第四十三話 決戦!VSリード、シルガ 後編
ここの小島はあまり端との距離が短くない。そんな中で、そこを全力疾走しているピカチュウがいた――。
〜☆〜
「強い……ッ!!」
「片手のリーフブレードに、私達の同時技が破られてく……!」
一方、シルガがラルドと戦っている間、僕たちは盗賊リードと戦っていた。
だがリードの強さは別格であり、僕達の合体技や同時の技などが悉く破られていた。
「この程度か?」
「違う……“シャドーロアー”!!」
「“ソーラービーム”ッ!!」
「“真空翠斬”」
二人の最強の技も、リードの最強技……真空斬りにリーフブレードを乗せた“真空翠斬”に斬られる。
「強すぎるよぉ……」
「諦めないで……ここは」
僕は半ば諦めているミルを少し励ますと……お得意の速さでリードに向かっていく。
「ふん……“リーフブレード”」
それをなんの変哲のない表情で見据えると……“リーフブレード”で斬る。
「甘いよ!!」
だが僕はそれを身代わりで受け止めた!
「なぁっ!?」
「行くよ……ミル!」
「う、うん!」
初めての驚きの表情に、僕は優越感を覚える。
――終わりだ。
「至近距離なら……“ソーラーブレード”!!」
「“シャドーセリエス”ッ!!」
「――ッ」
瞬間、ソーラービームのエネルギーを乗せたリードの十八番であるリーフブレード……“ソーラーブレード”と、上空に打ち上げたシャドーボールを落とし当てる技……“シャドーセリエス”をそれぞれ当てる。
その直撃を受けたらさしものリードも深手を負うだろう……そう、油断したのが間違いだった。
――刹那、フィリアの体が宙に飛んだ。
「え……?」
あまりのことに痛みにも体が着いていってないらしく、血が出ていると言うのに痛みが全く感じられない。
「貴様ら……ゆるさんぞ」
「ひっ……」
そこにいたのは、間違いなくシュプトルだった。でもそれが……緑のオーラを身に纏っていたら、恐怖以外の何者でもない。
「終われッ!! “リーフブレード”!!」
「まずい……」
「きゃああ!!」
ここで終わる……! そう感じた時だった。
……。
いつまで経ってもこない衝撃に、僕はふと目を開ける。するとそこには……。
「悪い……遅れた」
「ラルド!?」
「ラルド……?」
だが様子が少し可笑しく、なんだか眼もエメラルド色に……ってまさか!
「解放……?」
「正確にはあの時より力が出てないから不完全だけどな……いつまで経っても超帯電≪ボルテックス≫解除できなかったから可笑しいと思ったら……こうなってたんだ」
ラルドは正確に説明してくれた。どういう経緯で解放できたかはしらないけど……。
「た、助かった……」
僕は少し、緊張が解けた気がした。
〜☆〜
さてと、なんとか間に合ったんだけど……あれは拙かったなぁ。いくらなんでもリーフブレード、しかも高レベルの奴の高威力の喰らっちまって。
……俺も気を引き締めないと……殺られる。
そのくらいの眼光で睨みつけてきたのだ、このジュプトル、リードは。
「行くぞ……“メガトンパンチ”!!」
「……見切り」
俺の渾身のメガトンパンチは、リードの見切りによって避けられる……面倒くさい!
「“メガトンキック”!!」
「“叩きつける”」
俺の技を綺麗に叩きつけるでその名の通り地面に叩きつけて……いくらこっちの方が高威力でも上から攻撃されちゃ意味が無い。
「これだからクールは……“シース”!!」
「――!?」
この技――雷撃弾シースは予想外だったらしく、相殺できずに直撃する。
ちなみにリードの攻撃力などが強くなってたのは新緑のお陰だ。そのため叩きつけるは威力が増幅しないためあんな使い方をしたのだ。
「まだまだ……おりゃあ!!」
「くっ……!」
今度は技でもない平凡な裏拳、そして怯んだ所に俺は全力の“突き”を入れる!
「かはっ……?」
間髪いれずに受けた攻撃は、さすがに強かったらしく少し吹き飛ぶリード。最も体格さがあるので思いっきり吹き飛ぶっていうのは無いだろうが。
「今だ……“シャドーボール”!!」
「よし! ”十万ボルト”!!」
援護射撃で飛んで来たシャドーボールに、俺は十万ボルトを上乗せする。
「なんだこの連携は……」
「へっ、天下の大泥棒が情けねぇな……終われッ!」
そして、二つの技は同時にリードに直撃した。その威力は尋常じゃなかった。そう、尋常ではない、はずだった。
「くっ……強いな」
「えぇっ!? なんで倒れてないの!?」
「少し遅かったけど“リーフブレード”で一刀両断していた……流石としか言いようが無い」
そう、あんないきなりの猛攻にも反応しただけ凄いとしか言いようが無い。
「負けるか……見たところこいつも“バースト”使用者だが……不完全、だから俺でも勝てる」
「……? おい待て。バーストってなんだ!? 俺が使ってんのは解放だぞ!?」
「騙されてる……? まぁいい。貴様はここで終わるのだ……“真空翠斬”!!」
リードが一歩脚を踏み出すと……さっきのような緑の刃が現れた……だが、数は二十と明らかに本気になっている。
「……ミル、頼むぞ」
「解かった」
「行けッ!!」
そして、二十もの刃がラルド目掛けて飛んだ――のだがそれは全て影の如く黒い咆哮によりかき消されると同時に、リードへ向かう。がそれは避けられてしまう。
「こいつら……連携がどのチームよりもなっている……!?」
今まで盗賊であるリードは幾多の探検隊に逮捕させられそうになったが……結局はチームの連携が取れてなかったため、簡単に倒すことが出来た。
だが、このチームは違った。なぜならラルドは命の恩人ともいえるミルを心から信頼してるし、ミルもまた然りだった。
つまり……このチームは実質リードにとっては初めてのタイプとなっていた。
「だがこんな所で……“リーフブレード”!」
「へっ、接近戦ならお任せだぜ!!」
俺はリードのリーフブレードのギリギリまで近づくと……。
「“衝撃電流≪インパルス≫”!!」
「ぐぁあッ!?」
「やった!」
いくらエネルギーの刃とはいえ、衝撃により使用者が吹き飛ばされては届くはずもなく……リーフブレードはかき消される。
「強い……だが」
ん? なにを……。
「これはどうかな?」
「え?」
気がつけば、俺の後ろの後ろ……つまりミルの後ろにリードが立っていた。
い、いつの間に……?
「眠っておけ……“タネマシンガン”」
「きゃあ!?」
タネマシンガンとは、その名の通り種状のエネルギーをマシンガンの様に放つ技のことだ。
しかも首元に受けたらしく、少し気絶していた。
「一対一……か」
「後はお前だけだ……“高速移動”!!」
やっぱり! 只でさえ早いくせに高速移動、更に電光石火まで使ってやがる……これは見えないわけだ。
だが秘密を見破った俺に死角はなく……習性を応用した。
当然素早く迫ったら攻撃するはず、そして一歩一歩と近づいてくる。
ならば……こうするんだ!
「“電磁周波”」
「がっ……」
その技は、周囲に電磁波を放つだけの技だが……こんな発想で戦況などは一変する。
「今だ……」
俺の中で蓄えられていた電気を全て解放し、手の止めてリードのお腹に当てる……そう、あの時と同じだった。
「“衝撃電流最大火力≪インパルスフルファイア≫ッ!!」
「がぁああああ!!??」
その衝撃は先程とは比べ物にならなく、リードは軽く吹き飛び、水晶に少しめり込み俺は……後ろに吹き飛ぶ&腕の骨が折れた。
「へ、へへ……やっぱりきついや」
でもまぁ、リードを倒せたことだし。もう大丈夫……。
「――死ぬかと思ったぞ」
「へ?」
俺からでた間抜けな声はいかにも間抜けさを強調しており……後ろにリードがいる事を恐怖していた。
「なんで……だよ?」
「先程の戦闘でそちらのツタージャが“身代わり”と言う防御方法を教えてくれてな……俺も焦ったが、ダメージは少し軽減できた」
「は、ははは……」
終わったな、これ。
刹那、俺は大きく吹き飛んだ。
「はっ……」
「これが俺の正義なんだ……許して欲しい」
やっぱり……無理だったんだよ。こんな俺がこんな強い奴に勝とうだなんて。
ああもう……。
「背中の大切り傷……そして目の前にリーフブレードの体制を構えるリード……終わったな」
そして、俺は目を閉じた――。
次回「女神が微笑んだのは?」