その3 風に誘われて
22 VS乱れし死の象徴(後編)
午後 黒の花園 Sideライト

???・ベリー「[悪の波動]!!」「…兎に角、シルクは休んでて!! わたし達が何とかするから!!」

ソーフ・ウォルタ「! ウォルタ、ライトさん!? 今の聞こえました!?」「!! 嘘でしょ!?」

ライト《うん! 確かに聞こえたよ!!》

うん!
あの声はベリーちゃんのだよ!!
戦ってる場所はまだ見えないけど、間違いないよ!!

赤い光の奇襲を受けてからずっと姿を消しているわたしは、その彼女の焦りを含んだ大声を鮮明に聞き取った。
{ステルス}を発動させているわたしは声が出せないから、代わりに念じて言葉を伝えた。

……何か落着けそうな場所だけど、この場所でシルク達が戦っている……。
…おまけに、さっきシルクの{加護}が解けたから、たぶんさんにんの劣性……。
早くわたし達も参せ……

ソーフ「守りが解けてるから、早くミー達も……」
ウォルタ「待って!! ソーフには危険すぎるよ!!」
ライト《!? ウォルタ君、何で!?》

ん……!?
ウォルタ君、何故!?

飛ぶスピードを上げようとしているソーフちゃんの目の前に、[ウォーグル]の姿のウォルタ君が血相を変えて立ちはだかった。

ウォルタ「ソーフからは見えないかもしれないけど、ベリー達が戦ってるあの大きな種族………、[イベルダル]っていう、伝説の種族なんだよ!!」

ライト・ソーフ《「伝説!!?」 でもそんな種族、知らないよ!!》

伝説なら、わたしもそうだから知らないはずはないよ!!

思いがけない彼の言葉にわたし達の声が共鳴した。

ウォルタ「ライトさんが知らないのも無理ないよ。 [イベルダル]は1000年周期で眠りにつくと言われているんだよ……。 直接本人から聞いたんだけど、[イベルダル]……、イグレクさんはまだ目覚めてから1年とちょっとしか経ってないらしいんだよ! その事から逆算するとライトさん達がいる2000年代は眠っていることになるんだ!」

1000年周期で!!?
……って言うことは、[レックウザ]みたいに地方に君臨するような種族って事!?

ライト《…あのポケモンの事は分かったよ…。 …でも何でウォルタ君がそんな事を知ってるの!?》

ウォルタ君が{真実の英雄}だって事はシルクから聞いて知ってるけど、[ミズゴロウ]のウォルタ君が知ってる訳が分からないよ!!

ソーフ「実はウォルタは探検隊じゃなくて考古学者なんです! それも、探検隊連盟専属の、です!」
ウォルタ「だから知ってるんだよ〜! ……そんな事より、見た感じ精神が乱れてるイグレクさんを止める方法を考えないと!!」
ライト《……でも、どうやって!?》

そうだよ!
ただでさえ強いのにどうすればいいの!?
シルクの{絆の加護}も破られてるのに、これで近づくのは危険すぎるよ!!
ダンジョンにいる野生のポケモンじゃないからまだマシだけど、ちゃんとした思考が働いてなさそうだよ!??
そんな状態のひとをいったいどうやって……!
……何も思いつかないよ!!

ウォルタ「……そうだ! ライトさん? 君の[チカラ]で何とか止められない〜?」
ライト《……わたしの…?》
ウォルタ「うん! [ラティアス]って他のひとの心を鎮める事が出来るんでしょ〜? それで止められないかな〜?」
ライト《!!》

そっか!!
その方法があったね!!
ウォルタ君、名案だよ!!

ライト《うん! ……まだ1回しか使ったことがないけど、できるよ!》
ソーフ「本当ですか!?」

前に使ったのは、あの時のシルク……。
……〜導き〜を読んでくれてる人なら分かるかな?

ライト《うん!! ………でも、失敗は許されない……。 ……だから何とかして技で気を引いてくれる?》

あと、[チカラ]を発動させる時間稼ぎと……。

ソーフ「はいです!」
ライト《シルク達にも伝えておいて!》
ウォルタ「分かったよ〜! ……じゃあ、いくよ!!」

ライト・ソーフ《うん!》「はいです!!」

何とか成功させないと!!

作戦がまとまったわたし達は、ウォルタ君のかけ声と共に気合を入れた。
そして、固い決意と共にそれぞれの行動に移った。

ウォルタ・ソーフ「[燕返し]!!」「[葉っぱカッター]!!」

シルク・ラテ「「!!? [シャドーボール]!!」」

まず2人が対峙しているシルク達の間に入り、相手との距離を急に詰めた。

ソーフちゃんがいくつもの緑の幕を創りだし、その後ろをウォルタ君が隠れるように追いかける……。

そのさらに後ろからは、太陽と月の漆黒が無数に分散しながら後を追う……。

……シルク、さすがだね!

ライト《シルク! わたしのも使って!! [ミストボール]!!」
シルク「この声は、ライトね? 助かったわ!!」

未だ姿の見えないわたしは手元にエネルギーを蓄え、球状に成形する………。
3つ分のそれを放ち、シルクは超能力の影響範囲を広げるかたちで受け取った。

イグレク「[デスウイング]!!」
ベリー「[オウム返し]……、[デスウイング]!!」
ライト([竜の波動]!!)
シルク「収束!!」

ウォルタ君達の接近に気付いた相手は、例の赤い光線を一直線に放った。

それに対して、一番近くにいたわたしは姿を現さないように注意しながら口元に竜のエネルギーを蓄え、暗青色のブレスとしてそれに迎え撃った。

……止めることはできなかったけど、辛うじて軌道を逸らせた。

この光景を見たシルクは予め漂わせていた何色ものエネルギー塊を相手に向けて放ち、視界を晦ませた。

地上で技を観察していたベリーちゃんはその技のイメージを鮮明にして、それを使った対象に向けて赤い光線を放出した。

……ベリーちゃん……、凄すぎる……。
あんなすごい技、ベリーちゃんのじゃないはずなのに…、

イグレク「っ!」

命中させたよ……。

…多分、自身の専用技をくらった相手は一瞬体制を崩した。

ベリー「っ! この技、回復もできるんだ……」

……わたしはこの隙に確実に命中させられる場所に移動しないと!

わたしは風となり、対峙する相手の上へと移動を開始した。

ウォルタ・ラテ「[ハイドロポンプ]!!」「[真空切り]!!」

……よし。
この辺ならいいかな?

……なら、いつでも使えるように準備しないと……。

わたしは目を閉じ、意識をある技に集中させる……。
…利用する技は[癒しの鈴]……。
そのイメージをからだ全体に行き渡らせる………。
次に、そのイメージを潜在的なエネルギーへと移していく……。

………この感じなら、いけるかな……?

最後に、そのエネルギーを手元に集中させ、聖なる光を球状に成形していく………。

………よし。
あとは隙を見つけたら撃ちだすだけ………。
それまでは何とか維持しないと……!

ベリー「[炎の渦]!!」
シルク「[サイコキネンシス]!」
ソーフ「[シードフレア]!!」

地上から、燃え盛る{鉄の棘}が放たれ、空中からはシルクの超能力によって形を変えた緑の波動が不規則に空気をかき分ける。

…きっとあの技も専用技かな?

イグレク「くっ!!」
ライト「今だ!! {癒しの鈴}!!」

どうか………当たって!!

シルク達の連携を交わすことが出来なかった相手の体勢が再び揺らいだ。
その隙を狙い、{ステルス}を解除したわたしは対象の背後から癒しの光球に祈りを乗せて放出した。

シルク「[サイコキネンシス」!」
イグレク「!!!」

その弾をシルクが操り、確実に命中させてくれた。

……よかった……。

ラテ・ベリー・ウォルタ・ソーフ「「「「ライトさん!!」」」」

[チカラ]の効果が発動した対象は突然意識を失い、急降下を始めた。

わたしのほうも[チカラ]の[代償]で全身の力が抜け、飛ぶための制御を失った。
そしてそのまま勢いを失い、[イベルダル]と同じように地面に引き寄せられ始めた。

ラテ「ライトさん、大丈夫ですか!?」
ライト「うん……。 一時的に体の力が抜けてるだけだから……大丈夫だよ……。」
シルク「[チカラ]の[代償]で1時間ぐらい動けなくなるらしいのよ」

……シルク、受け止めてくれてありがとね……。

悪タイプのイグレクさん……?は無理だったけど、シルクは効果するわたしを[サイコキネンシス]で止めてくれた。

ライト「あと……、半日ぐらい技が使えなくなっちゃうんだけどね……。」

わたしは力なく笑った…。

ベリー「そうなんだ……。 ……でもライトさん? あのポケモンに何したの? …動かなくなっっちゃったけど…?」
ウォルタ「ライトさんの[チカラ]で強制的に心を鎮めた……であってるよね〜?」
ライト「うん……、あってるよ。 ……ただ、うける方にも[代償]があって……、半日………」

???「[ダークホール]!!!

一同「「「!!?」」」

シルク「まだ誰かい……た……n……」

!!!?

何!?

わたしが何とか声をつなげている所に……、ここにいる誰のものでもない怒号が………轟いた……。

するとわたし達の足元に黒い何かが浮かび上がり……、強制的に眠りへと誘わr…………

………誰………な……の………?

@ ( 2014/08/17(日) 17:35 )