第一章 遷世の夢
すこしあとのはなし
人間と××××は共存できると思うか?

丘の上だった。   は赤と白のいろを与えられたつるつるしたボールを撫でる。街を、つまらなそうに見下ろして。少し微笑みながら、やがて振り返り。

俺達が住んでいた世界で、××××は暮らしていけると思う?

こんどはすこしゆっくり、しかし問いかけているというよりは、自問自答くりひろげて悩んでいるような表情だった。ワタルの腕の中にいた××××が声を上げる。そうだよね、ぼくたち、きっとよりそっていける。

そうか。

満足したように、目尻を緩めて。
昔はこんな表情、しなかった。

最後の戦いが近いな。

俺はこっち、おまえはこっちからおりるんだ。とそれぞれ指差して、じゃあな、と    は踵を返した。今まさに登らんとす太陽のかけらが、   の項を柔らかく照らす。これから、あれをきるために、みんなのもとへ行かねばならない。××××がくびをふって、電気を出す。いって!

街に入ったら、俺達は敵同士。じゃあ、サヨナラ、

背中を向けて、小声で言った。




「やめろよ、離せワタル」
「いやだ!そんな顔の   を、置いていけるわけがない!」

回した腕に力を込め、××××もろとも抱きしめる。××××が苦しがってひっきりなしに細かな電気を発しているが、そんなの痛くも痒くもない。それよりも、   が痩せて浮き出た肩甲骨が、深く深くワタルの心を貫いていた。

「ねえ、知ってる?」

テレビで見たお豆のキャラクターを思い出す。あれは××××みたいだった。あれを再び見ることは叶うのか。もうあの世界に帰れないかもしれない。だけど。

「肩甲骨は、僕らが××××だったときのなごりなんだよ」

声が震えた。朝日が登る。

■筆者メッセージ
ふっかつしました
サト ( 2017/03/11(土) 21:46 )