第2章 初めてのジム!!
第9話 当たりたくない技上位 いとをはく
〜ハクダンの森〜

午後1:00時

【ようやくついた〜】
少し疲れたように声を挙げ、ドスン!!という音でも聞こえそうなほどの勢いで腰を下ろした。
それと同時に背中に必死にしがみついていた小さい体のポケモン、ロコンの六九人が大きな地震でも起きたかのように揺れた。
そして、その揺れによって必死にしがみついていた手がほどけ、後ろ向きに倒れてしまった。
【いてっ・・・おいコン!!急に座るなよ!!】
【大丈夫、大丈夫!ちゃんと雑草が沢山生えてるところを狙って座ったから!!】
そんなことじゃない!っと、どや顔で言うコンに対して思ったがあえて言わなかった。
何故ならコフキムシの群れの中から出て、あまりポケモンが居いなく、なおかつほどほどに広い場所に来ることがどれ程大変だったか知っているからだ。
【いや〜それにしても凄い疲れたね!!】
【移動するだけでここまで大変だとは思わなかったよ】
どんな状況だったか一言で表すとするならば、そう満員電車だ。
実際体験はしたことは無いが、このカロス地方の最大の超大都市のミアレシティーにある電車の中は人々が乗りすぎて身動きとれなくなるというのを聞いたことがある、まさに今さっきの現状とそう変わらないだろう。
そんな中で約1時間ほど歩いき続けたら、いつも元気すぎるコンもさすがに疲れはててしまっていた。
【俺も背中にしがみついていても何度も落ちそうになったな、とゆうか一度落ちたしね】
疲れはててしまっているのはコンだけではなく六九人も同じだった。
たとえ引っ付いているだけだとしても周りはどこも満員電車状態だ。
そんな中を突き進んでいくのだから大変だ、左右から押されたり時には背後からぶつかってくるコフキムシがいたりして少しでも気を緩めれば落ちてしまっていたかもしれない。
そんな状況が続いていたのだ、疲れるのは当然だ。
しかし、そんな中でも一匹だけ疲れていないポケモンがいた。
そう、ここまで六九人とコンを連れてきたコフキムシだ。
コフキムシは疲れてはてている六九人とコンとは違いあまり疲れてはいないようだ。
【ねぇ、コフキムシは疲れてないの!?】
コンはコフキムシに向かって不思議そうに言う。
【えっ?別に疲れてないよ〜】
えっ何で?疲れる要素あった?とでも言いたげな表情でこちらを見てくる。
【私達はヘトヘトなのに何で疲れないのよ!!】
確かにと、六九人も賛成する。
【え?確かに今日は何かコフキムシの数が多かったけど、別に疲れる所とか無いでしょ〜】
【もしかしてさっきの満員電車みたいのが普通なの!?】
まさかあんな状態がごく普通の日常なのかという考えが二人をよぎった。
【そうだよ〜】
のんびりとしたしゃべり方で、やる気の無いように聞こえてくる。
疲れている原因が分かっていないコフキムシを見ると、もしかして俺たちが疲れすぎなのかと思もえてくる。
【まあいいや、じゃあ早速バトルしよ!!】
多少の雑談をして少し休んだため、だいたい体力は回復しここまで来た目的であるバトルをしようと提案した。
【そうだね、少し休めたし初めようか】
【良いよ〜】
六九人もコフキムシも賛成し、それぞれバトルをするために移動した。
今回バトルをするのはコンのため、コンとコフキムシはだいたい20メートルくらいあけて向き合い、六九人はコンの後ろに5メートルほど離れ、普通トレーナーがいる位置に移動した。
【あれ?六九人〜、後ろから見るより横から見た方が見易いんじゃない〜】
コンの後ろに居る六九人にコフキムシは声をかけた。
【ああ、別に見るだけじゃないから大丈夫だよ】
【そうそう六九人は私に指示をしてくれるから良いんだよ!!】
六九人が言うと、それに続けてコンが詳しく説明をした。
【ふ〜ん、何かトレーナーとポケモン見たいだけどまあいいか〜】
コフキムシは納得したように返事をした。
【よしじゃあ始めようか】
【オッケー!!】
【良いよ〜】
二人は準備が出来それぞれ返事をした。
【じゃあよーい、スタート!!】
そしてその返事を確認して六九人は開始の合図をした。
【行くよコン!先ずは"でんこうせっか"で距離を詰めて!!】
【分かった!!】
コンはお得意の"でんこうせっか"を発動させ一気に近づこうとする。
【早いね〜ならこっちは"体当たり"〜】
相変わらずのんびりとしたしゃべり方なのは置いておいて、
コフキムシもコンが"でんこうせっか"を発動させたあと直ぐに"体当たり"をするために走り出す。
『ドン』
物と物がぶつかるような音がした。
それと同時に勢いよくぶつかった二人は軽く互いに後へと飛んでいく。
【いた〜】
【よっと!】
"体当たり"封じにいつも使っている"でんこうせっか"でも、さすがに20メートルもの距離を相手が動き出す前に詰めるのはできず、コンも多少のダメージを受けてしまったが、そこまでひどくなく受け身をとることに成功した。
それでもコフキムシよりもコンの方が勢いがあったため、コフキムシはコンの倍、約2メートルくらいの距離を飛んでいった。
【よし、コン次は"ひっかく"だ!!】
受け身をとり体制を直したコンはすぐに、目の前にいるコフキムシに向かって爪を硬質化させ振りかざす。
【くらえっ!!】
受け身をとったあとすぐの攻撃だったため、コンよりも飛んでいたコフキムシはまだ起き上がったばかりで何の抵抗も出来ずに当たってしまった。
【いて〜】
相変わらずのんびりとしたしゃべり方なので本当にダメージになっているのか少々不安になる。
まあ、それでもダメージになっているのかコフキムシはひっかかれた所を軽く撫でていた。
【それじゃあ僕も反撃するね〜】
そう言うとコフキムシの口から何か細長いものが出てきて、コンめがけて一直線に飛んできた。
そう"いとをはく"だ。
【コン!避けて!】
六九人が指示を受けてすぐに横へとずれることでぎりぎり避けることには成功した。
が、コンの後ろに生えていた木や草はコフキムシが出したねばねばとした糸がベットリとくっ付いてしまっていた。
【コン!"でんこうせっか"で急いで距離をとって!】
コフキムシとの距離が近く、次も避けられるか分からないため一旦距離をとるように指示をする。
するとコフキムシの動きに注意しなから"でんこうせっか"を発動させてこっちに走ってきた。
【にがさないよ〜】
当然距離をとられると当たりにくくなるため、阻止しようと"いとをはく"を放ってきた。
しかし、コンは全速力で動いてのでぎりぎりで避けられてしまう。
【きゃっ!!危な!!またっ!!】
そんなすれすれで避けながら移動していくと、次第に距離が広がり避けやすくなっていき六九人の前に着く頃には当たらないと判断したのか放ってこなくなった。
【さてと、この後はどうするの!!】
コンは六九人の近くに来て次の指示を待った。
【あの糸は多分曲げれないから横にジグザグに走りなから距離を詰めてから"ひっかく"だ!】
まだ確信は持てないが、さっきコンが距離をとるため走りながら糸を避けているときもあの糸は曲がったりはしなかった。
【それならいけるわ!!】
そしてコンが走り出そうとしたとき、コフキムシが糸を放ってきた。
しかし糸が曲がらないと分かれば、"でんこうせっか"を使い横に走れば良いだけだ。
そして思った通り、糸は真っ直にしか飛んでこず余裕で避けることに成功した。
コンは。
【わっ!?】
横向きに避けてそのまま走り出そうとしたとき、後ろから悲鳴が聞こえてきた。
それにつられて後ろを振り向くと、ベトベトの糸が絡み付き身動きがとれなくなている六九人がもがいていた。
【えっ!!六九人!?】
【あ〜ゴメン当たっちゃったよ〜】
六九人とコンは一直線上に居たためコンは避けたが六九人は当たってしまったらしい。
【うん、とりあえずバトルに集中しよ!!】
後ろの光景は見なかったことにしてバトルに集中しようとする。
【ん〜、なかなか当たらないな〜】
六九人は動けなくなっているが、まだバトルは続いているため糸は容赦なく飛んでくる。
それでもコンは避けながら近づいて遂にコフキムシまで約3メートルまで距離を詰めた。
【よし今だ!!"ひっかく"!!】
そして飛んでくる糸を避けているときも避けながら右手の爪を硬質化させ一気にコフキムシに近づき右手を振りかざした。
【いた〜】
コフキムシはよろけて、糸が飛んでこなくなった。
【とどめよ!!】
その一瞬をついて再び右手を全力で振りかざした。
【うわ〜】
よろけているところに硬い爪でひっかかれ、遂にコフキムシは倒れてた。
しばらく様子を見ても動かないためどうやら気絶しているらしい。
【やった!勝った!!】
それを確認するとコンは叫んだ。
そしてコフキムシ近づき、大丈夫?ときく。
【うっ、ん〜、まあ大丈夫だよ〜】
相変わらず口調で返事をする。
【お疲れ!!】
コンは相変わらず元気な声でしゃべる。
【いや〜負けちゃったけど楽しかったよ〜】
【うん!!凄い楽しかったよ!!】

数分後

『ぐぅ〜』
そんなバトルの感想を言い合っているとコンのお腹が鳴り出した。
【あっそうだった、私まだお昼ご飯食べてないんだ!!木のみが生ってる木とか知ってる?】
もう午後2:00時を過ぎているのにまだ昼ご飯を食べていなかったことを思い出した。
【知ってるよ〜オボンの実でもいい〜?】
【本当!?じゃあ早速案内してよ!!】
この時、コンの頭はすでにオボンの実で一杯だった。
【じゃあついてきてね〜】
うん!!と元気に返事をし、そのままコフキムシにコンは着いていってしまった。
糸だらけになり、全く身動きのとれなくなった六九人をそのまま残して。










■筆者メッセージ
【皆さんコンにちはーコンでーす!!】

【今回はバトルがメインだったね!!でもバトル場に行くまでが最も大変だったよ、だって数百匹もいるコフキムシのなかを突き進むんだから、もうぶつかりまくりだったよ!!あとあの糸には絶対に当たりたくないよね、ベトベトでねばねばで美しい毛並みが汚れるしね!!】
【ん、何六九人?えっ、最後の一文?糸?あー、まあ次の話でなんとかしてあげるから大丈夫だよ!!】
【じゃあ私はオボンの実をとらなくてはならないから行くね、バイバーイ】
天丼 ( 2017/06/14(水) 18:02 )