その1 再会
02 新入り
夜 食堂 sideシルク

フラット「……遅くなったが、晩ご飯にするぞ♪」

いただきます!

……いつもはラックさんなんだけど、今日はいないからフラットさんね?

ひとまず話を切り上げた私達は、フラットさんの号令で一斉に食べ始めた。

……いつもは7にんだけど、こうして大勢で食べるのもいいわね!

ライト「……? 美味しい……。」
シルク「でしょ? このギルドの料理は巷で有名なのよ!」

それから、長机に盛大に盛りつけられている料理の数々……。

木の実だけで作られているとは思えない程のメニューのバリエーション……。

きっと、センターの料理に匹敵するかもしれないわね。

ライトも気に入ってくれたみたいで、一口食べてから、流れるように口へと運び始めた。

フラット「そういえばシルクさん? フライさんは一緒じゃなかったのですか♪?」

フライ?

フラットさんは目の前に盛りつけられている[オレンの実]の料理を啄みながら、私に訊いてきた。

シルク「フライは残念ながら都合がつかなかったのよ……。 彼も{行きたい}って言ってたんだけど、別件で外せない用事があったらしいのよ。 ……フラットさん? 私からもいいかしら?」

……それが、残念ね。

……でも、私も気になる事が有るのよ。

それは……、

フラット「"悠久の風"の2人ですね♪ 2人は………」
シルク「いいえ、ラテ君とベリーちゃんの事はシードさんから直接聴いてるから知ってるわ。」

前に私達の時代に遊びに来てくれたラテ君やベリーちゃん……じゃなくて、

シルク「私が訊きたいのは…、私達がいた頃にはいなかった[リオル]のあの子と、[ヒノヤコマ]のあの子……。」

この二匹は居なかったわ。

……何となくは想像できるけど、知らないわ。

私はここに来てから気になっている、居辛そうに黙々と食べている彼らの事を伺った。

ヒノヤコマ「? 俺達の事っすか?」
シルク「ええ。 あなた達ははじめましてね。」

……彼、元気いいわね!

[ヒノヤコマ]の彼は{待ってました!}と言わんばかりにパッと明るくなって言ったわ。

見た感じ、活発そうね?

ヒノヤコマ「そうっすね! 俺は[ヒノヤコマ]のフレイ。 ……で、この小心者は俺の親友のリル。 コレでもチーム"焔拳"のリーダーだ。」
リル「ちょ、ちょっと、{小心者}は酷くない? …確かに…」
フレイ「確かにちょっと言い過ぎたな。 でも人見知りが激しいのは事実だろ? ギルドに弟子入りする時もお前の希望だったはずなのに、ずっとモジモジしてちっとも進まなかっただろう?」
リル「だっ、だから、……。 たっ、確かにそうだけど…。」

………全く正反対ね……、性格が……。

[ヒノヤコマ]の彼……、フレイ君は矢継ぎ早に言葉を連ねてる……。

……商店のシスさんとトランスさんといい勝負ね。

一方の[リオル]の彼……、リル君は、フレイ君に赤裸々に暴露されて顔を赤らめている……。

シャイなのね?

ライト「……でも、それはそれでいいんじゃない? [個性]とか[性格]は簡単には変えられないし! ねっ!」

私が話している間、シャインさんと話していたライトがにっこりと笑いながら言った。

……いつから聞いてたかしら…?

リル「ライトさんは……優しいんですね……。」
フレイ「シードさんもそうだけど、伝説の種族って誰もが堅苦しくないんっすね! ……ところで、俺達もシルクさんの事を知らないんだけど、教えてもらってもいいっすか?」
シルク「ええ、構わないわよ! ……でも、部屋に戻ってからね。」

気持ちはわかるけど、後でいいかしら?

何しろ、夕食の後片付けがあるし、私達も色々と手続きを済まさないといけないからね!

リル「はっ、はい!」
ライト「じゃあ、その時にね!」

……その時についでだからライトへの説明をしようかしら?

……その方がいいわね。

今夜の予定も決まったところで、私達は食卓の席をたった。


………

数十分後 親方部屋 sideシルク

フラット「……と、これで完了です♪」
シルク「…じゃあ、今回もよろしくお願いしますわね。」
フラット「こちらこそ♪ ライトさんも、ここを我が家だと思ってゆっくりしていってください♪」
ライト「そうさせてもらいます!」

慣れた手つきで筆を動かしていたフラットさんは、それをポンと置いて言ったわ。

フラットさんの字は上手いらしくて、ギルドでは評判みたいなのよ。

……私は読めないけど……。

知っての通り、この時代で使われているのは{足形文字}。

{かな文字}でも{漢字}でもないから無理なのよ……。

……時代のギャップね。


ええっと、文字の事は置いといて……、私とライトはフラットさんの厚意に感謝しつつ、お願いの意味を込めて軽く頭を下げた。

……ちなみに、ここまでにライトには{探検隊}についで説明しておいたわ。

シルク「フラットさん? ラテ君やハク達がどこを拠点に活動してるのか教えてもらってもいいかしら?」
ライト「ええっと、さっき話してたひとの事だよね?」
シルク「ええ、そうよ。」

ライトにとって、ライトとベリーちゃん、ウォルタ君は厳密に言えば弟弟子(おとうとでし)になるわね。

……私は[弟子]じゃなくて、対等な立場として見てるけど……。

私、主従関係とか上下関係で結ばれるのは好きじゃないのよ……。

フラット「確か"悠久の風"とウォルタ君は一昨日から[吹雪の島]の調査に行ってるはずです♪ "明星"のお二人は親方様と昨日から[理想の峠]に行ってます♪」

[理想の峠]?

……知らないわね……。

ライト「どういうところなんですか?」
シルク「私も知らないわ。」

フラットさん、教えてもらってもいいかしら?

フラット「[吹雪の島]は一言で言うと、極寒の大地です♪ [理想の峠]はまだ発見されたばかりでまだまだ謎が多い場所なんです。」
シルク「つまり、どっちも未開の地への調査って事ね?」
フラット「そういう事です♪」

なるほどね…。

フラットさんは嬉しそうに言った。

……後から聞いた話だけど、最近はハク達はラックさんと各地に調査に行くことか多いらしいわ。

その成果も良いらしくて、連盟の方から近々表彰されるそうよ。

ラテ君達はラテ君達で、ダイヤモンドランクまで上がって、{救助の達人}っていう異名があるらしいわ。

……ラテ君達、成長したわね……。

私にはいないけど、[親心]っていうのはこういう気持ちの事をいうのかしら?

親がいない私には……

???「失礼します。」

……?

誰かしら?

三匹で話しているところに、誰かが入ってきた。

フラット「リル、来たな?」
リル「はっ、はい。 僕達に何か、伝える事があるんですか?」

扉を開けて入ってきたのは、オドオドとした[リオル]のリル君。

見るからに緊張してるわね。

ライト「あれ? フレイ君は?」
シルク「そういえば、いないわね。」

確かに、姿が見当たらないわね…。

リル君とチームを組んでるって言ってたけど……。

リル「ふ、フレイは先に部屋に戻って……。」
フラット「はぁ………、またか……。フレイは極度に夜に弱いからな……。」

……もしかして、完全な朝型?

……でも、時間的にまだ寝るには早すぎるわよ?

いくらなんでも……、極端すぎる気が……。

フラット「……まあいい。 では、本題に入るぞ♪ 明日、[林檎の森]まで食糧の調達に行ってきてくれ♪」
リル「えっ!? でっ、でも、そこってブロンズレベルですよね? 僕達、まだノーマルランクですよ?」
シルク「確かに、ノーマルランクではちょっと無理があるかもしれないわ。」

フラットさんは何か考えがあって言ってるのかもしれないけど、私は無謀だと思うわ。

フラット「もちろん、お前達だけとは言わない。 ……シルクさん、ライトさん♪ 付き添ってもらってもいいですか♪」

シルク・ライト「「えっ!?」」

!?

フラットさんの突然の言葉に、私とライトの声がハモった。

リル「でっ、でも、シルクさん達って一般人ですよね!?危け……」
フラット「いいや、シルクさん達だからこそできる事だ。 シルクさんは"悠久の風"の師匠……、親方様以上の実力の持ち主だ♪」
リル「先輩の!? そっ、それも、"悠久の風"って……。」
フラット「そうだ、うちのギルドの出身のだ♪ ……シルクさん、ライトさん、急で申し訳ないですが、よろしいですか?」

……確かに、急ね……。

心の準備が出来てなかったからびっくりしたわ…。

……でも、

シルク「ええ、喜んで請けさせてもらうわ! ライトも、いいわよね?」

もちろん、私は行くわ!

技の特訓っていうのもあるけど、何よりもリル君とフレイ君と[絆]を深められるいい機会………。

これからしばらく一緒だから、欠かせないわ!

私は大きく頷いて、隣で浮遊しているライトに視線を送った。

ライト「リル君達の事をもっと知りたいから、いいですよ!」

ライトも、賛成のようね?

彼女も、肯定の意味を込めて頷いた。

フラット「良かった♪ ……では、お願いします♪」

シルク・ライト「ええ!」「はい!」

私達は、また大きく頷いた。

……さっそく明日から楽しくなりそうね。

@ ( 2014/03/24(月) 02:18 )