その2 可能性
11 ひときわ輝く………(後編)
午後 超輝石の洞窟深層部 奥地 sideシルク

シルク「……さあ、いくわよ!!」

私は自分の鞄から{爆裂の種}を取り出し、超能力で浮かせている金属粉を狙った。
握っている右前脚を振りかぶり、それをふわりと空気中に解き放った……。


…壁画の謎、やっぱり一筋縄ではいかないわね……。
{光}ときたら{光の玉}を連想したけど、ハズレだったぐらいだからね…。

私の案はダメだったけど、ライトのおかげで何とかなりそうね!

ここのダンジョンの名前は{光}に関係している…。
あと、ライトに〈光が弱かったのかもしれないね。 …だからシルク? {光}を強くする事ってできる? そうすれば何か上手くいきそうな気がするんだよ!〉って頼まれて、こうして私が化学を試してみることになったのよ。

シルク「ライト、ハク、シリウス、すぐに目を閉じて!!」

ライト・ハク・シリウス「うん!」「?」「はい!」

私は三人に警告して、我先にと言葉を行動に起こした。

私の注意を聞き取った三人のうち、何をするつもりなのか分かっているライトとシリウスは咄嗟に同じ行動をした。

対して、疑問の輪廻に囚われているハクは頭上に疑問符を浮かべながらも、何とか彼らに続いた。

……この反応は、最悪の場合視力の低下を招くことがあるのよ……。


宙を舞っている起爆剤(爆裂の種)は漂っているマグネシウム(金属粉)に接触し轟音と共に爆発した。

巻き込まれた前者は急激に熱せられ……

シルク以外「「「!!?」」」

空気中のO(酸素)と化合し、それと同時に激しい閃光が放たれた。


……種明かしをすると、これは金属としてのMg(マグネシウム)の性質を利用したのよ。
この金属は酸素とかなり反応しやすくて、それ故に熱せられるだけにとどまらないの…。

…その結果が、この〈激しい光を発しながら酸素と化合する〉反応なのよ。

これは、写真撮影でまだ発光機が無かった時代に利用されていたそうよ。

……こんな感じかしら?


たぶん目を瞑っている合計4匹のうち、私以外の3匹は眩い閃光の中で驚きの声をあげた。

迂闊に目も開けられないほどのそれは、数秒発光した後にまるで壁画に吸い込まれるようにおさまっていった……。

ライト「………おさまった?」
ハク「…そうみたいやね…。 …にしても凄かったね。」
シリウス「{光の玉}の光は遠く及びませんね。」

確かに、そうね…。

反応が終わって、私達は三者三……、いや、四者四様に感想をもらした。

シルク「それとこれは原理が少し……」

〈違うのよ!〉

私がそう言いかけたその時、


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………。

シルク「ちが…!!?」
ライト「何!!?」
ハク「何が起きとんの!!?」

私達がいるエリアに地響きと共にけたたましい轟音が轟き(とどろき)はじめた。

…何!?
何が起きたの!!?

突然の出来事に、私たちは訳が分からず騒然となった。

シリウス「!! ハク、シルク、ライトさん!! 壁画が!!」
シルク「壁画………? 壁画が……えっ!!?」
ハク「!? 嘘やろ!!?」

壁画?
シリウス? 壁画がどうかしたの……?

私は彼に言われるままに壁の絵画に目を向け………!!?
嘘でしょ!!?

私は目の前の光景に素っ頓狂な声をあげた。

その光景はというと………、

ライト「画が二つに分かれてる!!?」

丁度画の真ん中から一直線に割け、自動扉のように脇に移動した。

……まさか、この絵画が?

…もしかして、これが入口を閉ざしていたってこと?


石造りの自動扉が開いたその先には、また新たな道が続いていた。

シルク「それに、また道が続いているわよ!!」
シリウス「…って事は、成功……ですか?」
ハク「謎が解けたワケやし、きっとそうやね!!」
ライト「うん、絶対にそうだよ!!」

ええ、間違いないわ!!
ライト、お手柄よ!!

ライトの閃きによって、そのlight()の謎が解き明かされた。


………


数分後 Sideハク

シルク「…ごめん、待たせたわね。」
ハク「ううん、気にしやんといて!」

調査結果をまとめてペンを置いたシルクに、ウチは{まとめるのは大切やからね!}って付け加えて笑顔で答えた。

それに、シルクが情報を纏めている間にウチらも荷物を整理出来たからむしろ良かったんよ!


……あっ!
こうやって話すのは久しぶりやから、一応挨拶しないといけやんね!

ウチは[ハクリュウ]のハク。
歳は22。これでも“明星”のリーダーをしとるんよ!

…さすがに、〜交錯〜を読んでくれた人は知っとるよね?

……知らない人のために、改めて……。

まず、ウチが使える技は[10万ボルト]、[アクアテール]、[竜の舞]、[逆鱗]……。 去年と全く同じ4つやよ!
技を変えてないのはウチのパートナーで[アブソル]のシリウスも同じなんよ。
彼は[影分身]、[悪の波動]、[捨て身タックル]、[鎌鼬(かまいたち)]の4つ。
彼より[影分身]を上手く使える人は見たことないよ!
ウチと出逢う前から上手かったから、きっとこの時代に来る前からの戦略かもしれやんね!

……ん? <この時代に来る前>っていう言葉の意味が分からない?

…実は、ほんの一部の人しか知らないんやけど、彼はシルクとライトちゃんと一緒で[過去]のポケモンなんよ。
シルク達が帰った後に聞いた話なんやけど、シリウスは向こうの時代では他に二匹の仲間と一人の人間と貿易関係の仕事をしてたんだって。

……と、ウチらの事はこのくらいにして、そろそろ話に戻らんとね!

書き込んでいたノートをしまったウチの親友は開かれた入口、そしてウチらを順に見据えて……、

シルク「…さあ、ここからは未知の領域。 気を引き締めて行きましょ!」

まるで自分に言い聞かせるように気合を入れた。

シルク、当たり前やろ?

ライト「うん!」
シリウス「もちろんです!」
ハク「シルクも、気を抜かんようにね!」
シルク「もちろんよ!」

さあ、準備もできたことやし、いこっか!

ウチらは決意を新たに未開の地へと足を踏み入れた。

……あっ!
ウチには踏み出す足は無かったね。


………

数分後 超輝石の洞窟 最深部 sideシルク

ハク「!! 嘘やろ!!?」

ライトのおかげで発見できた未開のダンジョンに突入すると、私たちの目の前にはとんでもない光景が広がっていた。

ライト「敵、多すぎない!?」
シルク「まさか、[モンスターハウス」!?」

まるで私達を囲うように[オベーム]や[メレシー]……、様々な種族が大勢で部外者の訪問を逆の意味で歓迎する……。

[10万ボルト]で一層しようかと考えたけど、それは無理そうね…。
なぜなら、{避雷針}を特性として持つ[サイドン]がいるから、使っても無効化される。
おまけに、[ハガネール]をはじめとした鋼タイプや悪タイプを持つ[ミカルゲ]までいる始末……。

……最悪な状況だわ…。

予想外の展開に、私たちの誰もが驚きの声をあげた。

シリウス「いや、見たところただの[モンスターハウス]ではありませんよ!!」
ライト「えっ!? それってどういう事!?」

……言い忘れたけど、私たちにとって悪い情報がもう一つ…。

シリウス「ここは[大部屋]と分類されるエリアで、来ると必ず[モンスターハウス]になるんです! おまけに、ここを脱出するまで戦闘が続くんです。 最悪なエリアと言っても過言ではありません!!」

〈壁は無いんじゃないの?>て思うほど果てしなく続く空間……。
本当に、果てしないわ…。

ハク「やから、一刻も早くこの状況を突破しやんと!…」
A「[ロックブラスト]!!」
ハク「…! [アクアテール]!!」
ライト・シリウス「「[竜/悪の波動]!!」」

でないと、エネルギーが保たないわ!!

どこからともなく放たれた岩石に、ハクは水を纏った尻尾で迎え撃った。
ライトとシリウスも彼女に続いて、それぞれ暗青色と黒の波を放出した。

みんな実力者とはいえ、この状況はマズいわね……。

…なら、私は……、

シルク「[絆]により………、我らを護り給へ………。」

自らの守備を捨てて、[絆の加護]で仲間を守る!!

私は瞬時に自分の特性を入れ替えて、味方3匹に強固な守りを与えた。
それと同時に、私の守備力は0となり、瞳の色も白から水色に変色した。

シルク「[目覚めるパワー」!!」
ライト「[ミストボール」!!……あれ!?技が発動しない!? 何で!?」
シリウス「[影分身]! …!? 自分もです!!」
ハク「嘘やろ!!? さっき回復したばかりやのに!?」

えっ!?技が出ないですって!?
ここに入ってからまだ全然時間が経ってないのに!?

突如訪れた異変に、ハクとライト、シリウスまでも声を荒げた。

シルク「そのはずよ!! {爆睡玉}!」

敵「「「!!?」」」

シルク「[サイコキネンシス]!……ダメだわ……。私も出来ないみたい……。」

!!? 私も!?

大事をとって道具を使って相手を眠らせてから試したけど……、何で!?

ハク「もしかして、ここって[ゼロの島]みたいな条件付きダンジョンなんとちゃうかな?」
シルク「どうやら、そのようね。」

条件付きダンジョン……。

……まさに、{泣きっ面にスピアー}ね………。

シリウス「でしたら、一刻も早く突破しないと!!」
ライト「でも、どうやって!?」
シルク「私に考えがあるわ。」

シルク以外「「「<考え>?」」」

ええ!!

私の自信満々の言葉に、三人とも頭上に疑問符を浮かべた。

一方の私は、徐に8つの種と1つの不思議玉を取り出した。

シルク「ええ! 私がこの不思議玉……{焼炎玉}を発動させたらこの種を二つとも食べて!! ……とにかく、時間がないから急いで!! 説明は後でするから!!」

言葉を強めて、ほぼ叫ぶような形で伝えた。

ライト「えっ…、でも……」
シルク《急いで!!「》{焼炎玉}!!」

兎に角……、速く!!

私は有無を言わさず、その自作の道具を発動させた。
すると、私たちを囲うように高温の炎が燃え上がり、巻き込まれた敵ポケモンは火傷状態となった。

それと同時に、私は彼女たちに手本を見せるかのように同じく自作の{音速の種}を口に放り込んだ。

ハク「シルク、食べたで。」
シルク「なら、一回しか言わないからよく聞いて! 少し経ったら炎が収まるから、使える技で敵を蹴散らして一気に進むわよ!!」
シリウス「…つまり、強行突破するんですね?」
ライト「わたしなら[竜の波動]かな? …うん! 分かったよ!!」

説明を大分端折ったけど、何とか伝わったようね。

簡単な説明を聞いたみんなはこくりと頷いた。

シルク「………なら、いくわよ!!」

ライト・ハク・シリウス「「うん!!」」「はい!!」」

時間がないから、急ぐわよ!!

そうこうしている間に燃え盛る炎は収まり、私たちは一気に駆け出した。


@ ( 2014/04/27(日) 15:33 )