第四話 『フィリッくスの能力』
前回のあらすじ。
ーーーーーー
アクアは朝早くに目が覚めたため、特訓部屋に行くことにした。
そこでアクアは間違えて特訓モード鬼を選択してしまうも、ぎりぎりでやり遂げた。
だけど、自分の戦いに全く納得することができず、アクアは悩んでいた。
それを見たガジラはアクアへ、特訓モード鬼より格段に難しい地獄モードをススメた。
そして、アクアはガジラに言われた通り地獄モードを始めてしまう...。
普通なら飛び道具や攻撃が当たったら即ゲーム終了なのだが、このモードは違った。
アクアの背中に弓の矢が刺さりアクアは怪我を負ってしまう。
それでもアクアはあきらめず、自分のおなかにあるホタチを抜いて本気の戦闘態勢に入った。
ーーーーーー
アクア「くっそ...当たる寸前の物の気配しかわからないから技を避けるので精いっぱいだ...!!」
そういいながらアクアは一瞬だけ感じるわずかな物の気配や、ポケモンの気配を頼りに
攻撃や飛び道具を避けている。
アクア「がっはっ....くっそ!!」
避けきれない技などはもろに食らってしまい、どんどんダメージを負ってしまうアクア。
それを外から見ていたキリア、血が出ているのを見てガジラを問いただす。
キリア「何なのあれ!!アクアの体に勝手に傷ができてるよ!?早く止めないと!!」
そういってドアの方へ走り出すキリア。
その顔はとにかく必死だった。
だけどそれを見たガジラは、無駄だと大声で怒鳴る。
キリア「なんでよ!?ドアを開ければいいだけの話でしょ!?」
ガジラ「このモードは一度やったことがある。ドアを開けようとしても、中からも外からもあかない。
そういう風にできている。そして、このモードでゲームオーバーになれば...
それは死を意味する」
キリア「っ!!?....じゃあ...じゃあなんでアクアにやらせたの!?」
ガジラ「あいつが....昔の俺にそっくりだったからだ」
キリア「ふざけないでよ!!!」
死を意味。それは要するに死ぬということ。そして、そんな危ないモードをやらせた理由。
昔の自分に似ていたから。キリアは、その言葉を聞いてガジラに対して怒鳴った。
そんな理由でアクアに死んでほしくなかったからだ。
そして、キリアは特訓部屋の外からだけしか見えない窓から中に向かって叫ぶ。
キリア「アクア!!死んじゃいやだよ!!」
丁度その時、アクアの背中に大量の弓矢が突き刺さった。
ーーーーーー
アクア「あれ...真っ暗だ...体が動かない....」
真っ暗な空間の中でアクアは目が覚める。何も見えない、どこを見渡しても暗闇ばかりだ。
そんな暗闇の中に突然、丸い光の玉が現れた。
それに見とれて手を出して触れようとしてみる。
すると...。
???「きゃっ!もう!どこ触ってるのよ!」
アクア「なっ!?」
アクアは声が聞こえたとたん後ろへ後ずさり、転んで一回転をしてしまう。
???「この世界のどこに今更そんな転び方をする子がいるのよ...」
っと、変なあきれ方をしている光の玉。アクアはその光の玉に対して疑問を抱いた。
この光の玉は一体何なのか?
形があるわけでもなく、ただただ声だけが聞こえてくる。
???「貴方、私に興味あるんでしょ?」
そういって近づいてくる光の玉。
アクア「きょ、興味って!あるけど変な意味じゃないよ!?」
そういってすこし後ずさるアクア。
???「あははは!ごめんごめん!冗談だよ!えっとね、言わないでね?今君が言いたいことを
当ててあげるから!うーんっと、まずは私が一体誰なのか!私はね、君であり君じゃない
存在だよ!」
アクア「あの、ふざけてるならやめてもらえます?僕早く特訓したいんですけど」
っと、丸い光の玉に向かって冷たい言葉を発したアクア。
当然だろう、いきなり君であって君ではないといわれてもさっぱりわからない。
???「ちょっと〜そんな怒らないでよ!これでもまじめに言ってるんだよ?
私は君であって君じゃないんだ。でも君なんだ。この意味、なんとなく理解できるでしょ?」
アクア「....僕の中にそんざいしてる...?」
???「大正解!僕は君の中に宿っている【フィリックス】って言う能力そのものだよ!」
アクア「フィリック...ス?」
聞いた事のない単語がアクアの耳の中でひびいた。
フィリックスそれは一体何なのか?
???「フィリックスって言うのはね、この世界のポケモンの極一部しか持っていない特別な
能力の事だよ!生まれつきあるんだ!」
アクア「特別な能力?」
???「うん!そうだよ!その特別な能力を持っているポケモンには特徴があるんだ!
まず、小さい時からずば抜けて周りより種族的な長所で強いところ!」
アクアは身に覚えがあった。
剣術。小さい頃から木刀が得意だったアクア。
ミジュマルは、種族的に武道の心が強く、誰にも負けない精神を持つものが多い。
種族的にも刀を使うのが得意な種族、そのためアクアは木刀が得意だった。
???「そうなんだよね、君は小さいころから剣技が得意で誰にも負けたことはなかったよね
村で一番強い剣術使いのポケモンを倒したこともあったしね〜、いやぁ、あれは本当に
かっこよかったと思うよ!」
アクア「な、なんで知ってるの!?」
???「さっきも言ったじゃん!生まれつきって!だから、私は君が生まれた時からずっと君の
事を知ってるし、君のことを知ってる!君が本当に優しいことも...君が毎日ヒメグマの
ぬいぐるみを抱いて寝てることも(ニヤニヤ」
アクア「そこまで!?」
アクアは、誰にも見られたくない恥ずかしいところを毎日見られていたことを知り、
顔を真っ赤に染める。よく考えてみればこの声は完全にメスの声、つまりこの光の玉の性別は
メスと言うことになる。そう考えると余計恥ずかしくなってくる。
???「まぁそれ以外何してるかは口に出さないで置くよ!私が恥ずかしくなってくるし」
それを聞いたアクアは更に顔を赤く染める。
心の中ではもういっそこのまま死にたいと思うほどに。
その時、アクアは突然はっとなる。
今はこういうことをしている場合ではない。
早く目を覚まさなければ。
アクア「ここが僕の夢の中なのはわかった。わかったから早く外にだして!時間が無いんだ!」
???「まぁまぁ慌てない慌てない。君ここから目が覚めた後まだ戦うつもり?体中ボロボロなんだよ?
絶対に勝つためにはまず私の話を聞いて!」
アクア「でもっ!」
???「キリアを守れなくてもいいの?」
そういわれてアクアは正気に戻った。
そうだ、キリアを守れなきゃ、意味がないんだ。
ここで死んでしまっても、天国で合わせる顔がない。
アクア「わかった。話を聞くよ」
???「おっけ、でも貴方自身の体が持たないから手っ取り早く進めちゃうね。
まずはフィリックスについて、これはさっき言ったけど今の私の事。
フィリックスって言うのは、昨日やおとといまで生きていた、伝説レベルで強いポケモンたちの
魂だけ具現化されてできるのがフィリックス。そして、具現化された魂、フィリックスは、生まれてくる
寸前の赤ちゃんの体の中に入って同化して、その赤ちゃんに自分の力を上げるの。
そして、フェリックスは、その力の名前でもあるの。例えば、貴方なら私の力を使うことが
できるようになる。そうだね...私は電気タイプだったから、電気タイプの技が使えるように
なるわ。あと、鋼技のアイアンテール。貴方は水タイプだけど、自分で自分の攻撃を食らう
事はないから安心して!ここまではいい?」
アクア「一つ質問、伝説レベルで強いポケモンって...君は何をしてそこまで....」
???「うーん...そこは気にしたら負けよ、その内わかるわ。後君じゃないわよ、サクラって言う
ちゃんとした名前があるのよ!」
アクア「わ、わかった...さくらさん?」
サクラ「.....」
アクア「.......さくら?」
サクラ「はぁい??」
アクア「都合のいい耳だな!!!」
まじめな話の後に茶番をしていたが、本当にそろそろ余裕が無くなってきたといい始めるサクラ。
最初に始めたのはサクラ本人だが...今は気にしている暇はなかった。
急いでアクアは目を覚まさなければいけなかった。
サクラ「それじゃあ、後は頑張ってね」
アクア「あの、また会える?まだ聞きたいことが...」
サクラ「呼んでくれればいつでもあなたの頭の中に話しかけるわよ」
アクア「そっか」
そういって、アクアは現実世界での体で目を覚ます。
うつぶせになっている体。背中には大量の何かが突き刺さっている感触。
それと同時に、アクアの背中に激痛が走る。
アクア「グアァッ!!....まだっ...あきらめる訳にはいかないんだっ!!」
そういってアクアを水の渦が包む。
それと同時に背中の矢がすべて抜けていく。
血が水と混ざり合い水色の渦はどんどん赤色へと変色していく。
そして、赤くなったと同時に、自分の目に何か違和感を感じた。
目を凝らしてみてみると、少しずつはっきり敵の位置や姿が見えるようになった。
そして、見えたと同時に動き始める敵たち。
アクアは自分の体にまとった渦を消して、戦闘を始める。
アクア「アクアボンバー!」
技の名前を叫んで8cm程度の10個程度の小さな玉を地面にたたきつける。
それと同時に爆発が起きて煙が上がる。
その煙の中、アクアは頭に思い浮かんだ言葉を叫んだ。
アクア【4分割十万ボルト!!】
そして体から電気が流れだし、空中で煙の中にいた敵を一層してしまう。
それを外から心配しながら見ていたキリア一同。水タイプのアクアから電気技が出ると言う
異様な光景を見て目を丸くして驚く。
キリア「な、なに...今の...」
ディーナ「電気技!?」
驚いてる二人の中で別に、違う衝撃を受けていたポケモンがいた。
ガジラだ。
ガジラ「こんなに早く習得するたぁ、大した奴だ!!」
一方中にいるアクアの目は、片方だけ黄色く炎のが燃えるように靄を出していた。
続く。