第四十六話 お姫様の家からの招待状
あれから二日間――ラルドが地味に骨折していたを知って僕達は二日間二人で頑張っていた。
骨折しているのに痛みも感じた様子を見せずに話を聞いたりあの大階段を上りきった所から見て、もう治るはずで――。
〜☆〜
「もう大丈夫よ」
「ありがとう。フウさん」
「もう、いつまで“さん”付けしてるの♪」
「……」
僕達は今エンジェルの弟子部屋にいた。
シルガは一応行方不明ということになり、荷物などもある事から脱走はまずないと断定されたらしい。
(それよりも……“あいつ”っていうのはやっぱり……)
あの作戦を決行してからまだリードが捕まったと言う知らせは着ていない。
そして、シルガもあれからどこに行ったのかは解からない。
「さてと、ミル、フィリア。さっさと依頼見に行くか」
「君、まだ安静にしなきゃいけないんだよ?」
「そうだよラルド? もしまた悪くなる事があったら……」
「大丈夫だって……そういやフィリア。前にお前宛に手紙が来てたぞ?」
「「手紙?」」
手紙って……一体なに?
「えーと、なになに……“フィルス・レヴェリハート”だって」
「げっ……」
「しかもなんか今日来るらしいぞ……ってフィリア!? お前荷物まとめてどうした!?」
「逃げるんだよ……君達とは短いようだったけど、お世話になったよ」
「え? フィリアどうしたの?」
いきなりこれは意味解からないかもしれないが……しょうがないだろう。
「フィルス・レヴェリハートは僕の母親なんだ」
「うん。後この“許婚”って?」
「えぇッ!?」
「ミル、驚きすぎだよ……許婚の相手、それは……未熟な剣使いだよ」
剣はこの世界ではさほど珍しくない……のだがあの剣とこの剣は別だ。
「で? 今日のいつ来るの?」
「十時」
「うわぁああああ!!!!」
「ら、ラルド! 史上初、フィリアが狂ったよ!!」
「ああ、いつも狂いそうだったけどな……」
もう限界だよ、だって絶対に避けなきゃいけない危険が目の前、しかも避けれない所にいるんだよ? ……狂いたくもなるよ。
「えーと、馬鹿な娘がそちらにいると知ったので、移動用の者を数名連れて参ります。
PSあなたの許婚は明日来ますので」
「だって……なんか許婚に対して滅茶苦茶嫌がってるけどね……」
ああ、もう……こうなったら崖から飛び降り……。
「ん? おーい! フィリア、お前にお客さんだぞッ!!」
……もういやだ。
〜☆〜
さて、今私達は移動用の者なる人達の前にいるのだけど……ピジョットが十人そこそこいた。
……相当な大金持ちだね、フィリアって……。
「で、私達今はなにしてるんだっけ」
「ピジョットの上に乗ってる途中……あ、お前舌噛むから喋らない方がいいぜ」
「なにをー!? ……ブッ!?」
「ほら見ろ」
「うぅ……」
ちなみにフィリアは最前列にいる……さて、もう直着くと思うけど……。
「ねぇ、ラル……へぶッ!?」
「また舌かむって……少しは学習しろ。それより……」
「へ……? あ、うん」
私がラルドの合図で前を見ると……そこには。
「さてと……ラルド、ミル。降りて」
「あ、ああ」
「う、うん」
私達はピジョットの人たちから降りて、再度前を見る。すると景色は変わらずそこには……。
「ようこそ! ――僕の家へ!!」
大きな大きな、童話に出てきそうな幻想的という言葉が似合う――お城だった。
次回「“剣使い”と女王様」