7色の彼岸花
世界には様々な人・・・ポケモンがいる。
人間は行動する、何かを成しとげるために。
成しとげた時の 喜び・満足感 を求めて・・・
それは何も人だけとは限らない。
今から話すことは写真家・写真好きの人々の間で、俺が天才と言われ始める少し前のことだ。
俺の名前はコジョン、まあ名前だけでもなんと言う種族か分かるかも知れないが、俺はコジョンドだ。
ちなみに写真家として活動しているため住んでいる所の近くでは写真好きだと有名だった。
活動とか言うとおおげさだけど昔から写真を撮るのが好きだったのがエスカレートして撮った写真を雑誌にして売ったりもしていた。
ま、売り上げはあまりないんだけどね。
ほとんど収入は無かったけど別に生活に困ったとかは無かったしね。
だってそうでしょ、確かに人間は働いてお金を稼がないと生活に困るけど、俺たちポケモンは働いている奴もいるけど基本的にその辺の木になっている木の実とか食べるし寝るの所も野宿だからお金は必要なからね。
だからお金が少なくても別に問題は無いんだけど俺は写真を沢山撮るからやっぱりカメラとかフィルムとかが欲しくて全てのお金をつぎ込んでたんだよ。
おっと、悪い話がそれたね、まあそんな感じで生活してたんだよ。
そんな生活をしていたらちょうど世間がサマーウィーク、つまり長期休暇で浮かれている時に見つけた一通の手紙を見つけたことから始まった。
その手紙から今の生活の全てが始まったと言っても過言じゃないと思う。
まあ、今のことは置いておくとして、そろそろ前置きも終わりにしよう。
あのときのことは、今までも一字一句間違えずに思い出す自信がある。
それをそのまま教えてやる、分かりやすく伝えるために描写もいれてな、ではスタートだ。
カシャ!カシャッ!
沢山の水が流れる大きな川の川原で一匹のコジョンド、コジョンがデジタルカメラを片手に風景をとっている。
「お〜いいね〜強い日差しに反射してキラキラときれいに光る川最高!!」
一人言を良いながらひたすら写真を撮り続ける。
カシャッ!カシャッ!カシャッ!
何度も何度も角度を少しづつかえたり、ズームしたり遠ざけたりしながら撮り続ける。
カシャッ!カシャッ!カシャッ!カシャッ!!カシャッ!カシャッ!カシャッ!カシャッ!カシャッ!
しばらく撮り続けるとデジカメの液晶画面に文字が浮かび上がって来た。
【メモリーが、一杯です整理してください】
「チッ!またかよ、今良いところなのに!!」
そう言うとようやく撮るのを止め、どこかに写真の整理をするのに良さそうな日陰でも無いかと周りを見回す。
すると川の向こう、自分がいる所の反対側の川原の奥に木に囲まれ風通しの良さそうなところを見つけた。
「あ〜ちょっと遠いけどあそこにするか」
そう言うと片手に持っていたデジカメを大切に布袋へとしまい川へと近づいていく。
「ん〜これくらいの深さならなんとか行けるな」
深さを確かめ終わり大丈夫だと判断したコジョンはデジカメを頭の上へとのせ絶対に落とさぬように細心の注意をしながら川の中へと入っていった。
熱くなってしまっていた全身を覆う毛が一気に冷やされ気持ちが良い。
そう思うたびにもう夏だなーと思う。
そういえば基本的に全身が毛に覆われているポケモンは夏が一年で一番嫌いって聞いたことがあるな。
それはたぶん毛で覆われているポケモンにとって夏は凄い暑いからなんだろう。
まあ俺も毛で覆われているからその気持ちは凄い分かるな。
でも俺は夏が好きだな、今みたいにキラキラと光るきれいな川とかは他の季節だとあんまりなくて写真でとれないからな。
「あっ、でもそれだと他の季節も同じか、春は沢山の花が咲いていてきれいだし、秋も色々な色の葉っぱがきれいだし、冬は純白の雪とか・・・・・」
ついつい、終わりが見えない事を考え初めてしまった。
「他にも、葉桜とか山の紅葉や森の紅葉、沢山のポケモンの季節の変化への対応のしかたとか・・・」
そんな永久ループにはまってしまいながらも川の中を泳ぎ移動し続けると、ようやく反対側の川原までもう少しでたどり着くところまできた。
「あとちょっとでつく・・・・ん?」
川原はもう目の前とゆうとき不意に川の上流から何かがゆっくり、ゆっくりとこっちに流れてきた。
「なんだ?」
コジョンはこっちに流れて近づいてくる何かをしばらく見つめているとそれが何なのか分かった。
「ビン?」
流れてくるもの、それはビンだった。
「なんだ、ただのビンか」
ゴミだと思いそのまま川原へと向かおうとするがあることに気がついた。
「あれ?なんでビンが浮いてんだ?」
ふつうならビンは重く、水にはまず浮かないのにそのビンは浮いていた。
どういうわけか、浮いていることが無性に気になって近づいてみることにした。
近づいて見てみると、そのビンは特に変でもなくジャムやハチミツが入れられているようなものだった。
何故かそのビンの下や回りに、ウキがつけられていること以外は。
「なんだ、普通のビンか」
何なのか少し期待していたぶんがっかりだった。
まぁ、ここにいても仕方ないためとりあえずビンを持ったまま川原へと泳ぎ始めた。
「ふぅー、着いた」
水からゆっくりと上がり、とりあえず川に入る前に見つけていた日陰へと移動した。
もちろん体を左右にふって水滴を飛ばしすぐに乾くようにしてから。
「結局ビンが沈んで無かったのは沢山の浮きが着いてたからだったんだな」
「なんでこんなにウキ着けたんだろ?」
疑問に思い考えるが当然答えなんぞ出てこない。
そんななか、改めてビンを見てみると何か小さい物が入っていることに気づいた。
「なんか入ってる」
コジョンはビンの中身を確認するためふたをとろうとするがとんでもなく固く栓がされており中々開かない。
ドス!
ふたとしばらく格闘するとそんな音と共にようやく開けることに成功したが、全力で開けようと後ろに引っ張っていたためおもいっきり倒れてしまった。
「いたたた・・・さてと何が入っているのかな」
コジョンはビンの中に入っている物を取るために手を入れるとざらざらとしま感触の物に触れた。
「紙?」
取り出してみるとそれは、小さく何度も何度も折られビンを開けてみなければまず何か書かれていたとしても分からないようになっていた。
それを広げるとそこには文字が書かれていた。
「なになに、【コジョンへ
彼岸山登山口にすぐ来てほしい是非写真を撮ってもらいたいものがある】っては!?」
「ビンに紙を入れてる時点で、手紙だとは思っていたけど、まさかの指名!!」
「とゆうか彼岸山って裏山の凄い高い山のだし!」
書いてある内容が全く想像していないことだったため驚いた。
てゆうか、流されなきた紙に自分の名前が書いてあるとは誰も考えないだろう。
「差出人はいったい誰なんだ?それに撮って欲しい写真ってなんだ?」
イタズラという可能性も十分有るがとにかく【撮って欲しい】という台詞に興味がそそられた。
撮ってほしいとか言われたら、なにを撮るのか気になってしかたがない。
「ま、ダメもとで行ってみるか」
もし仮にイタズラだったとしても、このまま気になり続けるよりはマシだと思った。
〜彼岸山、登山口前〜
「とりあえず来てみたけど誰も居ないな〜」
さっきまでいた川から彼岸山はすぐで少し川を登れば着くためあっという間に着いた。
周りを見回すが誰も居ない。
「もう少し待ってみるか」
50分後
「やっぱりイタズラかな〜」
コジョンはさっき撮っていた写真を整理しながらそんな言葉を漏らした。
「さてと、整理は一通り終わったし帰るとしようかな・・・」
これ以上待っていても仕方がないと思い帰ろうとしたその時、
「あっ!居た!」
後ろからいきなり大声が聞こえてきた。
「えっ何!?」
慌てて声のする方を振り向くと、こっちに走ってくる一匹のコラッタがいた。
「あの、コジョンさんですか?」
「あっ、ああ、そ、そうだけど」
てっきりイタズラだと思っていてまさか本当に来るなんて思ってもいなかったたのと、
初めて会うポケモンのため慌てて少しどもりなから答えてしまった。
「良かった、ちゃんと手紙が届いたんだ」
「届いたってゆうか、たまたま拾っただけなんだけど・・・」
「ん?拾った?」
そのコラッタは首をかしげた。
「ああ、川に居たらビンが流れてきてその手紙を読んだんだ」
「えっ、私確かコジョンさんの家を探している途中で会ったゾロアがあなたの家知ってるって言うからこのビンを渡してって頼んだんだけど」
コラッタはそんなはずはないと首をかしげる。
一方コジョンは全て分かったといった顔をしていた。
「あー、ロアにわたしちゃったのか、あいつはイタズラ好きでここら辺だと有名なんだよ」
おそらくロアにビンを渡してしまいそのビンを川に投げ捨てたってところか。
「えっ、そうなんですか!?」
「ま、たぶんロアが川に捨てたんだろうな、ところで手紙に書いてあった撮って欲しいものってなんなんだ?」
疑問だったことについて聞いてみた。
「それなんですけど、この彼岸山は彼岸花が沢山咲いることで有名なんですけど、私が住んでいる村にはこの山についてある噂があるんですよ」
コラッタが本題を話始めた。
「噂?俺は聞いたこどかないな」
さっきのコラッタとは反対に今度はコジョンが首をかしげている。
「その噂が【彼岸山の頂上、そこには7色に光る彼岸花が咲いている、それを目にしたものかつてない衝動にかられるだろう】なんですよ」
「そんな噂初めて聞いたな」
「まあ、そうでしょうね私の住んでいる村は小さくて他の村との交流もあまりないですしね」
「つまり、それを一緒に探して写真に納めて欲しいと言うことだね」
なるほどといった、顔でコジョンはしゃべった。
「その通りなんですよ、私だけだと頂上まで行けるとは思えなくて」
そのコラッタは答えた。
「でもそれって本当だとしたら、もう見たことあるポケモンや人が居るんじゃないの?」
当たり前の疑問を問いかける。
「それがこの彼岸山は標高が高すぎて誰も登ったことがないらしいんですよ」
「へー、ずっとふもとに住んでいたけどぜんぜんしらなかったな」
「分かりましたか?お願いします一緒に探してくれませんか?」
「よし、俺は写真が好きだし、そんな花を写真に納めたいから手伝うよ」
そんなに凄いとの噂があるなら写真家として行かない訳にはいかないだろう。
「本当ですか!ありがとうございます!あっ私の名前はコライですよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく!」
こうして7色の彼岸花探しが始まった。
それから少しの間俺とコライは話をしていた。
「じゃあ荷物の準備をしてまた明日の朝ここに集合で良いですか?」
コライが集合をする時間を提示する。
「良いよ、じゃあまた明日ね」
「はい、お願いします」
コジョンとコライはそれぞれの家路へと歩いていった。
〜次の日彼岸山、登山口前〜
「あっいた!おーいコライ!」
早朝日の出すぐに、俺はてっきり早く来すぎたかと思っていたがすでにそこにはコライがいた。
「あっ、コジョン!おはようー」
「おはよーじゃ、早く行こうか」
何気なく挨拶を返したコジョンは早速行こうと誘う。
「早く行きたくて私もうずうずしてます!」
「じゃぁ、出発〜!」
そう言ってコジョンとコライは彼岸山へと歩いていった。
最初の7時間はくらいは道も彼岸山が有名なだけあって整備されており彼岸花が咲き誇り凄い楽しく喋りながら登れた。
が、それもつかの間標高4000メートルくらいから徐々に道も険しくなり余り笑い声はでなくなっていった。
そして登るにつれてどんどん気温も下がっていく。
「なんかそろそろ険しくなってきたね、コライ大丈夫か?」
「うん、まだ大丈夫ですよ」
「なら大丈夫だね」
登っていくにつれて彼岸山はさらに険しさを増し、遂に夏だと言うのに雪まで積もっている辺りまで登ってきた。
もう毛が覆っていても少し肌寒い気温だ。
このまま何も喋らないというのは不味いと思いコジョンは話しかける。
「ねぇ、そういえば聞いてなかったんだけど何でコライは7色に光る彼岸花を見たいと思ったの?」
必死に考えた結果、まだ聞いてなかったコライのことを聞いてみた。
「えっとね、それは色々な理由があるんだけど私は昔から自然が好きなんです、
だからこの噂があるのは前から知っていて、ぜひ見てみたかったんですけど、
私一人だと登る自信がなくていまだに確かめてないという訳です」
「へーそうなんだ俺も自然は好きだな、いつ見ても美しいし」
そんな話をしていると空からゆらゆらと粉雪が降ってきた。
「ヤバッ、雪が降ってきた」
山の吹雪はヤバイということは素人でも知っている知識である。
何故なら吹雪で視界は無くなるし風が強ければ歩くのだって一苦労たからだ、そらに雪崩だって起きるかも知れない。
「コジョンどうする?」
「とりあえず洞窟とかがあればしのげるから探そう」
「分かりました!」
洞窟をさがしていると段々と吹雪が強くなってきた。
「コライ大丈夫!?」
「ちょっと不味いかな・・・」
体が小さいかコライは今にも吹き飛ばされそうだ。
「コライ!俺に掴まって」
コジョンは今にも飛んでいきそうなコライに向かっててを差し出す。
「うん、あ、ありがとう」
それからしばらくするとさらに吹雪は強さを増してくる。
何とか飛ばされるのは回避したがコライはコジョンに片手で押さえられながらしがみつくのでやっとだ。
そんな状況で必死に二人は洞窟を探すがなかなか見つからない。
幸い吹雪は止まないが、強くはならずにすんでいるがコジョンの体力はもう限界に近づいている。
そんな絶望のなか唯一の希望が湧いてきた。
「あっ!あ、あそこ洞窟じゃない」
コライが遂に洞窟を見つけた。
「はぁ・・はぁ・・」
しかしコジョンは疲れきり呼吸も乱れている。
「頑張ってコジョンあとちょっとです!!」
「あと少しで洞窟まで行けるから!頑張ってコジョン!」
今にも倒れてそうなコジョンに必死に声をかける。
そして遂に洞窟まで10メートルをきった。
「この風さえなければ私が引っ張って行ってあげられるのに!私には何も出来ないの!」
「風、風さえなければ・・・そうだ"まもる"だ5秒くらいなら風を防げるわ!」
コライはこの状況の打開策を思い付いた。
「コジョン、後は私に任せてね」
今にも倒れそうで疲れはてているコジョンに向かって話しかける。
「まず"まもる"で風を遮断!」
まもるを発動して吹雪をわずかな間遮る。
「次に"でんこうせっか"!」
でんこうせっかを発動して一気にコジョンの手から抜け出しコジョンを加えて全力で洞窟への向かう。
あと5メートル、3メートル、1メートルもう少しで・・・
ズドンッと言う音がし洞窟へと突っ込んだ。
「良かった間に合ったー」
その直後発動していたまもるが割れる音がした。
「これで安心だよ、コジョン大丈夫?」
コライはオレンの実を差し出した。
「はぁ・・・はぁ・・・な、なんとか・・」
そう言ってオレン実を食べ始めた。
そしてしばらく休憩をとりしっかりと休んだ。
ちなみにこのあとは暗くなるまで吹雪が続いていた。
〜翌日〜
太陽が登り始めた。
長かった夜も終わり日の出がはじまる。
「凄いきれいだな」
完全に復活したコジョンが思わず声をあげる。
「ほんとね凄いきれい」
コライも思わず声を漏らす。
この日は昨晩とちがいくもひとつない快晴だった。
そのため太陽の日差しが凄い。
しばらく日の出をみているとコジョンがあることに気づく。
「あれっ?なんか雪が光に反射して凄いきれい」
「ほんと色々な色に見える」
昨晩降り積もった雪に太陽の光が反射して7色に光っている。
「あっ、ねぇコジョンもしかしてこの光景があの噂なんじゃない?」
「確かにみる角度を変えれば別の色に見える、本当だ確かにそうだ!」
「ありがとうコジョン、私だけじゃ見られなかったよ!」
「こっちこそありがとう、俺だけじゃこんなきれいなものは見られなかった!」
お互い、ここまで来るのに頑張った達成感も感じとてつもない衝動にかられていた。
まあ、ここまでが俺の少し昔の話かな、このあとはまたコライと一緒に美しい自然をみるために、写真に撮るために世界を駆け回ったのはまた別の話だ。
また誰か聞きに来るときのためにとっておくとしよう。