プロローグ:「よみがえる数々の記憶」の巻
ここは人間がいないポケモンたちだけの世界……。
大きく青い空がどこまでも広がり、全ての生命にとっての母なる海が時々波を立てながら、この星を包んでいた。
果てしなく続く大地には、この星が生きていることを証明するかのように火を吹く山があり、自然の厳しさを伝えるかのように険しい山々が天へそびえ立ち、逆に優しさを伝えるかのように緑豊かな森がその大地を覆っていた。
そしてその星の営みに反することなく、ポケモンたちは……確かにみな毎日平和に暮らしていた……。
………………そのときが来るまでは………。
ゴゴゴゴゴゴォォォォォ!!
ドッガァァァァァァァァン!
いつの日から……この星は怒りをあらわにしたのだろう。それまで誰も経験したことのない大地震、大噴火、大津波、干ばつ、豪雨……数々の自然災害が、この星に住む全ての者たちへ容赦なく牙を向いていた。
そのたびにポケモンたちは悲しみ、苦しみを味わい続け、混乱に平和な日々を奪われ続けた……。
“このまま我々ポケモンたちはただ滅ぶ日を待つしかないのか……。”
しかし……そんな絶望的な状況の中で、果敢な者たちは自然災害に苦しむポケモンたちを救うべく立ち上がった……。
それこそが現在、大小様々に存在している“救助隊”だった…………。
「私と一緒に……救助隊をやってくれないかな?」
「やっぱり……自分の姿……ポケモンのままだ……」
「弱いからってなんだって言うんだよ!!たった一回うまくいかなかったくらいで立ち止まるなよぉぉぉ!!ここまで自分を信じてきたからこそ頑張れたんだぞ!?それをキミは……ここでみんな失って良いのかよ!?」
「一流の救助隊ってホントにカッコいいね……」
「なんでだよ!!……どうして溶けないんだよ!!こんなに炎を浴びせているって言うのに!!時間が無くなる……!イヤだ!!溶けてくれ……溶けてくれ……頼む!!……頼む!!!溶けてくれぇぇぇぇ!!」
「だったらあなたは一体何者だって言うの!?」
「あなたを……信じてきて……ホントに良かった……」
「諦めない……諦めたくない……諦めるもんか……!ボクたちはいっつも支えてくれている……みんなの元へ……全員で……帰るんだああぁぁぁぁ!!」
「当たり前だよ。いつでも“いっしょにいこう”……」
「これが……最後の冒険になるんだ……。……かけがえのないキミとボクの……」
この物語は、とある小さき2匹のポケモンたちが結成した救助隊による……活躍の記憶の数々である。