[アンケート結果発表中]絆の軌跡 〜繋がりの導き〜























小説トップ
第4章 十五夜に眺む山麓
20 LS ヒカリ
昼前 お月見山出口付近 sideライト

テトラ〈ティル!?〉
ライト「この光は、もしかして……。」

ティルが力を振り絞って立ち上がったその瞬間、彼激しい光に包まれた。

これは………、絶対に進化の兆候だよ!

彼の変化を目の当たりにして、わたしは確信した。

ガンマ「何っ!? 進化か!?」

もちろん、相手も驚きを隠せない……。

……やがて、それは大きくかたちを変えていく………。

………そして、あるところで変化は止まり、包み込んでいた光も雲散する……。

そこには、ボロボロだけど少し逞しくなった彼………、種族、わからないけど、二足で立ったポケモンがそこにいた。

ティル〈……よし……。この姿なら……、いける!!テトラ……!ライト……!〉
ライト「……えっ!?あっ……うん!…」

進化して少し低くなった彼の声で、わたしは我に返った。

ティルの体力はあまり残ってないはずだから…………、

ライト「ティルは距離をとりながら[火の粉]、テトラは[スピードスター]から[電光石火]。ティルをサポートして!!」

[猛火]が発動している!

ティル〈うん……[火の粉]!〉
テトラ〈[スピードスター]!! ティル、あとは私が何とかするから!〉
ティル〈………頼んだよ。〉

ティルは斜めに移動しながら火片を放出し、テトラは威勢良く流星を放つ。

ティルは歯を食いしばりながら、何とか後退する……。

ラッタ・マンキー〈〈!?〉〉

当然、油断していた相手に命中する。

ガンマ・テトラ「!? しまった!!」〈ティルには、触れさせないよ!![電光石火]!!〉

ストーカーが気づいた時には、既に両者に火と星が命中していた。

………あの様子だと、相手はあまり保ちそうにないね。

若干ふらついてるし……。

テトラは、ティルが後ろに下がったのを確認すると、風の如く駆け抜けた。

標的を見据え、脚に力を込める……。

マンキー〈……!?俺!?っ!〉
テトラ〈どう? 格闘タイプが[電光石火]をまともに受ける感想は?〉
マンキー〈………ノーマル…………タイプ……なのに……。〉
テトラ〈さあ? 何でだろうね?〉

勝ち誇ったように言い放つテトラに対して、疑問に捕らわれながらマンキーは崩れ落ちた。

ガンマ「!?クソっ!」
ライト《追撃して!! ティルは[尻尾をふる]で守りを下げて!!》
ティル〈うん………。そうさせてもらうよ………。〉

ティルには申し訳ないけど、もう少し頑張って、サポートにまわってもらわないと………。

……体力が限界とはいえ、[ニトロチャージ]の追加効果で素早さが上がってるから行動が速いね。

テトラ〈任せて!! [電光石火]!!〉

テトラは速度を緩めず、慌てふためいているラッタめがけて走りだした。

ラッタ・ガンマ〈っ…………! ………嘘………だろ………?〉「[電光せ………]………。」

ガンマは反応が遅れ、指示をし損ねた。

それが仇となって、ラッタも倒れた。

………あとは、多分[グラエナ]だけ。

ガンマ「………手駒はあとあいつだけか………。[グラエナ]!!」
グラエナ〈……………。〉

やっぱり………。

グラエナは神妙な様子でボールから飛びだした。

……何か考えこんでいるみたいだけど…。

ガンマ「奴の駒は無視して直接[ラティアス]を捕まえろ!!」

グラエナ・ライト・シルク〈……!? ………やっぱり………、俺の想いは無駄だったのか……。〉「また!?」〈……相変わらず、卑劣な男ね!![絆]の名において、許せないわ!!〉

ガンマは、トレーナーとして有り得ない指示をだした。

シルクは、彼の態度に頭にきたのか、怒りを顕わにしてまえに躍り出た。

グラエナ・シルク〈…………変わる事を期待した俺が馬鹿だった………。〉〈{[絆]により…………}……〉

……でも、グラエナは何故か動かない……。



ガンマ・シルク「ちっ。 お前も堕ちたな……。俺に刃向かわず、とっとと働け!!」〈{我らを…………}……!?〉

グラエナ〈!!?〉

!?

何て酷い事を………。

まるで、ポケモンを[道具]としてしか見てないような言い方………。

ショウタ・コロナ〈ポケモンの僕が言うのもあれだけど……、この人、本当にトレーナーなの…?〉〈………嘘でしょ?……トレーナーからこんな言葉が出るなんて………。〉

[チカラ]を発動させるために集中していたシルクでさえ、とんでもないフレーズに絶句した。

…………ただ一匹を除いて……。

グラエナ〈!!? ………大切なパートナーだから素直に従ってきたが、もう我慢できん!!俺の言葉は伝わらないか、一匹の[グラエナ]………、[ラグナ]として言わせてもらう!![カトル]!! お前はトレーナー失格だ!! 流石に俺でも愛想が尽きた!!これからはお前を敵とみなす!!

溜まっていたものが爆発したのか、呆れと怒りに満ち溢れたグラエナ………、[ラグナ]が涙ながらに怒鳴った。

ガンマ「大人しく……」
ラグナ〈……[悪の波動]………!………あの時までは……、こんな奴じゃなかったのに………。〉
ガンマ「………!!?」

えっ!?

辺りは、あまりの光景に騒然とした。

ラグナは決心したかのようにガンマの方に向きを換え、暗黒の波動を彼に向けて放出した。

………[諦め]と、[失望]、[拒絶]の意を乗せて…………。

……初めて襲われた時からいたポケモンだったけど、パートナーだったんだ……。

だったら、相当辛いはず………。

ガンマ「……!?お前……」
ラグナ〈黙れ!!もう[ラティアス]………ライトには近づくな!!………そして、もう二度と俺の前に姿を見せるな!! [突進]!!〉

ラグナの瞳から、大量の[ヒカリ]が流れ落ちた。

ラグナはパートナーに思いっきり突撃した。

ガンマ「……っ!!」
ラグナ〈[噛み砕く]!!〉

倒れた彼の腰の辺り……、ちょうど[モンスターボール]がセットされている一点を噛み砕いた。

さっきの一撃で、ガンマは気を失った。

ライト「…………一体………」
ラグナ〈……これで良かったんだ…………。………だから、なにも言うな………。………良かったんだ………。良かったんだ……………。〉

ラグナは、まるで自分に言い聞かせるように、そして悲しそうに呟いた………。

テトラ〈………でも、それって………。〉
ラグナ〈………俺の、ボールだ……。〉

…………ラグナは、自分自身のボールを、自らの手? いや、牙で破壊した。

ティル〈……どうして………〉
ラグナ〈聞きたい事は分かってる……。………しばらく、心の整理をさせてくれ………。……訳は、それから話す………。〉


……………うん。

…そうするよ……。

何か理由(わけ)ありみたいだから………。

去年のラグナを知ってるから………。

………そういえば、ティルと旅立った日も、前とは様子が違ってた………。

あと、[カトル]って、ガンマの本名なのかな………?

…………すぐにでも聞きたいけど、待たないと……………。

@ ( 2013/12/23(月) 01:56 )