第四十二話 決戦!VSリード、シルガ 前編
俺達エンジェルは、あれからモンスターハウスなどに迷い込むも無事に水晶の湖に来る事が出来た。だが、そこでは時空の叫びどおり……いや、介入者がいたな、名前は……シルガ!
〜☆〜
「なんでお前が……!?」
「はっきり言ってが俺はそこの二人とはなんの関係も無いからな。チームメイトというだけだ。その分見切りも付けられたし……有り難うな、ちなみにこいつと俺は二人が絶対に知らない場所から来た……大体の説明はこうだ」
「――そんな事を言ってるんじゃねぇよッ!!」
あまりの怒りに、俺は堪忍袋と言う名の我慢袋の緒が切れた。しかも関係無いだと!?
「だったらお前と喧嘩したあの時も……色々あるけど全部縁起だったてか!?」
「あれは素だ。素の方がばれないしな……お前があれだけ俺がリードと繋がってることをほのめかしても気付かないから焦ったぞ? ……計画が崩れる」
「てめぇッ!!」
怒りに身を任せ、俺はシルガに向かっていく。だがそれでは見切りで避けられる事は承知している。
「そんなもの……“見切り”」
やはり予想通りに見切りを使ってきた……行ける!
「残念だったなぁ! シルガ!!」
「ッ!?」
俺は少し時間を空けて……手に雷を纏う。
「“フェイント”!」
見切りや守るは効果持続時間が長くない……だからギリギリまで近寄り、そのタイミングをずらして……雷パンチの“フェイント”をする。
「ほう……少しは腕が上がったようだな」
「少し所じゃねぇよ……ちっ、波動纏装してやがったか?」
「それもあるが……俺は波動でのドーピングのようなものをしている。お前に勝ち目は無い」
「なら……やってやる!」
俺は全神経を目の前に集中する。それはまさしく……。
「“気合パンチ”!!」
気合パンチ、高速かつパワーのある技だが溜めの時間が長く隙が無いと中々撃てない。だが俺はそれをあえてこの場面で使い……更に手に雷も纏わせる。
「波動纏装、一部武装」
だがそれも意味が全く解からない言葉の技により……防がれる。
「どうだ? 解放でもしない限り無理だぞ?」
「お望みとあらば……絶対にやってやる!!」
だが、解放など今は夢の又夢状態。使えるはずも無い。
ならどうするか? 答えは一つだ。
――無茶をする。
「お前のその腐った根性叩きなおしてやる……ッ!」
「その技は……自害もいいところだな」
「黙れッ!! 俺は自分でお前を倒す!! だから……この技を使う!!」
瞬間、ラルドの体が青白く光る。それは正しく帯電……いや、超帯電≪ボルテックス≫の証拠だ。
「行くぞ……下種野朗!!」
「ふん……来い」
「望みどおりにしてやるよ!!」
まるで電光の如く速さでシルガに向かうラルド、だがそれもシルガの波導による探知で脚を払われ、そのままずっこける。
「ドジ踏んだな」
「なにを……!」
振り向きざまに薙ぎ払い型の”十万ボルト”を放つが、波動纏装によりまたもや防御される。
今までの戦闘で解かったことは……今のこいつは……ジュプトルレベルだ。
「なら……あれしかない!!」
至近零距離からの“衝撃電流≪インパルス≫”。これしかもうラルドの頭には無かった。
「行くぞ……薙ぎ払い型”W十万ボルト”!!」
実はこれ電気のコントロールが難しく、途中ではじけ跳ぶ事があるのだが……それでもいけたほうだ。
「こんなもの……波動纏装解放≪バースト≫」
今恐らくシルガの最強の技で、シルガは相殺を図った……やっぱりだな!
「計画完了、行くぜ……“影分身”!」
「そんなもの……波導で見破って……ッ!?」
「あぁっ!! 拙い忘れてた!?」
「(なんだ……? 影分身全員が波導を!? まさか……こんな時に“力”の誤作動か!?)」
シルガは激しい動揺を起こすも、それは心の中だけなのでラルドには気がつかれなかったらしい、だが傍から見ると無表情のまま止まっているように見えとても不気味だ。
「(今だ……止まってる今に!!)」
俺は影分身の一番前に来ると、シルガに向かって突進する。
「なぁッ!?」
「どこでも探知できたら強い、技を自由自在に強い、そんなのいつ誰が決めた!? 大事なのは……」
ピトッ、と両手をリオル特有の黒いお腹に当てると……。
「腐った性根を元に曲げてやる!!」
わずか二秒の間に徐々に光が強くなり、そして……。
「吹き飛べッ!! “衝撃電流≪インパルス≫!!」
「がぁああ!?」
その衝撃は凄まじく、本人にまでダメージが来ていた。その威力は並みのものではなく、軽くシルガを吹き飛ばすほどの高威力&高衝撃だった。
ちなみにその時に、ラルドの体が蒼く光ったのは気のせいだろうか。
「ぐっ……!」
「止めだ……あの時の技で!!」
一気に言葉を叫び、手を天に上げると、あの時の技を言い放った。
「“五十万ボルト”ォッ!!」
「ぐっ……間に合わないが……“波動纏装”“一部武装”!!」
そして、あたりに轟音が鳴り響いた――。
〜☆〜
あの大技の後、俺はどっと体が疲れるのを感じた。当たり前だろう、あんな普通のピカチュウではやりようの無い技を放ったのだから。
それに衝撃電流≪インパルス≫……あれはきつすぎた。
「げほっ! ……決着は……着いたか」
「……ふん」
ラルドの見る先には――倒れたシルガがいた。
「……どうした? 早く行け」
「なんで……あんな奴の協力をした?」
「俺達には宿命がある……それをこなそうとしただけだ。他意はない」
そう強く言い切るシルガの目には、うその二文字が見えなかった。
それほど……強く言いきれるのだろう。
「なぁシルガ……俺はお前を許さねぇ」
「ああ」
「だが……信用はしている。だから……後はお前の好きなようにしろ」
「良いのか? 俺は極悪盗賊の仲間だぞ?」
「その前に仲間だ!」
ラルドは覚悟を決め、その言葉を……仲間と言う言葉を断言した。
「……ふん。どのみち俺は負けた……それは事実だ」
「シルガ……」
「俺のことは煮るなり焼くなり好きにしろ……但し、愛しのお姫様はどうなっているか知らんぞ」
「……! まさか……待ってろ!! ミル、フィリア!!」
俺はその事を聞くと同時に走り出していた……最高速で。
「……ふん。置き土産はさせてもらったぞ……もし、もしだが……あいつの中の“あれ”が暴走したとき……お前はどうする?
――レイン」
その言葉をつぶやくシルガの顔は、どこか寂しげが顔だった――。
ちなみにその後、シルガはその場所から消えていた。
次回「決戦!VSリード、シルガ 後編」