もえの決断
「もえ、さっき私たちが取り返した宝物…遺跡の欠片って私は呼んでるんだけど。…この欠片の真ん中をよーく見て?」
洞窟を出てしばらく歩いたところで足を止め、さくは遺跡の欠片と呼ばれる宝物をその場に置いた。あまり良く見てなくて、一見ガラクタのように見えたそれには、見たこともない模様が描かれていた。
「すごい…こんな模様は見たことがない。」
「でしょ?ある日、この海岸で拾ったんだけどさ…。私、この模様には秘密があると思うの。いつかはこの謎を解いてみせたい。そして…私はふと考えたんだ。…探検隊になりたいって。」
「探検隊?」
「うん。その探検隊になるには、修行を積まないとダメなんだけどね。そう思って、もえを助ける前にも、探検隊育成施設のギルドに行ったんだけど…私、意気地なしでさ…。」
そこまで言って、さくは遺跡の欠片を翼に抱いて、前を向いた。
「もえは…これからどうするの?」
そういえば…。しかし、この世界をよく知らない私に行くあてがあるはずがなかった。だからといって、ずっとこの海岸にいるわけにもいかないだろう。
「あのさ…よかったら、私と探検隊組んでくれないかな…?」
さくの言葉に、私はびっくりした。私が…探検隊を?でも…私に探検隊なんてできるのだろうか。そもそも、この世界をよく知らない私は足を引っ張ることになるのではないか。でも…。行くあてがないなら、とりあえずはこのさくと一緒にいるのがいいのかもしれない。
「私…もえとなら探検隊やっていける気がするの。お願い…一緒にやって?」
「分かった…私、さくと探検隊やるよ。」
私は、決断した。
「ホント!?ありがとう!!私たち、絶対いいコンビになるよ!!もえ、よろしくね!!」
かくして、私は探検隊の道を、さくと歩むことになったのだったーーー。