第二話 VSイング&バルンそして....
ここは海岸の洞窟――。
海の近くで、所々から海水が入って来ている。
そして、天井から垂れ落ちる水滴が……。
茶色い毛皮のポケモンに当たった。
「きゃあ!何?何が起こったのーー!!?」
「怯えすぎだろ、水滴が落ちただろ。気にするな」
「でも……怖いよーー!!」
必死に涙を堪えようとしているのか、その目には涙が溜まっていた。
だが、何故これくらいで怯えるか解からないラルドには、どうするべきか解からなかった。
……これは異常だが。
「おいおい……? あれ、他にもポケモンが?」
「ラルド! 近づいちゃダメ!!」
「へ?」
瞬間、そのポケモンーーカラナクシから、泥が放たれた。
「うわっ!?」
いきなりの事で、避けれなかったが、ミルの忠告のお陰で掠り傷で済んだようだ。
それでもひりひりして痛いが....。
「効果抜群の技を喰らっちゃったね、大丈夫?」
「ああ、それより……」
「ぎゃあ!!」
「戦るのか……行くぜ、正当防衛って事で!!」
ラルドは近くの石を広い、投げつけた。
以外にダメージが大きいらしく、悲鳴を上げた。
「行くぜ!!オラァ!!」
「ぐがっ!!」
そしてラルドは止めにパンチを繰り出した。
いや、パンチしただけなのだが……。
結構強いらしい、カラナクシは吹き飛ばされた。
「ふぅ、何だったんだ?」
「このカラナクシは野生ポケモン。自我を失って暴走したポケモンだよ」
「野生ポケモン?何だそれ・」
「うーん、詳しい事を言うと、私達の様な自我を保ち、社会で生きるポケモンと縄張りなどを持って、侵入者を撃退する事や、お腹が空いたら木の実などを食べる様な野生ポケモンと、分かれてるんだよ」
「へぇ、良く解かった」
大半は解かってないだろうが。
「……。もうすぐで着くよ」
「ああ、ぶん殴ってやる!!」
「ラルド……有り難ね」
「ん?純粋にあいつ達にむかついただけだが....」
「うん……」
ミルの顔には汗が垂れている。
漫画の様に。
「さてと、いたけどどうする?」
「うん、私が……言う!!」
「おお、行って来い!!」
「あ?」
この声に気付いたのか、バルンとイングはこちらに気付いたらしい。
ミルは足を震わせながらもこう言った。
「た、宝物、返してよ!!それは私の大事な物なの!!」
「ほう、宝物か。やっぱりか」
「売れば高値がつくかも知れねぇ、余計返せなくなったな」
「え……!?」
ミルは驚愕の表情をした。
自分の言った事を逆手に取られたのだからか、
それとも返してくれないと聞いたからか……どちらにせよ、値打ちがないのは分かる。
だが。
「ふざけてんじゃねぇぞ!!」
「なっ....ぐわっ!!」
イングは行き成りの衝撃に反応できず、吹き飛ばされた。
その時に電気がラルドの手を迸っのは、見間違いだろうか。
「イング!!」
「お前達、ふざけんなよ!!人の物奪って!!」
「ぐっ....そこまで言うなら、実力で取り返してみろ!!」
「言われなくても....」
ラルドは体当たりをして来たバルンを紙一重で避けて、拳を叩き込む。
そして、バルンは二転、三転と、跳ねて行った。
「そのつもりだぜ!」
ラルドはある種を投げつけた。
天井に。
「なっ....何だ!?」
「炸裂しろ!」
瞬間、種は爆発し、天井がその衝撃で崩れる。
「うわぁ!?」
「避けろ!こっちだイング!」
そして、海岸の洞窟奥地は崩れた――。
〜☆〜
「はぁ、危なかった……」
「でもまぁ、この分だとあいつ達も……自殺行為じゃ」
「あいつ達も?」
「ヒッ!?」
そういった直後、バルンの体は吹き飛んだ。
爆発により。
「まさか……爆裂の種!?」
「そうだ! んで……」
「まさか……ぐわぁぁ!!!」
「さっき頭の中に入ってきた技で止めだ!!」
そして、イングは眩い閃光に包まれた――。
〜☆〜
「へっ、これで終わったか?」
「うん……そうだ!遺跡の欠片!」
「? あの石の事か?」
「うん、どこ行っちゃったんだろう……」
「なら一緒に……っ! うわ!?」
「え?ラルド!?」
その時、俺は宙に浮いていた。
いや、吹き飛んだの方が正しいかもしれない。
「何だ? ……まさか!!」
「へへっ、引っ掛かったな!!」
「やっぱりか!」
イングとバルンだった。
恐らくギリギリ残った体力で、この作戦を思いついたのだろう。風起こしで不意打ちという。
やられたと見せかけて。
「へっ、こんな不意打ちしか出来ねぇのか?」
「強がりを……毒ガス!!」
バルンは風起こしに毒ガスを放った。
そして、風起こしは毒ガスに包まれていった。
「ちっ、電気ショック!!」
ラルドも負けじと電気ショックを放つ。さっき頭に浮かんできた技だ。
が、馴れていない為なのか火花が散ってしまっただけだった。
そう、散ってしまった。
瞬間、風起こしの竜巻は爆発し、爆風でイングとバルンは岩に頭をぶつけ、戦闘不能となった。
そして、ミルは岩を盾にし、何とかやり過ごした。
「どうして爆発を……まさか!」
爆発した理由?
毒“ガス”に引火したらしい。
そして、ラルドは……。
「げほっ、あー吃驚した。死ぬかと思った」
「ラルド!!」
「何だったんだ? 行き成り爆発して……ミル?」
「大丈夫だった!?」
ミルはラルドに向かって走り、無事かどうか訊ねた。
だが、彼は満面の笑みで言った。
「大丈夫だ。咄嗟に爆裂の種である程度の相殺にかかったんだけど、まさか成功するとはな……あ、これ」
そして、ラルドは不思議な石を渡した。
「コレ……」
「いやー、吹き飛ばされたら、偶然見つけてさー」
「……ラルド」
「何だ?」
ミルは、ラルドを超えるような笑みでこういった。
「ありがと」
と――。
〜☆〜
「あ……ここは……」
「あいつ達!」
「ヒッ!!イング!」
「ああ、バルン!ここは....」
「「ずらかるぜ!!」」
そして、イングとバルンは、あの体では到底無理そうな速さで逃げて行った。
ってか、ミルよりも速いんじゃないか...?浮いてるだけなのに。
「……逃がしちゃった」
「ま、無事に遺跡の欠片は戻ってきたし、一件落着だな」
「うん!」
「じゃ、俺はこれで……どこ行こ」
そう、ラルドは記憶喪失に元ニンゲン。
どこにも行く当てがない。
「ねぇ、ラルド」
「何だ?」
「あのね、もし、良かったら……」
「?」
「私と……探検隊になって!!」
「え?……な……」
ラルドは非常に驚いた顔で、こういった。
「何だってぇぇぇ!!??」
次回「探検隊結成」