第2話 -元人間-
※今回からセリフの横にキャラの名前を書く事にしました。
朝、雲一つない空が広がっている。
そんな清々しい時間帯に、クィアは起きた。
クィア「ん...ふぁ?....」
クィアは起き上がると階段を下っていき、リビングへ入った。
スター「お、今日は早起きだなぁクィア。天変地異でも起こるんじゃないか...?」
クィア「もぉ、お父さんそれ言い過ぎ」
スター「あはは、悪い悪い」
朝からいじられて少し不機嫌になるクィア。だが早起きできた嬉しさの方が勝っていたため、すぐに機嫌が良くなった。
クィア「お母さん!なんか手伝うことある?」
クィアは台所へ行き、母親のグレイシア、アリアに何か自分に出来ることはないか聞いた。
アリア「あら、あなたがこんな早起きするなんて珍しいわね。雨でも降るかしら?」
クィア「もぉ!!ふたりしてひどいよ!」
普段から10、11時頃に起きてくるクィア。それなのに今日は7時に起きたのだ、こうやっていじられるのは仕方ない。そう自分に言い聞かせ。再びなにか出来ることはないか訪ねた。すると、ちょうどグミが足りなくなっているそうなので青いグミ、黄色いグミを買いに行くことになった。クィアは意気揚々と歩き始め、カクレオンのお店へ行き、丁度お小遣いがなくなっていたことに気が付き、ヨマワル銀行でお金を下ろし、帰路についた。
そしてふと途中で思う。
クィア「(そう言えば最近海岸側に行ってなかったなぁ。久々に行こっと)」
寄り道をすることにした。久々の朝の海岸。ずっと午後に行っていたものだから、なんだか景色がいつもより青く見える。だが、そんな青い景色の中に黄色い色が映った。
そこを見てみると...なんとポケモンが倒れていた。
クィア「え!?ポケモンが倒れてる!?」
クィアは急いでその黄色いポケモン、ピカチュウに近づき、生存確認をする。まだ息はある、だが体が冷たい。これはまずいとクィアは背中にピカチュウを乗せ、全力疾走で家に帰った。
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ここはクィアの家。
ゆったりとした時間が流れていて、クィアの父スターは優雅にコーヒーを飲み、母グレイはキッチンで食事の支度をしていた。そんな時、突然家のドアが勢いよく開いた。そしてそこから息を切らしたクィアが出てきて、背中には一匹のピカチュウが乗っかっていた。
スター「ぶふっ!?どうした!?」
スターは開いた扉の音に驚き、コーヒーを吹き出した。そして一体どうしたのかと聞く。そこへ、クィアの母アリアも駆けつけた。
アリア「どうかしたの!?」
クィア「この子ね!海岸の方で倒れてたの!体温も低いし...」
スター「それは大変だ...とにかくママ!手当を!」
アリア「わかったわ!」
そう言ってクィアの背中からピカチュウを下ろし、アリアは急いで手当をしてクィアの部屋で寝かせた。
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次の日。一匹のピカチュウが見知らぬ部屋で目を覚ました。
ピカチュウ「うっ....ここは...」
見知らぬ天井、見知らぬ部屋。
そのピカチュウは自分がどこにいるのかさっぱりわからなかった。
ピカチュウ「ここはどこなんだろう...ん?」
ピカチュウは寝ていた体をゆっくり起こして横を見た。すると、自分の体とほぼ同じ大きさのイーブイが寝ていたことに気が付く。
ピカチュウ「(でっかっ!!なんでこんなにでかいイーブイが横で寝てるんだ?)」
横にいる巨大なイーブイの事が気になり、まじまじ見ていると...。イーブイが動き出した。
クィア「ん...あ、おはよう。目が覚めたんだね」
目を覚ましたばかりのクィアは、横で自分の事をまじまじ見ていたピカチュウの事を不思議に思いながらも朝の挨拶を交わした。だが、おはようの「お」の字も出ずにピカチュウの顔はだんだんと真っ青になって行く。そして....。
ピカチュウ「ウワアアアアァァァアアア!!!」
ピカチュウは絶叫した。
クィア「キャアアアアァァァァアアア!!!」
そのハイパーボイス並みの叫び声に驚き、クィアも一緒に絶叫した。そしてその数秒後、一体何事だとクィアの両親が部屋に入ってきた。
ピカチュウ「ウワアアアァァァァァアア!!」
クィア「どどどうしたの!?」
ピカチュウ「ポポポポポ....ポケモンが!!!喋ってる!?!?」
このピカチュウの一言に、クィアとその両親二人は思わず、え?と少し不抜けた声を出してしまう。
クィア「な、何言ってるの?君だってポケモンじゃん...」
ピカチュウ「ふ、ふざけるな!!僕は人間だ!」
クィア「人間って...人間は何百年も前に絶滅したんだよ?」
ピカチュウ「はぁ!?そんなはずは...!!!」
クィア「疑うならそこの鏡を見てみたら?」
そう言われて、ベッドから飛び降りたピカチュウは鏡の方へ向かって歩き、鏡の前に立った。そして鏡を見たピカチュウの顔は更に青ざめていく。
ピカチュウ「ぼ、ぼく....ポケモンになってるううぅぅううう!?」
クァイ「き、君本当に大丈夫?」
鏡の前で青ざめているピカチュウを心配するクィアだが。
ピカチュウ「な....んで.......」
完全に精神が混乱してしまっているピカチュウに対し、クィアはどうやって声を掛けようか迷っていた。すると、そんな時にクィアの父スターが。
スター「君、海岸で倒れてたって聞いたけど、どうして海岸で倒れてたんだい?」
と、スターは名もしれないピカチュウに対して聞いた。それもそうだ。あんな状態で誰かが倒れていたら、誰でも心配する。
ピカチュウ「それは...その...」
ピカチュウは少しいやいやながらも何が起こったのかを話した。
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本当はあの海岸とは全く別の場所で目が覚めたんです。僕は森の中で目が覚めて...今まで何をしていたのかを考えてみました...でも全く思い出せませんでした...記憶がなくなっていたんです。そしてその時、てっきり僕は、自分が人間だと思っていたんです。
ピカチュウ「ん...あれ、ここどこだろう...」
全く知らない場所、今自分がどこにいるかもわからなくて、とりあえず色々と探索することにしたんです。そしてその後僕は。
ピカチュウ「ウワアアァァァアアアアアアア!!!」
スピアー三体に襲われたんです。一体自分が何をしたのか。何もしていないのに、目があったとたん急に襲われて...でもなんとか逃げ切って、その森からは抜け出せました。
その後沢山の場所を一週間近くさまよいました。途中でバンギラス、リングマ、ボスゴドラ、ブーバーン、エレキブルと沢山のポケモンに襲われました。でも、それも間一髪で逃げ切って...でも本当はもっと沢山のポケモンに襲われたんですけど、話が長くなるのでそれは省くとして...。無我夢中で走って逃げて寝て。また走って逃げて寝て。そしてあの海岸で最終的に体力や体の限界が来て...。
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ピカチュウ「そして、気がついたらここで倒れていたんです」
ピカチュウが話している間、みんなは静かにピカチュウの話を聞いていた。そしてピカチュウが話終わるとスターが。
スター「そ、それは災難だったね...」
想像以上に沢山の災難に見舞われていたからか、スターはピカチュウの不幸さに同情しながらもそういった。そしてそんな時にクィアが、何かを思いついたかのようにはっとなり、ピカチュウに名前は思い出せるかと訪ねた。
ピカチュウ「名前...な、名前は...星夜。僕の名前はセイヤ」
少し思い出すのがキツかったのか、頭を悩ませながらもなんとか自分の名前を言い切ったセイヤ。そして、そんなセイヤに対しアクアは。
クィア「ねぇ!行くあてがないんだったら、私と探検隊をやらない?」
その言葉にスターとアクアは驚かされた。探検隊は普通パートナーを作って一緒に組み、探検隊として活動をしていく。だが、クィアは父親母親が連れてきたパートナーとは誰ひとりともパートナーになりたがらなかった。そんなクィアが自分から探検隊をやろうと言っていると言う事は、クィアはとうとう自分のパートナーとなりたい相手を選んだということだ。
スター「本当かクィア!」
クィア「う、うん...」
アクア「やったわね!パパ!」
スター「そうだな!」
そんなクィアの両親が喜んでいる中、一人だけ置いてかれているポケモンがいた。
セイヤ「あ、あのぉ...探検隊って、何?」
そうセイヤが言った途端、クィアとその両親は盛大にずっこけた。
クィア「あはは...本当に記憶を無くしてるんだね...」
そう言ってクィアは探検隊、それ以外の物を説明し始めた。
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この世界には、三つの組織が存在しているの。まず、災害にあったポケモンや、困っているポケモンを助けたりする救助隊。道の場所に行ってこの世界のまだ知られていない、解明されていない場所に行ってその場所の事を調べる探検隊、そして、この星の全部の大陸をすみずみまで記録して地図を完成させ要素している組織、調査団。そしてその三つには共通していることがあるの、それはこの星の色々な場所に出来始めているダンジョンの調査。もう一つは、そこにいる凶悪化したポケモン達の撃退。
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クィア「その中で、私はこの町の中にある世界で二番目に大きい探検隊のギルド、ライチュウギルドに憧れてて今までいっぱいパートナーを探してたんだけど...なかなか出てこなくて...それで今日、とうとうパートナーになって欲しいポケモンを見つけて...それがあなたってわけ!」
目を輝かせながら話を進めてくるクィア。その話を聞いたセイヤは...。
セイヤ「探検隊か....すごく楽しそう!やってみたいよ!って、言いたいところなんだけど....僕家がないんだよね...」
やりたそうな雰囲気を出していたセイヤだが、自分に帰る家がないのを思い出しションボリとする。すると、クィアから耳寄りな情報が飛んできた。
クィア「大丈夫!あそこのギルドは寮制だから、入れば家も借りれちゃうんだよ!報酬の10分の3は持って行かれちゃうけど...」
と、クィアはそう言ってションボリとした。だがセイヤにとって、これは今後二度とないチャンスだった。給料も貰えて、家も貰えて貯金もできると言う。しかも探検隊、未知の場所へ行き、そこの調査をする組織。記憶をなくしている自分にとって好都合な場所だった。
セイヤ「ならやる!そこに入ればもしかしたら自分の記憶の手掛かりが見つかるかもしれないし!それに、ある意味お礼も兼ねて一緒にやらせてもらうよ!」
意気揚々とそう言ったセイヤを見てクィアは大いに喜んだ。とうとう自分の憧れていた探検隊になれる。そう思うとワクワクが止まらなかった。
クィア「セイヤ!ありがとう!」
そう言って、二足歩行で器用にセイヤの両手を握り、上下にブンブンと降る。そして激しい握手を終えたクィアはスターとアクアに早速登録をしに行ってくると言い、セイヤとギルドへ向かった。
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ここはライチュウギルドの前、そこへ二匹のポケモンがやってきた。一匹はイーブイのクィア。もう一匹は元人間だと言うピカチュウことセイヤ。この二人はこれから探検隊登録をしに行くところだ。
セイヤ「なるほど、探検隊登録をすると、自分の探検隊のデータとかがKTC(救助隊・探検隊・調査団)協会って言うところに送られて世界中の探検隊や掲示板に掲載されて、その掲示板を見て依頼とかなんやらを送ったりするのか...」
クィア「そうだよ!でも、それは名前を知られ始めてからの話で、知られてなかったら最初は自分たちで依頼が載ってる掲示板から依頼をこなさなきゃいけないんだよ!」
セイヤ「なるほどなぁ」
そんなこんなで二人は歩きながら喋っていたお陰か、思っていたより早くギルドに付いた。
セイヤ「ここがそのギルド?中、何もないけど...」
小さいテントの中の真ん中に下へ下っていく階段があり、クィアはここじゃなく下だと言い、二人で下に降りていった。すると...外見からは考えられないほど大きい空間に出た。
セイヤ「な、なんだここ!?」
まるでショッピングモールに来ているみたいだった。壁には大きなくぼみがたくさんあり、そこで沢山のポケモンたちがお店をやっている。飲食店や道具屋、銀行、技連結屋と言うのもある。セイヤは技連結屋の事はよくわからなかったが、それ以外のものは心の中ですげえ!!と言っていた。
クィア「セイヤ!こっちだよ!」
そう言ってクィアはセイヤの手を引いて歩く。そしてクィアの歩く先にはカウンターがあり、そこにはエンペルトと言うポケモンが立っていた。
エンペルト「おぉクィアちゃんじゃないか。その子は初めましてかな?どうも、アクアと言います。種族は見ての通りエンペルトです。以後お見知りおきを。それで、ご要件はなんでしょうか?」
クィア「こんにちは!アクアさん!」
丁寧に挨拶したそのポケモンの首元には名札があり、その名札にはアクア、そして左上に小さく副ギルドマスターと書かれていた。まさかこんなとこでいきなり副ギルドマスターと会うとは...しかもクィアの知り合いと来た。驚いているセイヤをのことを見もせずにクィアは探検隊登録をしたいと言った。それほど探検隊になるのが楽しみだったのだろう。その証拠に、尻尾がものすごい勢いで動いて、二重にあるように見えている...。
アクア「おぉ、クィアちゃんようやくパートナーを見つけたんだね!おめでとう!ちょっと待っててね!今マスターを呼んでくるから。その間あの部屋で待っててね」
そう言って、そのエンペルトことアクアは、何処かへ行ってしまった。そしてクィアはまたセイヤの手を取り、待合室へと案内した。
セイヤ「さっき副ギルドマスターと親しげだったけど...もしかしてクィア、ギルドマスターとも知り合いなの?」
と、セイヤは恐る恐る聞いてみる。自分より何千倍も強くて、足でまといになってしまったらどうしようと考えたからだ。
クィア「あぁ〜、アクアさんはね、お父さんの知り合いなの。ギルドマスターのデンジさんもそうだよ。幼馴染なんだって!」
セイヤ「あぁ〜、なるほど...。そういうことか」
その話を聞いてホッとしたクィア。無理もないだろう。今まで色んなポケモンとパートナーになることを断っていたポケモンだ。実は相当強い奴なんだと考えてしまうのは仕方ない。
するとそこへ、一匹のライチュウが部屋に入ってきた。
ライチュウ「やぁクィアちゃん、お久しぶり!」
クィア「お久しぶり!デンジさん!」
どうやらこのライチュウが、先ほど言っていたギルド主のデンジのようだ。セイヤは恐る恐る頭を下げて挨拶をした。
デンジ「いやぁ、そんなに固くならなくていいよ!僕そう言うの苦手だから!」
笑顔でそう言う風に言うデンジ。セイヤは心の中で、よかった...悪いポケモンでは無さそうだ...と一安心した。
デンジ「はいよろしく。いやぁ、でもまさかクィアちゃんがとうとうパートナーを決めただなんてねぇ〜。もしかして...この子の事が気になってる?」
ニヤけながらデンジがそう言う。それに対しクィアは。
クィア「やだなぁ!違いますよ!」
と、笑顔で流した。それを見たデンジはボソっと、なんだ...つまんないの...と言ったのだが、二人には聞こえていなかったようだ。
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ライチュウギルド内、クィアとセイヤはデンジに連れられギルドマスターの部屋に来ていた。探検隊登録を行うためだ。
デンジ「さぁ、早速探検隊の登録を始めるけどその前に!探検隊の名前はもう決めてるの?」
と、デンジは二人に聞いた。だが二人は首を横に振って否定する。セイヤに関してはデンジが言った事で始めてそう言うのがあると知った。
クィア「あ、そういえば、セイヤには話してなかったね。探検隊を作る際には、名前を考えなきゃいけないんだよ」
笑顔で説明をしてくれるクィア。
セイヤ「そっか...名前か...どんなのがいいかな?」
クィア「ピカブイ隊とかどうかな!?」
セイヤ・デンジ「・・・」
セイヤがどう言う名前がいいのか聞いたのはいいのだが、クィア考えた探検隊の名前を聞いて、二人はクィアのネーミングセンスを疑った。
セイヤ「あの...クィア...もうちょっと別の名前にしない?ちょっとそれは厳しいと思うんだけど...」
クィア「え〜!どうしてよ!」
セイヤが否定すると、クィアは怒った。パートナーに否定されたのだからしょうがないかもしれないが、でも実際確かにどうかとは思う。そしてあーだこーだ考え始めて5分。クィアが。
クィア「あ!電撃隊って言うのはどう?」
セイヤ「電撃隊...?」
クィア「そう!電撃隊!電気みたいに素早くお宝やダンジョンの謎を解くって意味で!後、ピカチュウは電気タイプだし、私電気タイプ好きだから!」
セイヤ「なるほど...いいんじゃないかな?」
デンジ「うん!僕もすごくいいと思う!」
そんなこんなで、探検隊の名前が決まった。そして登録をする準備に取り掛かる。デンジが手をパチンと鳴らすと、突如天井が見え始め、夕焼けの空が映し出された。
クィア「わぁ〜!綺麗!」
セイヤ「ホントだ...」
クィアとセイヤはそんな絶景の景色に見とれていた。そんな二人にデンジが話しかけた。
デンジ「よし二人共!早速登録するよ!」
そう言って、デンジは天高く右手を上にあげた。それを不思議そうに見守るセイヤとクィア。そして、デンジが叫んだ。
デンジ「登録!!」
そう叫んだとたん、周りが真っ白に包まれた。デンジが技「かみなり」を放ったのだ。しかも相当協力な一発を。視界が見えるようになってきたセイヤとクィアは一体どうして雷を放ったのか聞いてみた。
デンジ「僕の出したあのかみなりにはデータみたいなものが入ってて、KTC協会の本部の屋上にあるアンテナに向かって飛んでいくんだ。それで、そのアンテナが僕の電気を拾って、電気の中に入ってるデータを読み込んでデータとしてまた出てくるって言う仕組みだよ」
そう言い終わると、デンジは少し誇らしげだった。そして、登録を終えたクィアとセイヤは一度自宅に戻り、引っ越す支度を始めた。デンジによると、今ギルドの寮は満員だそうなのでギルドの卒業生が前に建てた家を借りることになった。その家は、卒業生たちが一時期自分たちで住むために建てた家なのだそうだが、遠くの方のギルドに急遽移り住み、働くことになったので今は空家になっていたのだそう。どちらにせよセイヤにとっては好都合だった。そんなセイヤは今クィアと一緒にクィアの部屋で荷物の整理をしていて、ちょど終わったところだった。
クィア「セイヤ!ありがとう!手伝ってくれたおかげですぐに終わったよ!」
セイヤ「全然、お安い御用だよ」
そう言って、セイヤは胸を張った。そんなセイヤにクィアが突然。
クィア「ねぇセイヤ?記憶が無くなるって一体どんな感じなの?」
と、意味深な事を聞いてきた。それに対してセイヤは。
セイヤ「え?うーんと...何か良くわからないよ。思い出そうとしてるものがわからないんだ。目覚めたときより前のことを思い出そうとすると、頭の中が真っ暗になるんだ...」
そう言ってセイヤは顔を下に向ける。
クィア「そ、そっか。ごめんね、暗くなるような話をして」
そう言って、クィアは寝る準備をし始めた。そんな時、セイヤはふと思った。
セイヤ「(あれ?手伝いに来たのはいいけど...そう言えば家の場所教えてもらってない...ぼ、僕どこで寝ればいいんだろう...)」
そう、セイヤは家の場所を教えてもらっていない。デンジは明日ギルドへ来てくれと言われただけで家の場所は教えてもらっていなかった。そして、セイヤはその事をクィアに話した。するとクィアは。
クィア「え?普通にここで寝ればいいじゃん」
セイヤ「なっ...!?」
クィアの言葉にセイヤは驚いた。年頃の男女...もといメスとオスが同じ屋根の下、同じ部屋で寝るなど...しかも今日知り合ったばかりのクィアの部屋で。流石にまずいとセイヤは自分はスターとアリアのところへ行き、ソファーを借りる事にしようとしたのだが。
クィア「え、いいじゃん!これからパートナーになるんだし、同じ家に住むんだから!」
セイヤ「(ん...??)」
セイヤは一瞬違和感を感じた。今確かにクィアは同じ家にと言った。
セイヤ「え...同じ家?」
クィア「うん、これから住む家は一応私場所わかるし。別に明日でも今日でも、一緒に寝るようになることに変わりはないんだからさ!」
クィアは笑顔でそういった。そして。いいから早く寝るよと言ってセイヤの手を引っ張ってベットに寝っ転がった。
クィア「おやすみ〜」
そう言ってクィアは目を閉じた。だがセイヤは、寝れる状態なんかじゃなかった。背中合わせだったらまだ良かったのだが、真正面にクィアの顔がある。しかも手を握られているから寝返りを打つことができない。
セイヤ「(こ、こんな状態で寝れるわけないだろぉっ...!!!)」
そう心の中で言うセイヤ。その状態が約1時間程続いたのだが、とうとうセイヤの眠気は限界に達したようで、セイヤは眠りに付いた。
そして、次の日。セイヤは目を覚ました。そしてすぐ鼻息の掛かる距離にクィアがいて...。
クィア「おはよおおおぉぉぉ!!」
セイヤ「ウワアアアアァァァァアアアアア!!!」
セイヤは、ベットから落ちた。
To be Continue...