第2章 初めてのジム!!
第10話 一人では脱出不可能、ねばねば地獄
〜ハクダンの森〜


一刻も早くこの『ねばねばの糸』から脱出したい。
今、俺が考えているのはその事だけだ。
何か良い方法は・・・くそっ、なんにも思いつかない!
そもそも体と地面が糸でくっついて全く動けない時点でアウトだろうな。
それに顔にもベットリとくっついちゃってるから口もくっついて開けれなくて喋れないし、目にもついていて開けられないし、かろうじで息は出来るけど・・・
誰かに助けを求めようとしても喋れないし動けない、しかも頭から尻尾まで全身に糸が覆い被さってるみたいだから周りから見たらポケモンがいるって気づいてくれるかどうか怪しいし・・・・
これかなり絶望的な状況だろ!
あっそうだ!ならロコンの姿から人の姿になれば体が大きくなって糸も引きちぎれるかも!
よしっそれだ!糸さえ切れてしまえばとりあえずなんとかなるし。
その時、六九人は重大な見落としをしている事に気がついてしまった。
あっでも、もし仮に近くに人かポケモンがいたら完全に姿を変えるの見られるな、それは完全に不味いな。
ああ、これはもうお手上げっぽいな〜。
唯一の助けのコンも何処かにいっちゃったみたいだし。

早く戻ってきてくれ!!
心のなかでそう叫んだ六九人だった。








一方コンの方はというと・・・

【んー、何か忘れてる気がするんだよねー】
お昼ご飯にするためにオボンの実がなっている木まで行く途中、すでに20分ほど歩いて来た時にふと思った。
【何か忘れ物でもしたの〜?】
隣を歩いているコフキムシが相変わらずのんびりと喋ってきた。
【いやー、何かバトルしてたところに忘れてるかもしれないんだよね!】
【じゃあオボンの実を採ったら一度戻ってみようか〜】
【そうだね、大事なものを落としてたりしたら大変だしね!んー、それにしても何を忘れたか思いだせないなー】
【まあ、そういうのはふと思い出すんじゃないの〜】
【それもそうだね!まあ、きっとそのうち思い出すよね!】
【そうそう〜】
よしっ、まあそのうち思い出すと思うしそれより今はやっぱりオボンの実だよね!
多分もう太陽の位置から予測すると昼過ぎだろうしさっきバトルしてかなり動いたからお腹空いたよ!
私のお腹はもう限界に近いから早く食べたいな!!
あれっ?そういえばコフキムシって皆葉っぱ食べてるけど他に何か食べるのかな?
【ねぇ、コフキムシって皆葉っぱ食べてるけど葉っぱ以外に何か食べるの!?】
【ん〜?もちろん食べるよ〜】
【えっ、食べるの!?どのコフキムシも葉っぱばっかり食べているから食べないのかと思ったよ!】
【そんなかと無いよ〜、別に葉っぱしか食べないんじゃなくてみんな好きなだけなんだよ、いわゆるおふくろの味みたいなものだよ〜】
【へー、じゃあ葉っぱ以外に何を食べるの!?】
【あ〜あのね、たまに葉っぱに飽きたりしたら木の実とかを食べるかな〜】
そんな話をしながら歩いていると次第に一本の木が見えてきた。
【あっ、もしかしてあの木にオボンの実がなってるの!?】
【そうだよ〜、オボンの実が生ってるのが上の方だから登って採らないといけないんだよね〜】
木登りなら得意だからすぐに食べられそうだね!
そう思いながら歩き続けるにつれてその木の大きさがよく分かるようになってきた。
【あっ、あの木だね!!】
【そうだよ〜】
確かに上の方ばっかりに生ってるな!!でもこれくらいの高さなら問題無いよ!!
【じゃあ、早速採って来て早く食べよ!!】
そう意気込み、木の下でおもいっきり垂直にジャンプして最高地点まで行くと木に爪を刺しへばり付いた。
んーと、あと大体15メートルくらいかなこれならすぐにオボンの実が生ってる所までたどり着けそう!!
大体の距離を測ると共にどこの辺りに美味しそうに熟れたオボンの実が有るのか瞬時に見極める。
よし、あそこにしよっ!!
目標を定めたコンは手足の爪を軽く木に刺しながら凄い勢いで登り始めた。
よしっ、もう少しで着きそう!!
そして登り始めてから僅か3分程度でオボンの実までたどり着いた。
【ふー、ようやく着いた!!あれ?そういえばコフキムシはまだ登ってるのかな!!】
コフキムシが今どこの辺りに居るのか気になって下を見下ろす。
【えっ!?まだそんなとこ!?】
まだそのくらいしか登ってなかったの!?コフキムシが居る場所はまだ地面から1メートルも離れてなさそうだし、コフキムシって登るのにどれだけ時間かかるの・・・
仕方ない!登って来るのを待つより私が採って持っていってあげるか!
【おーい、コフキムシー、私がオボンの実を採っていく方が圧倒的に早そうだから地面に降りてて良いよ!!】
【そうだね〜じゃあ頼むね〜】
下の方から声が聞こえてきた。
その声が聞こえたあとコフキムシは少しずつ登ってきた道を降りていった。
【さて、じゃあ採り始めようかな!!】
どのオボンの実が甘そうに熟れているか、また腐ってはないか、見た目はどうなのかなどを見て良さそうなのを瞬時に判断する。
あっ、あそこに良さそうなのがある!!
その視線の先のオボンの実は十分に熟れていて今が食べ時と言わんばかりに美味しそうに生っていた。
そのオボンの実が生っているところまで少し急いで行く。
立派に熟れたオボンの実ね!!これは私が食べるで確定ね!!
そっと傷つけないようにていねいにもぎ取る。
よし!じゃあ次は待ってるコフキムシの分と六九人のぶ・・・・ん!?
あれ?そうだ六九人は!?
コンはさっきから六九人を見ていない事にようやく気がついた。
そうだ、確か六九人ってコフキムシの"いとをはく"にあたっていた気が!!
その瞬間今まで完全に忘れていた事を思い出した。
あっ!もしかして今もさっきバトルしてた場所で動けなくなってるのかも!!
そして、とうとう六九人を置いてきてしまった事にも気がづいた。
早く戻らないと!
全て思いだした後、結局その一つにたどり着いた。
そして、今登ってきた所を凄い勢いで降りていく。
ちなみに降りる直前にちゃんと持てるだけのオボンの実をしっかりと採り、自分専用の凄く熟れていて美味しそうなオボンの実を大事そうに持ちながら。
【コフキムシ!!何か重大なことを忘れてると思ったら六九人の事だった!!】
地面に付くとすぐにコフキムシに話しす。
【あ〜そうだ、確かに六九人を見てないけどそれがどうしたの〜?】
六九人に自分の"いとをはく"が当っているとは知らないコフキムシは疑問げに答える。
【さっきのバトルの時に確かコフキムシが"いとをはく"を連発してその流れ玉が六九人に当たってたんだよ!!】
【そうなの〜?じゃあ、"いとをはく"の糸は凄いくっついちゃうから今頃動けないのかも〜】
【それなんだよね!!もしあの糸がくっついたら自分では取れないかも知れないんだよ!!】
【あの糸は自分ではまず取れないよ〜水に浸けたりしてふやかさないと取れないんだ〜】
【やっぱりとれないんだ!なら今も動けずにいるだろうから早く戻ろう!】
【そうだね〜】
そしてコンとコフキムシは来た道を全力で急いで戻っていく。
しかし、もともと遅い二匹の上に、たくさんのオボンの実を持っているため急いでも余りスピードがでず、バトル場に着いくのは結局かなりの時間がかかってからだった。




■筆者メッセージ
【みなさーんコンにちはー、コンでーす!!】

【今回は"いとをはく"についての怖さを知ってもらえてかな!?一度当たるともう自分では脱出不可能になるのは確定っぽいから、当たらないよう皆さんも気をつけた方が良いかもね!!】
【後半は私の木登りの上手さがよく分かったかな!!華麗な身のこなしで素早く登る
この素晴らしいテクニック、これも長年の木の実求めて登った成果だね!!】


【じゃあ私は早く六九人の救出に行かないといけないからまたねーバイバーイ!!】
天丼 ( 2017/06/18(日) 21:33 )