ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












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第一章 流れ着きし救世主
第二話 VSイング&バルンそして....
ここは海岸の洞窟――。
海の近くで、所々から海水が入って来ている。
そして、天井から垂れ落ちる水滴が……。
茶色い毛皮のポケモンに当たった。

「きゃあ!何?何が起こったのーー!!?」

「怯えすぎだろ、水滴が落ちただろ。気にするな」

「でも……怖いよーー!!」

必死に涙を堪えようとしているのか、その目には涙が溜まっていた。
だが、何故これくらいで怯えるか解からないラルドには、どうするべきか解からなかった。
……これは異常だが。

「おいおい……? あれ、他にもポケモンが?」

「ラルド! 近づいちゃダメ!!」

「へ?」

瞬間、そのポケモンーーカラナクシから、泥が放たれた。

「うわっ!?」

いきなりの事で、避けれなかったが、ミルの忠告のお陰で掠り傷で済んだようだ。
それでもひりひりして痛いが....。

「効果抜群の技を喰らっちゃったね、大丈夫?」

「ああ、それより……」

「ぎゃあ!!」

「戦るのか……行くぜ、正当防衛って事で!!」

ラルドは近くの石を広い、投げつけた。
以外にダメージが大きいらしく、悲鳴を上げた。

「行くぜ!!オラァ!!」

「ぐがっ!!」

そしてラルドは止めにパンチを繰り出した。
いや、パンチしただけなのだが……。
結構強いらしい、カラナクシは吹き飛ばされた。

「ふぅ、何だったんだ?」

「このカラナクシは野生ポケモン。自我を失って暴走したポケモンだよ」

「野生ポケモン?何だそれ・」

「うーん、詳しい事を言うと、私達の様な自我を保ち、社会で生きるポケモンと縄張りなどを持って、侵入者を撃退する事や、お腹が空いたら木の実などを食べる様な野生ポケモンと、分かれてるんだよ」

「へぇ、良く解かった」

大半は解かってないだろうが。

「……。もうすぐで着くよ」

「ああ、ぶん殴ってやる!!」

「ラルド……有り難ね」

「ん?純粋にあいつ達にむかついただけだが....」

「うん……」

ミルの顔には汗が垂れている。
漫画の様に。

「さてと、いたけどどうする?」

「うん、私が……言う!!」

「おお、行って来い!!」

「あ?」

この声に気付いたのか、バルンとイングはこちらに気付いたらしい。
ミルは足を震わせながらもこう言った。

「た、宝物、返してよ!!それは私の大事な物なの!!」

「ほう、宝物か。やっぱりか」

「売れば高値がつくかも知れねぇ、余計返せなくなったな」

「え……!?」

ミルは驚愕の表情をした。
自分の言った事を逆手に取られたのだからか、
それとも返してくれないと聞いたからか……どちらにせよ、値打ちがないのは分かる。
だが。

「ふざけてんじゃねぇぞ!!」

「なっ....ぐわっ!!」

イングは行き成りの衝撃に反応できず、吹き飛ばされた。
その時に電気がラルドの手を迸っのは、見間違いだろうか。

「イング!!」

「お前達、ふざけんなよ!!人の物奪って!!」

「ぐっ....そこまで言うなら、実力で取り返してみろ!!」

「言われなくても....」

ラルドは体当たりをして来たバルンを紙一重で避けて、拳を叩き込む。
そして、バルンは二転、三転と、跳ねて行った。

「そのつもりだぜ!」

ラルドはある種を投げつけた。
天井に。

「なっ....何だ!?」

「炸裂しろ!」

瞬間、種は爆発し、天井がその衝撃で崩れる。

「うわぁ!?」

「避けろ!こっちだイング!」

そして、海岸の洞窟奥地は崩れた――。





〜☆〜

「はぁ、危なかった……」

「でもまぁ、この分だとあいつ達も……自殺行為じゃ」

「あいつ達も?」

「ヒッ!?」

そういった直後、バルンの体は吹き飛んだ。
爆発により。

「まさか……爆裂の種!?」

「そうだ! んで……」

「まさか……ぐわぁぁ!!!」

「さっき頭の中に入ってきた技で止めだ!!」

そして、イングは眩い閃光に包まれた――。



〜☆〜

「へっ、これで終わったか?」

「うん……そうだ!遺跡の欠片!」

「? あの石の事か?」

「うん、どこ行っちゃったんだろう……」

「なら一緒に……っ! うわ!?」

「え?ラルド!?」

その時、俺は宙に浮いていた。
いや、吹き飛んだの方が正しいかもしれない。

「何だ? ……まさか!!」

「へへっ、引っ掛かったな!!」

「やっぱりか!」

イングとバルンだった。
恐らくギリギリ残った体力で、この作戦を思いついたのだろう。風起こしで不意打ちという。
やられたと見せかけて。

「へっ、こんな不意打ちしか出来ねぇのか?」

「強がりを……毒ガス!!」

バルンは風起こしに毒ガスを放った。
そして、風起こしは毒ガスに包まれていった。

「ちっ、電気ショック!!」

ラルドも負けじと電気ショックを放つ。さっき頭に浮かんできた技だ。
が、馴れていない為なのか火花が散ってしまっただけだった。
そう、散ってしまった。
瞬間、風起こしの竜巻は爆発し、爆風でイングとバルンは岩に頭をぶつけ、戦闘不能となった。
そして、ミルは岩を盾にし、何とかやり過ごした。

「どうして爆発を……まさか!」

爆発した理由?
毒“ガス”に引火したらしい。
そして、ラルドは……。

「げほっ、あー吃驚した。死ぬかと思った」

「ラルド!!」

「何だったんだ? 行き成り爆発して……ミル?」

「大丈夫だった!?」

ミルはラルドに向かって走り、無事かどうか訊ねた。
だが、彼は満面の笑みで言った。

「大丈夫だ。咄嗟に爆裂の種である程度の相殺にかかったんだけど、まさか成功するとはな……あ、これ」

そして、ラルドは不思議な石を渡した。

「コレ……」

「いやー、吹き飛ばされたら、偶然見つけてさー」

「……ラルド」

「何だ?」

ミルは、ラルドを超えるような笑みでこういった。

「ありがと」

と――。



〜☆〜

「あ……ここは……」

「あいつ達!」

「ヒッ!!イング!」

「ああ、バルン!ここは....」

「「ずらかるぜ!!」」

そして、イングとバルンは、あの体では到底無理そうな速さで逃げて行った。
ってか、ミルよりも速いんじゃないか...?浮いてるだけなのに。

「……逃がしちゃった」

「ま、無事に遺跡の欠片は戻ってきたし、一件落着だな」

「うん!」

「じゃ、俺はこれで……どこ行こ」

そう、ラルドは記憶喪失に元ニンゲン。
どこにも行く当てがない。

「ねぇ、ラルド」

「何だ?」

「あのね、もし、良かったら……」

「?」

「私と……探検隊になって!!」

「え?……な……」

ラルドは非常に驚いた顔で、こういった。

「何だってぇぇぇ!!??」


次回「探検隊結成」

ものずき ( 2012/07/13(金) 21:00 )