その4 星屑に奏でる旋律
26 遭遇のヘ音記号
昼 星屑の空洞 Sideライト


……シルク、大丈夫かな…?
 シルクに限ってやられる事はないと思うけど、やっぱり心配だよ……。

…それに罠……、浮遊してるわたしには関係ないけど、厄介だね。
 シルクがかかってるのはさっきの以外で見た事ないけど、効果が厄介なのばかりだね。
 ワープスイッチもそうだけど、技のエネルギーを減らされるのとか視覚を麻痺させるものとか……。
 野生のポケモンがかかってるのを見ただけでもゾッとするよ……。

A「[サイコキネンシス]!」

 っと、そんな暇無かったんだった!
 わたし、今5〜6匹に囲まれてるんだよね……。
 モンスターハウス程ではないけど、気が抜けないんだよ…。

ライト「くっ……!」

 敵の攻撃をかわした直後で丸腰となっていたわたしは下から虎視眈々と狙う[フーディン]の超能力で拘束されてしまった。

……でも、あのシルク達に鍛えてもらったわたしにその程度の技は……効かない!!
 それにこれでもわたしは元の時代では1人のトレーナー……。
 ティル達と7か所のジムを制覇してきたんだから、戦略には自信がある!!

ライト「……っ、[サイコキネンシス」!!」
A「っ!!」

 そっちが超能力なら、わたしも予備動作がいらない同じ技で対応する!!

 わたしを拘束した相手に意識を移し、手加減無しでその対象を縛り返した。

……[ラティアス]の特殊技、ナメないでよね!!

ライト「{光玉}、{ステルス}!」

群れ「「「!!?」」」

 技から解放されたわたしは短い腕を咄嗟に鞄に突っ込み、目晦ましのための不思議玉……、{光玉}を取り出した。
 そしてその光に紛れるようにわたしも光を纏い、[ラティアス]としての能力である[ステルス]を発動させた。

…{ステルス}はまだ完全にコントロールできてないから、練習を兼ねて使わせてもらうよ!!

 文字通り{光}となったわたしはそれが収まると同時に姿を晦ませた。

ライト([ミストボール]連射!!)

 すぐに天井ギリギリまで後ろ向きで高度を上げ、手元に超属性のエネルギーを蓄える…。
 それを手元で実体化させ、丸い球体として3発連続で撃ちだした。

群れ「「っ!!」」

……とりあえず、2体……。

 純白のそれは2/3がわたしの標的を捉えた。
 のこりの1つは地面を捉え、辺りに砂埃を巻き起こした。

……という事は、あと4匹……。

ライト([竜の波動]!)

B「!!?」

 周りの風景と同化しているわたしは結果を見届ける間もなく口元に竜のエネルギーを蓄積させ、一直線に解き放った。

 それはわたしの事を血眼になってさがす[バリヤード]に命中し、その1発で気絶させた。

C「[サイケ光線]!!」

 見えざる攻撃に苛立ち始めた相手は形振り(なりふり)構わなくなり、誰もいるはずがない通路の入り口に………

D「……本当に……どこに行ったんだよ……」

…七色の……!!
 危ない!!

 虹色の光線が放たれた先には運悪く1つの影が……

D・ライト「……!! [かみな……]…くっ!! ……ここの敵……強すぎる……だろ……」([サイコキネンシス]!! ダメだ!! 間に合わない!!)

 その影……、このダンジョンにいないはずの、何故か傷だらけの[ラクライ]が、おぼつかない足取りで迷い込んでしまった。
 声的にも、彼は体中に電気を溜めて放出しようとした。

 その光景を目撃した姿無きわたしも超能力で彼を非難させようとしたけど、それも叶わずに彼はカラフルな光線をまともに食らってしまった。

……わたしがもっと気づくのが早かったら……!!

 彼は抵抗も虚しく意識を手放してしまった。

ライト([ミストボール]連射!!「)兎に角、わたしに注意を向けないと!!」

 気を失ってるあの子に何かがあったら大変……。
 自力で動けないんだから、わたしが守らないと!!

 わたしはありったけのエネルギーをかき集め、敵の全てが倒れるまで純白の弾丸を立て続けに撃ちだした。

 技に集中しているからトレーニング不足で集中力が散漫になり、発動していた{ステルス}が解かれてしまった。

……でも今はそんな事、関係ない!!

 無造作に放ったそれのほとんどが地を捉えたけど、この場にいる敵をも巻き込んでいった。

………何とか、殲滅できた……かな?

 その事を確認するとわたしはすぐに高度を落とし、急いで彼の元に飛んだ。

ライト「ええっと……、気を失ってるんだから………、あった! こういう時は{復活の種}で!!」

……一つしか持ってないけど、やむを得ないよ!
 すぐに意識を取り戻すことは出来ないけど、これさえ食べさせてあげれば何もしないよりは良い……。
 シルクから万が一の時の保険としてもらった{復活の種}、ここで使わないと……。

 わたしは飛びながら鞄の中を漁り、目的の種子を探り当てた。
 そして間髪を入れずに超能力で彼の口の中に押し込んだ。

ライト「……[癒しの鈴]……! …これで、とりあえずは大丈夫だよね……」

 あとは削られた体力を回復させてあげれば、大事には至らないよね……?

 わたしは新たなる刺客が来ないか細心の注意を払いながら天に祈り、辺りに心地いい音色を響かせた。

……どうか、また敵が来ませんように………。




…………




数十分後 星屑の空洞 Sideライト


ラクライ「………っ」
ライト《…あっ、目が覚めたね?》

……よかった…、意識が戻ったね。

 わたしは背中に乗せている彼……、[ラクライ]の少年から何かが発せられたのを感じ、その彼の頭の中に直接語りかけた。
 それと同時に翼に引っかけるように提げている鞄から{木の枝}を取り出した。

ラクライ「………? 俺は確かモンスターハウスに入って……。 …? …でもそれなら何で風が吹いてるんだ?」

 背中の彼は私が飛んでることで起きている風に疑問を感じて、たぶん首を傾げながら呟いた。

ライト「わたしが背中に乗せてるからね。 [竜の波動]!」
ラクライ「!? 背中に!? それにあんたは誰だよ!?」

…やっぱり、驚かせちゃったかな?

 背中に乗っている彼は突然の事に声を荒げた。
 一方のわたしは真下にいる[ゴチミル]に向けて手に取った{木の枝}を投げ、それと同時に別の敵に向けて竜のブレスを放出した。

ライト「あっ、ごめん、自己紹介がまだだったね! わたしは[ラティアス]のライト」
ラクライ「……[ラティアス]……? 知らない種族だな……」
ライト「わたしの種族、元々数が少ないからね。 ……で、キミは?」

 ハクさんが言うには、この時代の[ラティアス]も[ラティオス]もほとんど姿を見せないみたいだもんね。
 仮に{ステルス」してなくても、他の種族に姿を変えてるから気づかれないのかもしれないね。

ラクライ「ん!? 俺? …あぁ、俺は[ラクライ]のコスモ・フリート・リクサスだ。 ……でも何で俺の事を知らないあんたが俺を乗せてるんだ?」

……何か長い名前だね……。
 どこか遠い所の出身なのかな?

ライト「ええっと、コスモ君が倒れてるところを見つけた、って言ったらいいかな?」

…本当はわたしが戦ってるところに迷い込んできたって事になるけど……。
 でも、最初から話すと長くなるから、いいよね?
……そもそもまだ戦闘中だし……。

 いまいち状況が掴めていない[ラクライ]……、コスモ君に手短にその事を伝えた。

……まだ話す事がたくさんあるけど、まずは敵を倒さないと!

■筆者メッセージ
[ラクライ]のコスモ君も烏山さんの作品、“リコルディアシンフォニー 〜満月に響け誓いの旋律〜”のキャラクターです。

http://pokenovel.moo.jp/mtsm/mtsm.cgi?mode=novel_index&id=karasuyama&nvno=4&view=1
@ ( 2014/08/31(日) 17:27 )