Chapter1
03 3.弟妹が消えた
次の日、カヨコに置き手紙を残して、ツウ少年は家を出て変装し、ガイア団のアジトに行った。
「リトー、おっはよ。」
アジトに入ってすぐのソファに、カルザが座っていた。
「ああ、おはよう。」
「今日は私たち、データ分析と処理の仕事だってさ!昨日、仕事分担するってプラントが言ってたけど、私たちは特に出歩く必要はなさそうね。外での仕事は全部カスタムたちがやってくれるみたいだし。」
「そうですか。」
ツウ少年は、カルザと一緒に荷物を小部屋に置き、パソコンルームへ移動した。
「あ、カスタムにゴスペス、おはよう!」
「うっす。」
「おはよう。」
パソコンルームには、髪の毛がはねた20歳くらいの男カスタムと、太った40歳くらいの男ゴスペスがいた。二人とも、ガイア団の幹部である。
「二人は外の仕事でしょ?」
「もう行くさ。」
カスタムたちは、ゆっくり立ち上がった。そして、そのままワープパネルから外へ出て行った。
「またここでお菓子食べてたのね、歳上だけど情けないわ。」
「とりあえず、仕事を始めますか。」
カルザと少し整頓をして、ツウ少年は、いつも使っているパソコンを起動し、データの分析を始めた。

その日の夕方に、データの整理がようやく終了した。意外と時間のかかるものだ。
修行の時間を作るため、仕事を終えてすぐにアジトを出て、修行予定地のキッサキシティに向かおうとしたとき、ケータイの着信音が鳴った。
カヨコからだ。何かあったのだろうか。ツウ少年は、すぐに電話に出た。
『もしもし、母さん?…え、何だって…!?』
電話の内容に、ツウ少年は思わずケータイを落としそうになった。
セランとアズリが帰ってこないというのだ。しかも、朝9時頃に二人でトバリデパートまでお使いに行って、それっきりだという。お使いは、二人の日課である。それなのに何故…。
『ツウ、悪いけど探してきてくれない?』
『うん。』
カヨコは、焦った様子でそれだけ言うと、電話を切った。
大変な事態である。修行している場合ではないだろう。

ツウ少年は、取りあえずトバリ市内を探し回ることにした。
「セラン君とアズリちゃん?来てないわねぇ…。」
「いや、そんな小さな子供は来ていないよ。」
覚えのある場所に聞いたが、誰一人として二人を見た人はいなかった。その日夜遅くまで二人を探したが、結局見つけることはできなかった。
まだ幼い弟妹だ。ツウ少年は、嫌な予感がして堪らなかった。

翌日も朝早くに家を出て、二人を探したが、一向に姿を現さない。もしかしたら…最悪の事態も頭を過る。
一体、二人は何故、お使いの途中に姿を消してしまったのだろう。


■筆者メッセージ
セランとアズリはどこに消えたのでしょう。公開遅くなってすみません。
P.S. こちらも文章の訂正をさせていただきました。
ぴのかざね ( 2013/11/25(月) 06:50 )