13 調査結果
午後 超輝石の洞窟 最深部 Sideシルク
ライト「いってみようよ!!」
ハク・シリウス・ライト「そうやな!」「ですね。」「ええ!」
確かに、直接見たほうがいいわね!
目当てのモノと思われる球体を発見して真っ先に飛んでいったライトに続いて、私達も彼女を追いかけた。
………そういえば、今日のライト、いつも以上に感が冴えてるわね。
一回ならまだしも、一日に二回も誰も解けなかった謎を解いたのよ?
彼女もエスパータイプだけど、そこまで当たることは滅多にないわ!
ハク「!! 凄いやん! こんなに綺麗な石、見たことないよ!」
シリウス「この時代に来る前でも知りませんでしたよ、虹色の石があるなんて。」
シルク「そうね……。 私も初めて見るわ。 私の調査不足かもしれないけど、私の知ってる伝説では一切出てこないから………。」
ライト「…って事は、この石が“秘宝”なんじゃないかな? ……どこかで見たような気がするけど………。」
厳重すぎるくらい仕掛けがあったから、そう言っても過言じゃ………いや、“秘宝”で間違いないわ!!
“閃光”と入れ替わるように現れた球体は、赤、青、黄………と、様々な色に変わりながら光り輝いていた。
その神秘的な球体に私達は圧倒され、誰もが感嘆の声をもらした。
ライトは何か考えているけど………。
ライト「……あっ!! もしかするとその石…、{メガストーン}かもしれないよ!」
ハク・シリウス・シルク「「「{メガストーン}??」」何なん? それ?/{メガストーン}って何ですか?/{メガ進化}できるっていう、あの?」
えっ!?これが!?
初めて見たわ!!
ライト「ええっと、効果がある種族は限られているんだけど、心から信頼できるパートナーと協力すれば一時的に強くなれるんだよ!! …姿まで変わっちゃうから、<一時的な進化>って言ったほうがいいかな?」
噂では聞いたことがあったけど、これがそうなのね?
……でも、何でライトがこのことを知っているのかしら?
でもそれは後で聞いてみたほうがいいわね。
ハク「{一時的な進化}?」
ライト「うん。 知り合いが私の目の前でしてたから、間違いないよ! それに……、確かシリウスさんの[アブソル]ならできると思うよ?」
…と、言いながら、ライトはその彼のほうに振りかえった。
えっ!?シリウスが!?
私とハクも、ライトの言葉でハッと向いた。
シリウス「自分が、ですか!?」
ライト「うん!! 直接その人に聞いたから、絶対にそうだよ!」
彼女はシリウス、私、ハクの順に視線を移した。
広い空間の中に、私達4つの声が反響した。
そのうちの3つには、…今日はこれで何回目か分からないけど
驚きの感情が入り、残りの1につは
自信のが含まれていた。
ライト「あくまでも
可能性、だけどね!」
彼女は溌剌とした様子で言った。
…この後、実際にシリウスが本当にできるか試したかったんだけど………、時間が無くてできなかったのよ…。
何しろ、ここに来た本当の目的は<[超輝石の洞窟]のどこかにある[最深部]を発見>すること……。
結果も報告しないといけないから、ゆっくりしてられないのよ。
…だから…というわけで、手に入れた虹色の石をチームのリーダーであるシリウスがしまって、彼らのバッチで洞窟の迷宮から脱出した。
……忘れてるかもしれないけど、私とライトはあくまで1匹の
同行者にすぎない……。
だから、行動計画に関する決定権はないわ。
…………
夜 ギルドB2F 食堂 Sideハク
シリウス「……と、こんな感じですね。」
今日の結果を淡々と報告し終えたシリウスは、お決まりのセリフで締めくくった。
……なんか今日は驚かされてばかりやったよ…。
ライトちゃん、なんか今日は凄く冴えてて何回も行ったことがあるウチら……、いや、誰も解けなかった謎を解いちゃったからから…かな?
エスーパタイプっていうのもあるけど、シルクに聞いたら<ここまで当たる事は滅多にないわ}って言っとったよ。
……きっと、今日は特に調子が良かったんやね!
それと、{メガストーン}と{メガ進化}………。
これまで22年間生きてきたけど、初めて聞いたよ。
この事はさすがにシルクでも知らんかったみたい……。
…シルクでも知らない事って、あるんやね……。
…で、話に戻ると、手早くフラットさんに報告してライトちゃんが言っとったやつを試してみようかと思ったんやけど……[トレジャータウン]に着いたらもう日が沈んどったからね……。
ギルドも閉まる寸前やったから無理やったんよ。
滑り込みで入ったんやけど…、<せっかくなので今日はここでゆっくりしていってください♪ うちの弟子達も聞きたいでしょうから♪>って、上機嫌で言われたから、断り切れなかったんよ。
……あそこまで嬉しそうに言われると、さすがにね……。
…で、シリウスと相談して、結局泊まることになったってワケ。
フラット「そうですか♪ {光の玉}以上となると、[フラッシュ]ぐらいしかないですね♪」
フレイ「なら、俺たちには絶対に無理っすね。」
リル「そっ……そうですね。 それに、ぼっ…僕達はまだ[ノーマルランク]だから、そこに行くのもむっ…、無理ですけど…。
シャイン「条件付きとなると、私達でも厳しいですわねー!」
そうやな。
制限が付くと、難易度が跳ね上がるもんね!
食卓を囲んでいるウチらは、それぞれに感想をもらしながら皿に盛られた料理に手を伸ばした。
ハク「おまけに[大部屋]やったから、尚更やね。」
シルク「そうね。 技も1つに固定されるとね………。」
シリウス「本当にそうですよ。 …で、これがおそらく[超輝石の洞窟]の“秘宝”です。」
そう言いながら、シリウスは自分の鞄から例のモノを取り出した。
…やっぱり、いつ見ても綺麗な石やなー……。
虹色の石なんて滅多にないから、秘宝にふさわしよ……。
リル「こっ…、これがですか…?」
フレイ「俺、こんなに綺麗な石、初めて見たっすよ!!」
フラット「情報屋の私も見たことがないですよ♪」
あっ、フラットさんも知らんかったんやね?
ライト「実はわたし達の時代にもこの石があって……、{メガストーン}って言うんですよ。」
ギルドメンバー「「「{メガストーン}??」」」
ハク「そういえば、そんな事言っとったね?」
……なんかこの光景、デジャヴやな……。
やっぱり、みんなも知らんかったんやね?
……それもそうやな。
情報ツウで知られとるフラットさんでも知らんかったくらいやもんね。
ライト「うん! ……効果がある種族は限られているんだけど……、シリウスさん、ハクさん? ちょっと手伝ってくれる?」
ハク・シリウス「ふぇっ?
ふふぃふぉ?」「あっ、はい。」
!?
ウチもなの?
ウチから見て机の反対側にいるライトちゃんは、虹色の石をそこに乗せたシリウス…、焼き林檎をほおばっているウチの順番に視線を移して言った。
口の中に入ったまま喋ったから……、ちょっと行儀悪かったけど……。
シリウス「そういえば、自分の種族ならできるって言ってましたね。」
ライト「うん。 ……{メガ進化}するには信頼関係……、[絆]が関係してるんだよ。 パートナーのハクさんなら条件を満たしてるって思ってね!」
[絆]……?
シルク「[絆]が?」
ライト「そうだよ。 …実際にやってみたほうが早いね。 …じゃあ、シリウスさんはその石を強く意識してみて!」
シリウス「これに、ですか? …はい、やってみます。」
……すぐに試すんやね?
シリウスはライトちゃんの言われるままに目を瞑って、意識を集中させた。
ライト「ハクさんはシリウスさんに意識を向けてみて!」
ハク「シリウスを? うん。」
シリウスはやる気みたいやし、ウチも試しにやってみようかな?
減るもんやないし!
ウチも彼女に言われたままに集中し、そのままパートナーに意識を向けた。
フレイ「何が始まるんっすか?」
ライト「とにかく、見てて!」
……………………………。
ギルドメンバー「「「!!? シリウスさん!!?」」」
シルク・ライト「…!? これが!?」「…始まったね。 ハクさん、もう大丈夫だよ。」
……ん?
ライトちゃん?
もういいん?
ウチは彼女の言う通りにゆっくりと目を開k……
ハク「!!? シリウス!? どうしたん!!?」
e……!?
シリウス!!?
目を開けると、そこには見たことがない光景が広がっていた。
何の変化もなかった虹色の石が突然光りはじめ、意識を向けていたシリウスを包み込む……。
光は石と同じ七色に変化し、そのままかたちを変えていった。
……数秒経つと、色が薄れ、光も弱くなっていった…。
ハク「!! シリウス!! 姿が!!」
フラット「ななななっ…、何が起こったのですか!??」
!?
ウソやろ!?
こんな事、あんの!?
シリウス「……!? ハク!? 自分、どうなってます!?」
光がおさまった彼は、いつものシリウスではなかった。
ハク「そのー……ええっと……何というか……。」
ライト「姿、変わったからね。 …これが、{メガ進化}だよ!」
これが……、さっきから言っとる……、{メガ進化}なんやな?
突然のシリウスの変化に、食堂の空気が騒然となった。