ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












小説トップ
第二章 不思議と仲間の連鎖
第七話 不思議な声
「はぁ、はぁ、も、もう直です!!」

「ああ!」

「急ごう!ラルド!!」

え?何で行き成りこうなってるかって?
それは....。





〜☆〜

俺達は急ぎ足で梯子を上り、急いでルリ達に追いつくように走っていた。
そして、階段を下りた先の交差点でーー

「あ!マルルちゃん!どうしたの!?」

「あ!ミルさんにラルドさん!それが....」

「どうしたんだ?ルリがいないけど....」

いや、俺はもう答えは解かっていたのかも知れない。
ただ、確認がしたかった。

「それが....ヨウムさんと一緒に消えちゃって...今、ギルドに行こうとしてたんです」

「場所は!?」

「こっちです!着いてきて下さい!!」

そして、俺達は大急ぎで目的地へと向かったーー





〜☆〜

と、言う感じになっていた。
さすがにラルドも今回は本気らしく、黙って走っていた。
そして、周りの岩が棘の様に連なっている山ーートゲトゲ山に来た。

「こ、ここで、振り返ったらルリ達が居なくなっていて....」

「そう...マルルちゃん。ヨウムはお尋ね者なんだ。しかも...Aランク」

「えぇ!!?」

いくらマルルでも、Aのランクは解かっていた。
どれだけ強くて、どれだけ危険なのかーー

「だから、ここで待っててくれない?私達が...必ず、ルリちゃんを助けるから」

「でも....」

「二時間」

と、ここでラルドが口を挟む。

「え?」

「二時間だ。もし二時間経っても、俺達が来なかったら.....ギルドに連絡してくれ」

と、ラルドは自分のバッジを渡した。
探検隊の証である、バッジを。

「え...?」

「これでギルドと連絡できる。だからもし、二時間経っても来なかったら、連絡してくれ」

「でも....」

「大丈夫だ。俺達を--信じろ」

「そうだよ?私達が、ヨウムを倒せなくても、ルリちゃんは救出する。だから、ここで待ってて」

ミルは、頼り無さげなイメージがある。
でも、その優しさは凄い。
逆にラルドは頼りになる。
でも、自分を大事にしない。
この真逆な二人でも、お互いに信頼し合ってる。
だから....どこか頼れる。

「....解かりました。必ず...ルリを連れて、戻ってきて下さいね」

「ああ!約束は守るぜ!絶対に!!」

「じゃあ、行こう!ラルド!」

「おう!!」

そして、二人はトゲトゲ山を登って行った。






〜☆〜

ここは、トゲトゲ山の頂上付近。
そこで、とあるポケモンが、ムックルとワンリキーの群れ(群れと言っても三匹ずつだが)に、襲われていた。

「くっ....こんな所で厄介な」

しかも、今この[少女]が戦っているのは、足場が凸凹な、正に分が悪かった。
そして、着実と、[少女]の体力を奪っていた。

「くっ....っ!!しまった!!」

その足場の悪さに足が縺れ、こけてしまった。
そのチャンスを見計らって、空手チョップと翼で撃つを放った。

(もう...ダメだ!!)

その時。
一筋の閃光が迸った。
それはワンリキー達を一掃し、[少女]を助ける事が出来た。

「....?」

いつまで経っても来ない衝撃に、[少女]は目を開けた。
すると....。

「ふぅ、大丈夫だったか?」

「早く行かなきゃいけないけど...探検隊だもんね」

「き、君達は.....」

「ん?ああ、俺達は探検隊、エンジェルさ」

目の前には、体色と同じスカーフを首に巻いたピカチュウと、ピンクのスカーフを見に付け、シルバーの色を携えたバッジをつけたイーブイ。
イコール....ランクはシルバーか。

「あ、有り難う....君達」

「ああ、大丈夫か?全く群れで襲うなんてな...厄介極まりないだろ?」

「ラルド。そろそろ行こう?ルリちゃんが危ないよ」

「何か....あったのかい?」

「ああ、実はあるポケモンがお尋ね者に攫われて....」

俺は軽く説明すると、ある種を飲んだ。
俊足の種、と呼ばれる物だ。
口に入れると、素早くなり、急いでる時にはピッタリの物だ。

「....僕も手伝うよ」

「え?でも...」

「助けてくれたお礼だよ。家の仕来りなんだ」

「....解かった。でも危なくなったら引き返せよ?危ないんだから」

「ああ、解かってる。僕はフィリア。種族はツタージャさ」

助けたお礼、として一時仲間に入ったツタージャのフィリア。
そして、俺達は頂上へと来たーー






〜☆〜

「ここ?ヨウムさん」

「ああ、そうだよ」

そう言うヨウムの顔には、笑みが毀れる。
だが、それにはまだ幼いルリには気付けなかった。

「ねぇ、ヨウムさん。落し物は....どこ?」

「....落し物は...ここには無い」

「え?」

「と、言うか。そんな物知らない」

「え?え?」

まだ幼いルリだが、この二文字だけは感じれた。
恐怖の二文字をーー

「後ろを見ろ、穴があるだろ?」

「え....?」

そこには、ルリが丁度入れそうな穴があった。
それは、とても小さく、恐らくヨウムでは入れない。

「そこにはある盗賊が隠したという宝があるという噂があるんだ」

「え...?」

「だから...入って来てくれ。そしてあったら....盗って来い」

「っ....お、お姉ちゃ....ん....」

もう、ルリには恐怖という二文字しか無かった。
ヨウムの目、口、鼻、全てが恐怖だった。

「た、助けてー!!」

そして、ルリは逃げようとした。
だが、歩幅が小さい為、直に追いつかれた。

「全く...言う事を聞かないと、痛い目にあわすぞ!!」

「た....助....けて!!」

瞬間、ヨウムに衝撃が奔った。
それは、雷を纏った拳だった。

「なっ...何故お前達が...」

「へっ!俺を舐めんな!!俺は探検隊エンジェルのリーダーだ!!」

「くっ...探検隊だとは....ん?何だ?横のイーブイ。震えてるぞ?」

「うっ.....」

確かに意気込んでいた。
絶対に助けるぞって思ってた。
でも....いざ目の前にしてみると....。
怖い
その二文字が浮かんだ。

「頑張れよ?あれから三十分...約束の時間まで一時間半しかないんだからな?」

「う、うん!」

「じゃ、行こうか」

まずはフィリアが得意の素早さを活かし、リーフブレードを放つ。
だが、ギリギリの所で避けられた。
次にラルドが電気ショックを撃つ。
だが、それも避けられた。

「ちっ....なら!!」

ラルドは電気の塊を作り、こう言って放った。

「電撃波!!」

「なっ....!?」

電撃波ーー
高威力で、更に絶対必中という、強力な技だ。
完璧に避ける体制だったヨウムに直撃...しなかった。

「何てな」

瞬間、紫色の物体が複数ヨウムの周りに現れ、電撃波に向かっていく。
それは全て当たり、電撃波を打ち消した。

「なっ...!?」

「次はこちらだ。念力!!」

「ぐっ...ぐあっ!!」

目に見えない特殊な力により、ラルドは吹き飛ばされ、岩壁に直撃した。

「ラルド!!っ....電光石火!!」

ミルもその隙を狙って、電光石火で向かっていくが、予知をしていたかの様に避けられた。
更に去り際に念力を浴びせられ、吹き飛んでしまった。

「これは...予知夢か...」

「その通り!!俺は相手の攻撃を予測し、それを避ける事が容易くなる、正に最強だ!」

「ちっ...なら!」

「解かった!電光石火!!」

「ふん」

だが、ミルの攻撃も軽く避けられた。
が、本当の狙いはヨウムでは無いので、そのまま向かっていく。
目標のルリへと。

「なっ....」

これは予知出来なかったのか、驚いた声を上げるヨウム。

「救出成功よ!!」

「良し!じゃあこっちの岩陰に隠せ!早く!!」

「うん、もう大丈夫だよ。ルリちゃん」

「うん....」

涙を流すものの、少し安心した様だ。

「じゃあ...リーフブレード!!」

「ふん!」

やはり見破られていた様だ。
だが、それで空中へ跳んだのが狙いだった。
そこへミルの目覚めるパワーが直撃する。
しかも、氷タイプなので少し凍傷になった。

「ぐっ...」

「雷パンチ!!」

「しまっ...ぐはっ!!?」

そこをラルドの雷パンチが炸裂する。
予知は出来たものの、避けようが無いので直撃する。

「ちっ...新米が!粋がるな!!!」

「なっ...ぐわぁ!?」

その攻撃の数々に、激怒したヨウム。
そして、怒った状態での[サイコショック]を喰らった。
その直撃により、ラルドは吹き飛び、大ダメージを受けた。

「ラルド!!」

「お前もだ!!」

「っ!?きゃあ!!」

ラルドの所に駆け寄ろうとしたミルに、サイコショックが直撃する。
それを見計らい、フィリアはラルドを救出し、同時にミルも救出した。

「ぐっ....!!」

「痛い...」

「ラルドは打撲だけど...ミルは足の骨に皹が入ってる。走らないほうが良い...戦闘はしないで、休んでおいてくれ」

「でも...」

「ミル...後は俺で何とかするから...」

「うん...解かった」

そしてミルは近くの岩に腰掛け、休憩をとった。

「何をしようと無駄だぁ!!」

「何だ...うわぁ!?」

さぁ行こう。と、した瞬間、念力でラルドの居る足元の地面が崩れ、ラルドはこけてしまった。
その隙を突かれてしまった。

「サイコショック!!」

「ぐぅ!!」

実体化した念力が直撃し、ラルドは苦痛の声を上げる。
だが、暴走した今なら....。

「負けて...たまるかぁぁぁぁぁ!!」

「っ!?」

瞬間、雷パンチをヨウムに直撃させた。
その衝撃でヨウムは宙を舞い....。

(まだ未完成だけど...)

フィリアが手をヨウムに翳す。
すると、緑色の球が出来た。

「行くよ...エナジーボール!!」

そして、その球はヨウムに放たれ....直撃した。
ヨウムは壁に叩きつけられ、苦痛の声を上げた。

「やったか!?」

「いや....まだだ」

「ぐおぉ!!」

暴走するヨウムの姿は、正にバーサーカ、だった。
目の前の敵を倒す為だけに...自らのレベルに合わない[サイコキネシス]を使った。
それは強力で、二匹を吹き飛ばし、更にフィリアには動けない程のダメージを与えた。

「ぐあっ!?」

「ぐっ...もう、無理だ...」

「くそっ!!ここ...まで...か...」

ラルドの心が半ば折れた、その時。
頭の中に、声が響いた。

ー力...欲しい?−

ーああ....力さえあれば、皆を守れるのに...−

ー...じゃあ、貸してあげるー

ーえ....?−

ー但し、見返りは...大きいわよ?ー







〜☆〜

「はぁ、やったか...?」

自我を戻し、やっと大人しくなったヨウム。
そして、勝ち誇った笑みを浮かべた....。

「そんな...フィリア!ラルド!」

二匹の名前を呼ぶ、が、返事は返ってこなかった。
そして、ミルも諦めかけた、その瞬間。

「っ!!あれ...?ラルドの体が...」

ラルドの体が光りだした。
その色は、淡い緑...いや、翠だった。

「ヨウム....」

「なっ...あの怪我で...!?」

そして、その少しエメラルドの混じった目で、こう言った。

「やっと...第二ラウンドを出来るな」


次回「天に戻る雷」



ものずき ( 2012/07/16(月) 21:48 )