第五話 『Water and Thunder』
前回のあらすじ
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アクアが覚醒して電気技を使えるようになった。靄が出ていた。
アクア「いや説明適当か!!!!」
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真っ暗な特訓部屋の中、その中で生死を掛けた特訓が行われていた。その中には、アクアがいる。絶賛特訓中だった。だが、そこには異様な景色が広がっていた。アクアの目の片方だけ黄色く炎のが燃えるように靄を出している。一体どう言うことなのだろうか。
アクア(?)「さっきは良くもやってくれたなぁ!!!今から....反撃じゃあああああ!!!」
それだけでなくアクアは、まるで取り付かれたかのように戦い方も技も口調も全て変わっていた。先程までのアクアは気配を感じ取ることで精一杯だったが今は別だ。キリアやディーナには見えていないが、ガジラはしっかりとその姿を捉えている。霧に包まれた敵の姿が。アクアはしっかりとその『特殊』な敵を目で捉えて攻撃をしている。
アクア(?)「アクアジェット!エレキボールッ!!」
右へ左へ、前へ後ろへ交わしながらアクアは相手の技をかわして行く。そして右にいた三体にアクアボンバーを食らわせ気絶させる。次に飛んできた矢は自分の剣を使って弾き、すかさず飛んできた方向へ水鉄砲を打ち込む。そして後ろから気配を感じ、左へ避けると、そこには剣が振りかざされていた。きっと今のフィリックスの力がなければ確実に首をはねられていただろう。そして着々と敵を倒していったアクアは、最後の一体まで倒し切った。
キリア「あれ...扉が開いた!」
ずっと心配しながら見守っていたキリアはすかさずアクアのもとへ駆けつける。
キリア「アクア!!大丈夫!?怪我がひどいよ...早く医務室に行こう!」
アクア(?)「はぁっ...はぁっ...ああ...」
完全に口調が変わっているアクアはなんだか別人の様でキリアは少し引き気味だったが、そんなことを気にしている場合ではなかったので、医務室へ急いだ。
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ビー「何!?地獄モードに挑んだ!?」
そう叫び声をあげたのは、ワルビアルことビー。ガジラの昔からの親友で、自分がキルフィールドに出されそうになった時、頑張って止めてくれたポケモンのうちの一匹だ。
だが今はジルフと言う組織に誘われ、キルフィールドに参加する選手達の健康状態、怪我をした時の対処方など色々なことをしている。ちなみに「ジルフ」と言う組織は、この世界でキルフィールドと言う名の殺人ゲームを作った組織だ。
アクア(?)「仕方ないじゃない、この体の主が知らずに挑んじゃったんだから!」
ビー「...おい、コイツもしかして」
ガジラ「あぁ、そうだ。フィリックスをあの特訓部屋の中で習得しやがったんだ」
ビー「なるほど...」
キリア「どういうことなの?」
ディーナ「あ、私もそれ聞こうとした」
ガジラとビーの間で会話が進んでいる中、取り残されていたキリアとディーナ。取り残されているのが気に食わなかったのか、キリアは話に割り込み、ディーナもそれに便乗した。まぁ仕方ないだろう、何が起こっているのか全くさっぱり分かっていないのだから。
キリア「あれ、ディーナさんも知らないの?」
ディーナ「ええ、キルフィールドの試合なんて見たことないし、ガジラの試合も見たこと無いわ」
キリアの質問に対して見たことないと言ったディーナ。この時キリアは、このポケモンは本当はいい人なんだなと心の中で少しホッとした。
ガジラ「おう、今から説明する」
そう言ってガジラは医務室のソファーに座った。
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この大規模なキルフィールドの中でフィリックスを持っていなくて生き残るのはまず無理だ。なぜなら、ほぼ100%の確率で30匹以上がフィリックスを所有しているから。中にはそのフィリックスを来る前から習得している奴もいて、特訓に特訓を重ねてバカみたいに強い奴もいる。そんでフィリックスってのは、昔生きていた伝説と呼ばれる程強くなったポケモン達の魂が、生まれた直後や生まれる直前の子供に宿った物だ。そして、その子供達は、生まれた直後にフィリックスの力に目覚めるものや、二十歳を過ぎてから力に目覚めるもの。じじいになってから目覚める者、様々だ。そしてそれをフィリックスと呼ぶ。発動条件は一つ、当本人が死にかけていること。まさかと思ってアクアに地獄モードを進めたけど、本当にここで目覚めるとは思わなかったからびびったぜ。んで話を戻すけど、フィリックスを所有しているポケモンは、三つ共通していることがある、自分の中にいるポケモンと話せるようになることだ。ある意味パートナーとしてやっていくんだから仕方ないだろうけど。それと、何故かしらねえがそのポケモンが自分の中に入っていて、自分が嫌な気がしない。って言うか、無意識に受け入れているんだ。実際この世界でフィリックスを持っている奴で自分の中に別のポケモンがいる事を嫌がってる奴なんて一人もいねえ。俺もそうだし、たぶんアクアも。そして最後に、フィリックスを持ってる奴は、勘で誰がフィリックスを持っているかわかる。最初はわかりずれえかもしれねえけど、慣れてくるとすぐにわかるようになる。
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ガジラ「ってわけだ。なんとなくでもいいから、理解できたか?」
キリア「まぁ、一応は...」
少し長めのガジラの説明をキリアとディーナは真剣に聞き、キリアとディーナは納得した。
ガジラ「そうそう、希に起こる話なんだが、たまにフィリックスの方と本体の精神は入れ替わるんだ。そんで今のアクアがその状態。フィリックスが外に出ている」
サクラ「そうよ!初めまして!私、サクラ・レ・ガーネットです!よろしくね!」
そう言って、サクラは女の子らしくお辞儀をした。
キリア「う...は、初めまして...キリアです」
と、なんだか嫌そうな感じで挨拶をするキリア。
ディーナ「初めまして、ディーナ・エステラよ、よろしく」
と、ディーナの方は普通に挨拶をした。そしてディーナが挨拶を終えると、サクラ(体はアクア)が、キリアに近づいた。
キリア「え...ちょっ...な、なに?」
サクラ「ふ〜ん...」
キリアの反応を見たサクラは堂々と言った。
サクラ「あなた、アクア君の事が好きなんだね!」
ガジラ・ディーナ・ビー「!?!?!?」
キリア「......!?///」
続く。