第十一話 帯電
今日も、ハイキングやピクニックをするポケモン達が集まる双子山。
ただ、頂上は立ち入り禁止だった。
普通のバトルではこうはなら無いらしい。
なら何故かって?それは......。
〜☆〜
「......終わりか?」
「はぁ、はぁ、ちっ、強い......」
ボロボロになったピカチュウと、多少、傷はあるものの、ピカチュウ程弱っていないリオルがいた。
リオルは鋭い眼光でピカチュウを睨みつけ、ピカチュウの方も同じ様に睨みつけていた。
そして......。
「電撃連波!!」
「守る」
ずっとこの調子だった。
守るが発動しない時には、予め創っておいた五つの波動弾で相殺する。
その繰り返しだった、が、やはりリオルという種族のお陰か、スタミナがある。
そのせいでラルドは大苦戦を強いられていた。
「どうした?まさか、こんな所でくたばるんじゃないだろうな?」
「誰が......!!」
「来るか......」
何回もこの調子だが、もうラルドには力が残っていない。
せめて電気エネルギーだけでも回復できれば......。
......しょうがない。あれをやるか......。
出来れば、危険だからやりたくなかったが......。
行くぜ!!
「行くぞ......」
「......?」
「帯電!!」
瞬間、ラルドの体が光りだした。
普段、体に纏っている静電気を溜めたからだ。
そして......。
「充電!!」
更に上乗せする様に[充電]をする。
そして、更にラルドの輝きは増す。
電気エネルギーはこれで通常時と同じ位になった。
が、問題がある。
充電はしばらく電気を体が作る、という技だ。
それは絶えず発生している静電気である程度発散していたが......。
帯電により、それは不可能になる。
もし、それが一気に発散したら......。
最悪の考えは、頭には浮かべないようにした。
「おらぁ!!」
「電気を使わないのか......?」
「へっ!!ふざけんな!!」
「......単調だな。少しは考えろ」
シルガはまた単調な攻撃と思い、見切りを発動する。
だが、それが間違いだった。
ラルドは見切りや守りを少しタイミングをずらして突破し、攻撃する技――フェイントをやった。
それは予想外だったのか、シルガは直撃を食らう。
が、それだけでは無かった。
足を払い、[叩きつけ]た。
シルガは地面に顔を直撃させ、鼻血が出る。
「くっ......!?」
「まだだ!で、電気ショック!!」
ラルドは弱い電撃を倒れているシルガに撃つ。
だが、比較的に弱かったので、少し痺れただけだった。
「......?まさか......」
「余計な事を考えてる暇があんのか!?高速移動!!」
「......!!」
ラルドは高速移動で電光石火を更に加速させ、倍のダメージを食らわす。
が、[堪える]で耐えられる。
(この邪魔の仕方......まさか、電気を出せなく......?)
「な、舐めんじゃねぇぞ......!!」
だが、疲れているのは一目瞭然。
いや、疲れている所じゃない。
下手をすれば、ここら一帯が吹き飛ぶ。
それだけ帯電は怖いのだ。
「くっ......ぐっ!?」
(副作用か......?まぁ良い、今だ!!)
ラルドが怯んだ隙を狙い、[気合パンチ]をもろに射れた。
だが、瀕死にさせるには至らなかった。
「ぐぅ......!!」
「終わりだ、[波動弾]!!」
シルガは止めと言わんばかりに波動弾を連続で撃つ。
が、それは当たらなかった。
「ぐっ......負けるか......!!」
瞬間、ラルドの体が輝き、体から大量の電気が放出する。
それは波動弾を軽く打ち消し、シルガにまでダメージを与える。
その威力は計り知れなく、地面をも吹き飛ばす。
「くっ......!?」
「へっ......?」
それはシルガでも、益してやラルドでさえも、予測が出来なかった。
しかも、これで充電量の約3割と言う。
「もしかして......これならいけるぞ!!」
「ちっ......ここは、一気に勝負をつけるしかないな」
「ん?」
瞬間、シルガはそこから消えた。
否、空中に跳んだ。
「えっ......?」
「これが俺の奥義......真空波で造った衝撃で、空へ跳び......」
そして、蒼い何かが、シルガの手を包む。
それは、何とも神秘的で、何とも恐怖を与える技だった。
「波動で手を包み、重力をあわせたはっけいを当てる。これが――」
そして、一気に下降していき......。
「[波動掌]だ!!」
技名を言い、ラルドに向かっていく。
が、ラルドも黙ってはいない。
体が輝き、手からバチバチ、と音が鳴る。
両手に電気を纏わせている音だ。
そして......。
「波動掌!!」
「五十万ボルト!!」
二つの技が、激突した――。
次回「仲間と初探検の交差」