ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












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第六章 “休息”
第四十七話 “剣使い”と女王様
あれからギルド以上に広すぎる城の中を正確に案内され、女王の間とかいう如何にもフィルスっていう人が居そうな部屋にやってきて――。





〜☆〜

「女王の間……?」

「どうやらフィルスって人がいるみたいだな……フィリア?」

俺がふと横目でフィリアも見ると……何故か鼻をクンクンと嗅いでいた。
おいおい……なにしてるんんだよ。

「げっ……剣使いはいないけど……父さんがいる」

「フィリアのお父さんとお母さんか……どんな人だろうね」

「……少なくとも良いものではないのは確かだよ。後ラルド」

「?」

「もし、君達が泊まる事になったら……夜に気をつけて」

言ってる意味は解からなかった、だって泊まる事になんて……。

「早く入れ」

……このピジョットうざいな。



――女王の間――



「只今帰りました」

フィリアは扉をそっと開けると、膝をついて頭を下げてただいまの一言を堅くいう……まぁお金持ちだしな、そういうところは仕方ないだろう。

中はさすが女王の間、といえる程の広さに加えて五匹程のキリキザンが女王の椅子を取り囲むように立っている事から、護衛の役割だろう……それに横にはフシギバナもいる……父親だろうな。

ちなみにタマゴグループはこの世界ではある程度無視できるらしい……まぁ無性別とかはさすがにだけど。

「フィリア……お前は一体どういうことをしたのか解かっているのか?」

「はい、父さん……そういうことを重々承知の上でしたことなので」

「……むぅ」

フシギバナの問いにも、覚悟の上でした、という返事で返す。
フシギバナの顔にも曇りが見えたが……直に消える。

「……まぁ父親としては嬉しいよ」

「……え?」

「全く、あの引きこもり娘がここまで成長するなんて……本当良かった、良かった」

「と、父さん!? 元はといえばあまりにもの修行と言うの名の拷問のせいで外に出れなくて……」

「お菓子を食ってる暇があるなら、外にも出れるだろう」

「うぐっ……」

……どうやらフィリアは相当な引きこもりだったらしい。

「そして、後ろの人たちは……ん?」

あれ? 今俺を見ような……気のせいか。

「同じ探検隊エンジェルのメンバーです。こっちは副リーダーで親友のミル、で、こちらは頼れるリーダーのラルドです」

「ギロッ」

「ッ!?」

あ、あれ? 今思いっきり睨まれたような気がする……しかも滅茶苦茶大きくて傷がついた蔓を出して……え? 傷だらけって事は……なるほど、元探検隊か。

「失礼……あなたの力試させてもらう」

「へ……?」

瞬間、五匹の石像の様に固まっていたキリキザンが襲い掛かってくる!

「って、いきなりなんだッ!?」

俺はそれを一人目をを受け流して“メガトンキック”を下から打ち込むと、二人目に投げつけて“十万ボルト”を撃ち込む。

「ラルドッ!?」

「ミル、心配してくれてありがとな」

そんな間にも一人を“雷パンチ”を二発撃ち込む。
フシギバナの人は驚いていたようだが、今は前に居る二人を相手にしなければならない。

「“衝撃電流≪インパルス≫”ッ!!」

「「ぎゃあッ!?」」

最後に衝撃を含んだ電流……インパルスで吹き飛ばした。

「……ふぅ、終わった」

「ほう……クイーンナイトたちを……」

「父さん! なんでクイーンナイトを!?」

「この城に♂が入る=死の試験だというのは解かるだろう?」

え? おいおいまさか……殺す気だったのか? だったら危険だったんじゃ……。

その時、俺は血の気がサッー、と引いた気がした。

「まぁ、裏でも活躍しているな」

ちょっと待ってくれよ。裏ってまさか……うわぁ!?

「あ、暗殺とか……?」

ミルが怯えながらそう尋ねる。まぁそれは多分……。

「本当、だな」

「……」

「すいません、ミルがあまりの恐怖に怯えてるんで……」

「ふむ、刺激が強すぎたかな?」

「そういうレベルじゃないよ……父さん」

いや、俺も死んだかもしれないしな……そういえば、こいつの許婚っていう事は……うん、剣使いだもんね。

「ちなみにかかった時間は約十二秒……ふむ、あの時の子とは五秒も離れているね。更に話の時間も引くと……十秒か。なるほど……」

一人で何言ってんだろ……そういや、許婚のやつってどれだけ強い……。

「はぁッ!!」

「うん? ……って、えぇ!?」

いきなりの大声に振り返った俺が見たのは……フィリアに“エナジーボール”の約二倍ともいえる大きさの“エナジーボール”だった。

「み、“見切り”!!」

咄嗟にその技名を言うと、その名の通り技を見切り……それを避けることに成功した。

「ふむふむ……フィーちゃんが久々に男の子を連れてきたと思えば、中々面白いじゃないですか。あんな時間の中で冷静な対処をするとは」

「へん、俺なら斬ってやったぜ!」

「あれには爆裂の種を入れておきました……あなたは斬ったらその剣の能力で炎で衝撃やらを吸収するからいいでしょうが」

(実際、相殺したら手が痛くなるから避けたんだけどな)

さっきの衝撃電流≪インパルス≫で俺の手は少し痛んでるからな……さてと。

「あなたが……フィルスさんですか?」

そこにいたのは、ツタージャの最終進化系……ジャローダだった。

「そうです。フィーちゃんを誑かす男を駆除しに来ました」

「駆除て……で、そっちは? 見たところ“許婚”さんでしょうが」

「ああ、自己紹介がまだだったな、俺は……」

そして、影から出てきたのは……。

「俺はヒトカゲの“ヒイロ”! 意味は緋色だ……よろしくな!!」

緋色のトカゲ――ヒトカゲのヒイロと名乗る者だった。



次回「緋色と黄色のフィリア争奪戦!?――前編」

■筆者メッセージ
ヒイロはその名の通り“緋色”から来ました。
フィリアは……何故か解かりませんが自然と思い浮かびました。
ミルは飼い猫の名前からの派生、ラルドは……ですね。

名前がポンポン浮かぶ人を尊敬します。
次回「緋色と黄色のフィリア争奪戦!?――前編」お楽しみに!
ものずき ( 2012/09/15(土) 19:26 )