〜ハクダンシティー〜

午後6時30分

清々しいほど美しく、また一日の終わりを告げる夕暮れ時。
そんな夕日の、赤く美しい光を受けながら六九人とコンは、町の全体図が書かれている看板の前で悩んでいた。

｢さて、どうしようか････｣
【まさかホテルが無いなんてね！！】
｢どこかに泊まれるようなところとか無いかな？｣
【でも、ホテル意外で泊まれる所なんてあるの！？】
｢えぇっと、あるのかな？｣
まず、この町にある施設が"ポケモンセンター"と"ショップ"、"トレーナズスクール"、あと"ハクダンジム"ぐらいだし、泊まれるような所が無いなー。
【じゃあ、仕方ないし野宿になっちゃうかな！！】
｢ちょっとまって、それは絶対にやだ！！｣
【えっ、なんで！？だって泊まれる所が無いなら野宿でしょ！？】
野宿を提案したとたんに全力で拒まれてしまったためコンはその過剰な反応に疑問を持った。
｢だってもし、野宿をしたとして途中で雨が降ってきたりとかしたらどうするんだよ！｣
【あっなるほど、水が苦手なら当然雨も苦手だもんね！！】
あっそうだ、ポケモンセンターでもトレーナのために泊まれるって確かテレビで見たような！
｢今思い出したんだけど、確かポケモンセンターでも泊まれたよ！｣







午後6時50分


〜ポケモンセンター内の部屋〜

ポケモンセンターでも泊まれることを思い出し、早速ポケモンセンターでチェックインを済ませた六九人とコンは部屋で休憩をしていた。
因みに部屋は一人用の"小部屋"と何人かが一緒に泊まれる"大部屋"

【いやー、寝るところが見つかって良かったね！！】
｢ほんとだよね、危なく絶対に嫌な野宿になるところだったよ！｣
【あっそうだ六九人、ジム戦って知ってる？】
｢もちろん知ってるよ｣
確か一つの地方に8箇所あって各街ごとに建てられてて、その街一番の実力を持ってる"ジムリーダー"とバトル出来る所だよね。
あとバトルに勝てば勝利の証として"ジムバッチ"て言うものがもらえるんだったよね。
【さっき看板に書いてあったんだけど、この街にもジムがあるらしいから、せっかくだしジム戦しに行こうよ！！】
｢まあそうだね、やらない理由なんて無いし挑戦してみよっか！｣
【やったー！！】
コンは子供がはしゃぐように跳びはねながら喜んだ。
｢じゃあ、まずはこの街にあるハクダンシティーからだね｣
【よし六九人！！ジム戦は明日にするとして、お腹すいたし早く"ハチミツ漬け"を買いにいこ！！】
｢そうだね、じゃあ買いに行こうか｣
そして二人はポケモンセンター内の売店へと向かっていった。






午後8時30分

六九人とコンは今さっき売店で買ってきたばかりの、ハクダンシティー名物である"ハチミツ漬け"を『せっかく来たんだから外で景色でも見ながら食べよう！！』というコンの提案で、町の中心部にある噴水が見えるいちにあるベンチに座って食べ始めていた。
ちなみに"ハチミツ漬け"だけではちょっとなと思ったので、ついでにパンも買ってきていた。




【お、美味しい！！六九人、これ甘いくて美味しいよ！！】
コンは目をキラキラと輝せ、六九人の方を向いて大声で叫んだ。
｢いきなりそんな大声で叫ぶなよ！それにもう夜なんだから少しはボリューム下げてって！｣
コンがあまりの声の大きさで叫び、近所迷惑になると思い急いで注意をする。
【あっごめん、すごい美味しくてつい！】
｢まあいいや、ねぇコンちょっと俺にもちょうだいよ｣
【良いよ！！】
コンが持っている"ハチミツ漬け"、ちなみに(モモンの実をハチミツに漬けたもの)が入れられているビンを受け取り、試しに１つ取り出して口に入れてみる。
｢甘っ！！｣
さっきコンに注意をしたばかりなのに思わず声を出してしまった。
めちゃくちゃ甘い。
｢なっ、何この甘さ････｣
【どう、凄い美味しいでしょ！！】
｢と、とてつもなく濃くて濃厚だね･･･。ただ、パンとかに塗ら無いとちょっときついかな･･･｣
【えー？そこまで甘いかなー？】
そう言いながら再び食べ始める。
｢よくそのままでも食べれるね･･･｣
六九人は美味しそうに食べ続けるコンに若干あきれながら自身も買ってきたパンにハチミツ漬けを塗り食べ始めた。














噴水近くに生えている草むらの中。
喋りながら食事をしているコンと六九人の方を向き、じっと様子をうかがうように隠れている生き物の姿があった。