第十二話 仲間と初探検の交差
二つの技は激突し、爆発を起こした――。
と、言っても、地面を少し抉っただけだが。
確かに草などは吹き飛んだが、木は吹き飛ばない。
このレベルでそんな威力って......。
そして、その後の事を、今回は語ろうか。
......え?実際に今、起こってる事だろって?
......そうですね。
〜☆〜
「ぐはっ......?」
「くぅ......?」
あの爆発で吹き飛ばされた二人は、互いがどうなっているかを確かめた。
そして、両方がまだ意識はあった。
この状態イコール、先に立ち上がって止めを刺した方が勝ちだ。
が、今はそんな状態ではない。
二人とも、立つことすら辛いのだから。
「ぐぐ......電気ショック......!」
電撃など、遠距離攻撃を撃てるラルドは電気ショックを放とうとした。
だが、それは発動せず、あまり意味が無かった。
「はぁ、はぁ、は、波動弾......」
シルガも自身の波動を、今までの比ではない程の集中力で集める。
が、それも少しだけの時間に、とても小さい波動弾が出来ただけで、直に消えた。
それだけの事があり、そして時間は経つ。
その時間で体力が回復したのは、やはりシルガだった。
帯電+充電のダメージは大きかったらしい。
ラルドは、ある種を握り締め、シルガの方を見た。
「はぁ、俺をここまで傷つけたのは、お前が始めてだ......」
「へっ、そりゃどうも......」
と、言っているが、勝つ為の秘策はもはや無謀だった。
だが......。
(これにかけるぜ......)
「終わりだ......」
そして、シルガが拳を振り上げた瞬間。
ラルドの口から火が吹かれた。
それは今、拳を振り下ろそうとしているシルガに直撃した。
疲労時でのダメージはやはり凄いのか、そのままシルガは少し吹き飛ばされる。
「はぁ、終わった......か?」
「......」
もう何も喋らなかった。
不意打ち......の、可能性は低い。
あれだけのダメージで動けるはずが無い。
......多分。
「......とりあえず」
ラルドは匍匐前進でシルガの近くへ移動する。
そして、バッジを取り出した。
「帰るとするか、このままじゃあれだからな......」
瞬間、ラルドとシルガは黄色い光に包まれた。
そして、光が消えると、そこにあった二人の姿は消えていた。
〜☆〜
「いやー、今日はエンジェル働くな〜。これでギルドも儲けれるよ」
今日もギルドの予算の事しか言わないペルー。
だが、それが日常の風景なので、誰も突っ込まなかった。
ただ、圧迫はされるが。
「儲けた儲け......って、ぐはっ!?」
瞬間、ペルーの頭上にボロボロになったリオルとピカチュウが現れ、ペルーを圧迫した。
その重さは......案外軽いが、体の小さいペルーにとっては、それでも重い、重すぎる!
「な、何が......」
「よ、よぉ、ただいま、ペルー......」
「お、お帰り......って、何だ!?その怪我!?しかもそのリオル誰!?」
「う、うるさいぞ......」
と、同時に、ラルドは力が抜けた。
それに伴い、顔も下がる。
「とりあえず退いてくれ!!お前達を運ぶ事も出来ない!!」
その後、プクリンが見つけてくれたらしい
そして、俺達は......。
〜☆〜
「うーん。相当な怪我だな......」
「ペルー!ラルドはどうなっちゃうの!?」
「......電気袋が少し焼けてる、この分だと、中の電気を発生させる器官も焼けてるね......この程度ならいいけど、打撲も酷い......恐らくこのリオルと戦っている最中に帯電をしたんだろうね」
「どうしてそんな無茶を......」
いや、解かっていた。
ラルドは負けず嫌いだから、そんな無茶な事もするって。
......でも、こうなる事は......ラルド自身も解かっていたかもしれない。
でも......何で......。
「......この場合は電気をを吸い取っていた方が良い、蓄電器官も発電器官も焼けているのに、電気を造らせるなんて、それこそまずい」
「そうだね......ペルー、吸電の機械は?」
「ん?ああ、ここにある」
ペルーの後ろには、何かの機械がある。
吸電機械という、電気を吸い取る機械だ。
さすがペルー!用意してくれてるなんて!
「ぐっ......!!」
「ふぅ......何とか楽にはなったね、さてと、こっちのリオルは......」
「起きている」
「うわぁ!?」
リオルは私が振り向いた瞬間に、起き上がる。
狙ってたんじゃない?これを......。
「まだ安静にしてなきゃダメだよ?」
「......こんな事は何回もあった。が、その度にオレンの実で治してきたからな。もういい」
ミルの優しさ普通に踏みにじってるね......。
でも、確かにリオルは傷治りが早いけど、こんなのは異例だよ......。
「それはそれ、君、自分の両手見て」
「......っ!!」
それは、包帯を巻かれていた。
結構酷い火傷だったからね......。
電気でここまで行く?普通。
「それに、所々に火傷負ってるから......安静にしておいて」
「だから良いと言って......」
瞬間、リオルの口に何かが入る。
それは睡眠の種という、食べると急激に睡魔が襲ってくる、恐ろしい種だ。
だが、睡眠不足の人にはお勧めだぞ!
「これで、一通り治療は完了。さて......」
「?」
「ミル、僕達はもう寝よう。明日になれば、この愚か者も目を覚ますだろうね」
「う、うん......」
大丈夫かなぁ......?
〜☆〜
「うぅ......」
目が覚めると、そこはいつもの景色、探検隊エンジェルの部屋だ。
いつも目が覚めたらこの景色で、いつもの朝日を見る。
が、今日は少し違っていた。
「あ、あれ......?」
目が覚めるまでは普通だった。
だが、何故か体が動かない。
探検隊の仕事があるのに......。
「今日は絶対安静だよ。発電器官は治ったけど、蓄電器官は治っていないからね」
「な、何言ってたんだ......?」
「とにかく、ちょっと寝ててって事!」
「ミルも......って、あのリオルは......?」
「そこで寝てるよ」
そこには、いかにも気絶させれたシルガがいた。
え?何で解かったかって?
......頭に凄い傷が出来てたから......なぁ?
「正しくは[寝てる]じゃなく、[気絶]しているな」
「余計な事は言わない約束だろ?」
「いやいや、そんな約束してな......」
「何て?」
「してました御免なさい」
俺は動けないので、いくらフィリアでも逆らえなかった。
そして、それから一週間......。
今月は仲間が多いなー、何て。
え?理由?
......これから解かるよ。
「......俺はシルガ。種族はリオル。以上だ」
......こんなに素っ気無い返事は、今まで無かったと思う。
それだけ無口なのか?え?
ちなみに。こんな流れになったのは、ある事がきっかけで......。
〜☆〜
「......」
「解からずやだなぁ」
「そうだね」
「いい加減、どうするかハッキリしろよ」
何故、俺が攻められる......。
発端はこいつがあんな事言うからだ......。
挑発したからって、いきなり石のつぶてを投げる事も無かろうに......。
それで俺が「こんな姑息な事しか出来ないのか......」と、言うと。
「はっ!こっちは探検隊!真正面からの強さだけが強いんじゃ無く、道具うまく使って、どう倒すかって戦う前に考えて敵を倒すのも強さなんだよ!!」
とか言っているので「......なら、俺が探検隊になって、お前の寝込みを襲おうか?」と、冗談で言う。
するとどうだろうか?「じゃあ、俺のチームに来てみろ!それでも俺が倒せなかったら、雑魚って呼ぶからな!!」
もう口喧嘩の域を超えていた。
だが、この会話の中にああなった秘訣があった。
そう、探検隊になって、と言う言葉だ。
このせいで、俺は酷い虐め(弄り)を受けていた。
「......寝込み襲撃ありならいい」
もう面倒くさいからな......。
これでいいだろ、寝込み襲撃ありなら......。
「解かった。じゃあ、シルガ入隊記念の祝いだー!!」
「おおー!!」
「ああ、で、どうする?」
「昨日頼まれた依頼こなそ。あの依頼を見たときには、感動したよ」
「何で?」
「初めての探検隊らしい仕事だから!!」
もうこの探検隊抜けたくなってきた......。
〜☆〜
「と、言う流れだ」
「ラルド、何言ってるの?」
「いや?それより、さっさと行こうぜ、その滝壺の洞窟って所に」
「......滝壺の洞窟へは、この[静かな川]と言うダンジョンを通り抜けなきゃいけないな」
ちなみに、何故静かな川を経由しなきゃいけないかというと、滝壺の洞窟への道が土砂で埋まったからだ。
「とりあえず、静かな川へ出発!!」
「進行〜って事だね!!」
次回「滝壺に秘められし洞窟」