09 ひときわ輝く………(前編)
昼 カフェ sideシルク
ハク「…そうなんやね?」
シリウス「はい!」
…あの後、ハクが落ち着いてからもう一度町に行って挨拶ついでにショッピングを楽しんできたわ!
もちろん、ライトは姿を戻してだけどね。
シリウスはギルドに用事があったみたいで一緒じゃなかったんだけど、三匹で雑貨店を巡ってきたのよ。
この時代では初めてのライトも、楽しんでくれたみたいで、{どの時代でもやっぱり同じなんだね! わたし、こうしてゆっくり買い物するのは久しぶりだから凄く楽しかったよ!}って言って喜んでくれたわ!
……私まで嬉しくなったわ!
そして何より、最初は驚いていたハクも、{ライトちゃんとは何か仲良くなれそうやわー!}って言ってライトと馴染んでくれた事ね!
ふたりとも明るい性格で同じドラゴンタイプだから、どこか分かり合える所があるのかもしれないわね。
……そんな感じで雑談に華を咲かせながらシリウスと合流して、今に至るてワケ。
シリウスは注文した定食を受け取りながら答えた。
シルク「[超輝石の洞窟]って確か……、古代の秘宝が隠されているっていう洞窟よね?」
ライト「{古代の秘宝}かー。 何かロマンがあるよね!」
ハク「…まさに探検の醍醐味やね! シルク、そうやよ! [水晶の洞窟]の近くにある、シルバーレベルのダンジョンやよ。」
…確か、浅層部がシルバーで、深層部はゴールドだったわね?
私は以前来た時の知識をさぐった。
…シリウスの様子だと、あってるようね?
{そうですよ。}っていう感じで頷いていたから、間違いは無さそうね。
ライトはというと、{秘宝}という言葉に目を輝かせているわ。
…誰でも、そうなるわよね?
宝探しって、♀の私でもテンションがあがるもの…。
シリウスでも声のトーンがあがっているくらいだわ!
シリウス「フラットさんから直々の依頼なんです。 深層のどこかにあると言われている[最深部]の調査です。 行くのは自分達二匹だけなので……、シルクとライトさんもどうですか?」
流石、ダイヤモンドランクね!
ギルド直接の依頼なんて、並のチームでは請けられないわ!
シルク「いいわね! ライト、特訓にもなるから、どうかしら?」
確かに、ピッタリね!
私はもちろん、大きく頷いて、笑顔で答えたわ!
ライト「いいよ! ハクさん達の戦いが見れるし、わたし達も特訓できるもんね!」
ハク「……なら、決まりやね!」
シルク・ライト・シリウス「ええ!」「うん!」「はい!」
そうね!
あっという間に決まって、私たちは揃って大きく頷いた。
…そうと決まったら、時間がある今日中に準備しておかないといけないわね!
……と、いうわけで、ランチタイムはこの辺でお開きにして、準備のために町へと繰り出したわ。
ある程度レベルが高いから、念入りにね!
…………
翌日 交差点 sideライト
ハク「……みんな揃ったね?」
ライト「うん!」
ハクさん、ちゃんと全員いるよ!
わたしは弾けんばかりの笑顔で言うハクさんに、同じように笑いかけた。
あの後、みんなとは一度分かれて買い物に出かけたんだけど……、わたしはまだダンジョンには一回しか行ったことがないからね、何を買えばいいか分からなかったんだよね……。
…で、途中でシルクを見つけたから結局一緒に連れてってもらった…。
その時に全部教えてもらったからもう大丈夫だよ!
それからは、シルクに{ちょっと私につきあってくれるかしら?}って頼まれて海岸へ……。
初めは何をするつもりなのかわからなかったんだけど……、……うーん、何ていうか…、とにかく凄かったんだよ!
[化学]……なのかな?
次々に道具と道具……、それから何かの液体を反応させて新しいモノを作ってた。
…そういえば、シルクって化学者だったっけ?
実験とかしている所をあまり見たことがないから、すっかり忘れてたよ。
シルクの実験に見とれていたら、いつの間にか夕方になってて慌てて戻って夕食……って感じかな?
…うん、昨日の事を大雑把に言うとこんな感じだよ。
シルク「フラットさんにも伝えてきたから完璧よ!」
シリウス「自分も大丈夫です。」
ハク「OK! …じゃあ、行こっか!」
{うん!}
もちろんだよ!!
……ここだけの話だけど、実は昨日、探検が楽しみで眠れなかったんだよね…。
18になってもこんな感じだから、わたしもまだ子供だなぁー。
…でも、そうは言ってられないよね?
だって、ダンジョンに入ったら自分の身は自分で守らないといけないでしょ?
だから、しっかりしないとね!!
決意を新たにして、準備が出来たわたし達は目的地を目指して旅に出た。
…………
数時間後 超輝石の洞窟入口 sideシルク
ライト「…へぇー。 ここがそうなんだー。」
ハク「そうやよ! ここが、昨日言ったダンジョン…、[超輝石の洞窟]の入り口やで!」
シリウス「シルクは初めてでしたよね?」
シルク「ええ。」
噂通り、普通そうな洞窟ね。
[トレジャータウン]から歩いて……あるいはゆっくり飛んで数時間、陽の光が輝きを増してきた頃に、私達はその洞窟の前にたどり着いた。
空を見上げると、白い雲が穏やかな風に吹かれて青い空を
流離い、気ままに旅を続けている……。
視線を正面に戻すと、土色の岩肌に黒い闇が口を開け、まるで私達を引き込むかのように佇んでいる……。
シルク「噂を聞いた時はそれどころじゃなったからね…。」
ハク「そやね。 あの時は本当に余裕が無かったからね…。 ………さっ、感傷に浸るのはこのくらいにして、突入しよっか?」
そうね。
ここは最低でも二層に分かれているダンジョン……。
浅層部難易度はシルバー……、{一般的な探検隊}レベル。
深層部はゴールド…、{中堅チーム}レベル。
でも、侮ってはいけないわ。
敵ポケモンは弱いけどエリアが物凄く広いってことも考えられるもの……、時間でも気を抜くのは命取りになるわ!
……だから、早いうちに行きましょ!
シリウス「そうですね。」
ライト「…何のことかは分からないけど、そうだね。」
シルク「ええ!もちろんよ!!」
ちょっと脱線したけど、最初からそのつもりよ!
私達は円陣(?)を組んで……
ハク「じゃあ、いくよ!」
シルク「ええ!」
シリウス「はい!」
ライト「うん! それから、[最深部]を見つけようね!」
ハク「今回の目的はそれやもんね!」
シリウス「{重要な依頼}という事も忘れないようにですね。」
シルク「もちろんよ! フラットさん直々なんて滅多にないもの、当然よ!」
それぞれに喝を入れた。
………さあ、行くわよ!!
そして、私達は洞窟の迷宮へと足を踏み入れた。