す。
そして......。
「ぐおっ!!?」
突如、ヨウムの足元が無くなり、体が開いた地面にすっぽり入る。
それが狙いだった。
「ぐっ......何を!?」
「行くぜ......」
ヨウムは地面に手を置くラルドを見て、危険。と感じ、念力で脱出して、空中に浮かんだ。
それが間違いだった。
「今だ!!」
「何だ!?やめろ!!やめるんだ!!」
「嫌だね!!」
そして、ヨウムが落ちた穴の周りにある、四つの穴と、ヨウムの落ちた穴が、光る......。
「サンダーリバース!!」
「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
一つの穴につき十万ボルト、合計で五十万ボルトがヨウムを襲った。
サンダーリバース......。
通常、空から墜ちるはずの雷が昇っていき、戻るように見えた事から、[サンダーリバース]
と、名づけた。
その閃光でヨウムを吹き飛ばすのは容易かった。
「ふぅ......これで依頼達成......か?」
「ああ、後はジバコイル保安官に連絡して......穴抜けの玉!!」
そして、ヨウムを含めた全員が、青い光に包まれたーー
〜☆〜
「ビビ、ヨウム逮捕ニゴ協力頂キ、アリガトウゴザイマス」
「ホラ、行クゾ」
「くぅ......!!」
五分後、やって来たジバコイル保安官が来るまでに起きたヨウムを再拘束するのがどれだけ大変だったか......。
まぁ結局、電撃波を顔に当てたら静かになったけど......。
「......そうだ!ルリちゃんは?」
「マルルもどこだ?」
「そこさ......」
「......ああ、しばらく放っといてやろうぜ」
「私もそれがいいと思うよ」
そして、さっきまで殺気が立ち込めていた場も、二人に姉妹にて、雰囲気が柔らかくなった。
俺達も、あいつ達が心を癒すまで、ずっと見守っていた。
そして......。
〜☆〜
「おや?お帰りエンジェル。何だい?その今にも倒れそうな声は......って!!」
所変わってここはプクリンのギルド。
その地下二階で、事件は起きた。
「何だい!!その姿は!?」
「いや、あの......」
「ちょっと......」
「復活の種事件だね。名づければ」
ちなみに、事件とは詳しく説明すると、帰る途中にラルドが「復活の種って使えるな......よし!
瀕死になって回復しよう!!お前達、俺を殴れ!!」と、言って、無いって言ってるのに......。
その結果が、電気袋や至る所に血がつき(鼻血)そこら中に痛々しい傷があった。
そして、俺達はこれを「復活の種事件」と、名づけたのであった。
ーーいやー、副作用で頭が馬鹿になるってのだったけど......うまくいったわーー
ラルドの中で、確実に変化と何かが起きている事は、誰も知らないーー
次回「新仲間と見張り番」