Dramatic baseball〜奇跡呼ぶ9つのキーワード〜 - 第1章:「ナインズ入団」編
キーワード5:「それぞれの意気込み」の巻
 僕やピカチュウを含めナインズからドラフト会議で指名された期待のルーキーたちは、真新しいユニフォーム姿を披露し、多くの報道陣を前に球団事務所に用意された会場で入団会見を行っていた。


 「私の持ち味は同じでんきタイプのピカチュウに負けない俊足と、内野も外野もできる守備力です!!先輩たちに早く追い付いて一軍で活躍できるように頑張ります!!」


 まず最初に報道陣を前に意気込みを語ったのは、僕やピカチュウと同じ高卒ルーキーの女性選手で、白い体よりも大きなしっぽ、黄色いほっぺた、水色の耳、つぶらな瞳にやや大きめな歯が特徴的なでんきりすポケモン……パチリス。
 元気いっぱいな小さき背番号“13”の様子からは、チームメイトを活気づける“ムードメーカー”的な役割を果たせそうな予感がした。


 「僕の目標は一軍で首位打者(打率のトップ)を取ることです!!そのために得意な打撃を磨いて、1日も早くレギュラーを目指したいと思います」


 続いて意気込みを語ったのは、全体的に薄い水色の体で、下半身が濃い水色。黄色い脚に、黄色いくちばし、そして頭部に特徴的なハート型の突起があるみずどりポケモン……コアルヒーだった。


 報道陣の質問に淡々と受け答えする背番号“35”。その姿からは派手さは無くとも、しぶとく勝負を決める“必殺仕事人”へと活躍しそうな気配を感じた。


 「自分の最大の武器はみなさんもよく知っている150キロ超えのストレートです。一軍で活躍する打者にどれだけ通用するのか……今は早く打者と勝負したい気持ちでわくわく感一杯です」


 次に意気込みを語ったのは、恐竜を彷彿とさせる巨体の首からバナナが生え、更には大きな葉っぱが羽のように生えているというちょっと変わったポケモン……フルーツポケモンと呼ばれるトロピウスさんだった。


 彼は大学球界やプロ野球の関係者の間には無名だったにも関わらず、疲れ知らずのスタミナと150キロ超えを誇る豪腕という隠れた実力者なのだ。


 しかも左投げということもあり、エースのリザードンさんに次ぐ存在を確立したいナインズは是が非でも獲得したい選手だったという。


 とにかく、背番号“31”を背負ったこのドラフト1位左腕がどれだけ活躍するかが、ナインズの優勝争いを左右しそうだ。


 「私の自慢できるところは固い内野の守備です。打撃が苦手なので、プロではしっかりと技術を磨いて、ナインズのレギュラーとして活躍できるように頑張ります」


 続いて意気込みを語ったのは背番号“8”を授けられ、高卒ルーキーで黄緑色の小さい体、大きな赤い目と頭に大きな葉っぱがあるのが特徴的な……はっぱポケモンのチコリータだった。


 ナインズは今シーズンのドラフトでは“勢いのある選手”の獲得に力を入れていたため、他球団には異例と言えるほど、“女性選手”が誕生することが多かった。


 それは今や不動の正捕手として活躍するラプラスさんの成功例もあったが、「例え女性でもプロを夢見て努力する選手がいる。そのような選手が入団して活躍すれば、“カントリー・リーグ”の盛り上がりにもプラスになるだろうし、何より野球というスポーツにもっと夢をもつ選手が男女問わず出てくるはずだ」と、ナインズの球団関係者が考えていたからでもあった。


 何はともあれ僕の出番に回ってきた。昔からこういう場面では緊張しやすいため、一度深呼吸してから話すことにした。


 「小さい時からずっとファンだったナインズに入団できて本当にうれしく思ってます。ナインズのセカンドといったら僕と言われるように一生懸命定着頑張ります!!」


 やや早口になりながらも、しっかりと意気込みを語ったあと、会場は小さい背番号“4”に温かい拍手に包まれた。


 僕自身、何とかしくじることなく大切な場面を乗り越えたことにホッとした気分だ。


 「プロ野球の世界でどれだけ通用するのか不安と緊張で一杯ですが、ナインズの力になれるように頑張ります」


 最後に入団会見を締めくくったのはピカチュウ。もちろんそんな背番号“7”を背負うことになった小さいスピードスターへと期待の拍手も惜しみ無く送られた。


 こうして僕やピカチュウ、それに期待のルーキーたちはプロ野球の扉を確実に開いたのであった。



 だが、このあともあさひポケナインズの戦いへの準備は続くことになる。

オレンジ色のエース ( 2014/05/12(月) 22:40 )