11 L 岩の守り
昼前 ニビシティー南端入口 sideテトラ
テトラ〈えっ?……シルクってライトのメンバーじゃなかったの!?〉
ティル〈あっ、そういえば言ってなかったね?〉
ライトと仲良さそうだったから、私はてっきり………。
………?
………あっ、こうして話すのは初めてかな……?
私は[イーブイ]のテトラ。
………色違いだけど………。
この、銀の毛並みのせいで本当に苦労してきたよ…。
一体何回自分の色を恨んだことか……。
どのポケモンもどうせ同じかと思ったけど、この3匹………、ライトは{匹}っていったらいいのか分からないけど………、彼女達は森のポケモン達とは違う……。
毛の色が違う私を見ても羨んだりしないなんて………初めてだよ……。
シルク〈実は私、別のトレーナーのポケモンなのよ。〉
ライト「その人も凄いけど、シルクを含めてメンバー全員わたしよりも強いんだよ!!……久しぶりに会いたいなー。」
ライトは懐かしそうに呟いた。
………ライト達のおかげで森の外の環境には何とか慣れたけど、やっぱりまだ無理かな………。
……でも、せっかくライトとティル、シルクが私のためにしてくれているから、頑張らないと………。
私を[信頼]してくれてるから、私もその期待に応えないと!
私は改めて気合いを入れた。
ライト「………うん、わかったよ!博物館だね?」
シルク〈ええ。そこで待ってるわ!ジム戦、頑張ってね!〉
ティル〈ライトと出会ってから俺、好調だから楽勝だよ!!テトラも、俺がサポートするから大丈夫だよ!!〉
テトラ〈えっ? うん。 私も頑張るよ。〉
私の知らない間に話が進んでいたらしくて、私は変な声をあげた。
………、緊張してきたよ……。
これまで一方的に攻撃される事しか無かったから、正式なバトルは初めてだから……。
シルク〈テトラちゃん、堅くならなくても大丈夫よ!〉
テトラ〈!?〉
………まさか、私の思ってる事を!?
エスパータイプは相手の心を詠むのが上手いってトリ姉さんが言ってたけど、本当かもしれないよ!
ティル〈楽しめばいいんだよ!!〉
テトラ〈楽しむ……?〉
ライト「うん!」
………楽しめば、いいんだね?
わかったよ!
信じてやってみるよ!
私はにっこりと笑って答えた。
………
ジム sideライト
ライト「ジム戦お願いします!」
わたしはジムに入るや否や、その人に向けて呼びかけた。
今日も、ティルとテトラはボールの中。
正式なバトルだもんね!
???「挑戦だな?」
ライト「あっ、はい。ライトといいます。」
タケシ「ジムリーダーのタケシ…………?だ。」
目、細っ!
あれで本当に見えてるのかな?
タケシさんは何故か不思議そうな顔をしてわたしを見た。
?
………まっ、いっか。
ライト「使用ポケモンは2匹ですか?」
タケシ「その通り。では、始めようか。」
そして、わたしもタケシさんも腰のボールに手をかける。
………さあ、2回目のジム戦、いくよ!!
………
sideテトラ
ライト・タケシ「テトラ、いくよ!!」「[イシツブテ]、出番だ!!」
テトラ・イシツブテ〈ライト! ……!人間……がいるのは当たり前か……。〉〈よし、い……!?〉
私は、勢いよくボールから飛びだした。
………このポケモンは、信頼出来ないね……。
私を見て目の色が変わった……。
タケシ「! 色違いだ……」
ライト「彼女の前でその言葉は許しませんよ!!テトラ、[つぶらな瞳]!」
ライト………、私のために……。
ライトは言葉を強めた。
テトラ〈うん![つぶらな瞳]!〉
ライト、君の期待に応えるよ!!
私相手を真っ直ぐ見つめた。
イシツブテ〈?〉
よし、まずは成功。
相手の攻撃力は下がったね!
タケシ「[転がる]!」
ライト・イシツブテ《[電光石火]でかわして!》〈[転がる]!〉
テトラ〈!? うん!〉
これが、[テレパシー]……!?
ティルから聞いていたけど、本当に頭の中に声が響くんだ……。
相手は丸い身体を行かして私に向けて突撃したきた。
私まで2m……。
テトラ〈[電光石火]!〉
私は技を利用して攻撃をかわした。
ライト《そのままかわして!相手を疲れさせるよ!!》
テトラ〈うん!〉
ライトが信じてくれているから、やるよ!!
………そっか。
[転がる]は暫くの間攻撃しつづける技だっけ?
それに、ポケモンならではの作戦だね?
スタミナをたくさん使うって、人間は知らないもんね!
私は大きく頷いた。
イシツブテ〈[転がる]!〉
テトラ〈………よく見たら、集団で襲われるよりは楽だね。 相手はたった一匹だし。〉
あの時は、軽く10匹は超えてたから……。
……もしかして、あの苦い経験が生かされるかもしれない……。
私は技を使わずに攻撃をかわした。
……案外、楽かも……。
ライト「もしかしてテトラ、軌道を詠んでる……?」
本当に……楽だ…。
イシツブテ〈クソっ、何で当たらない!?〉
テトラ・ライト〈私を珍しそうな目で見たやつなんかには絶対に言わないんだから!!〉「タイミングを見て[スピードスター]!!」
ライト、任せて!
こんな奴に、私の苦労がわかるもんか!!
タケシ「なかなか、素早いね。」
私は攻撃のタイミングを見計らう。
………。
………スピード、落ちてきたね……。
大体2分ぐらい、攻防が続いた。
……よし、今だね!!
テトラ〈[スピードスター]!!〉
イシツブテ〈っく!〉
効果はいまひとつだけど、これは特殊技。
[電光石火]よりは効く!
タケシ「[岩落とし]だ!!」
イシツブテ〈クソっ、これでどうだ![岩落とし]!!〉
流れ、私のほうにきてるよ。
それに、絶対に焦ってる!
テトラ〈あまいね![電光石火]!〉
私は技でかわし、急速に接近した。
そして、
テトラ〈[スピードスター]!!〉
イシツブテ〈っく!〉
タケシ「イシツブテ!!」
黄色い星が相手を襲い、ついに崩れ落ちた。
やった!
初めて自力で倒せた!
これがバトル………?
本当に、楽しいよ!!
こんなに楽しい事がこの世にあったんだ!!
ライト「テトラ、ありがとう!バトルって楽しいでしょ!」
テトラ〈うん!!〉
心の底から楽しんだのって、初めてかも!
タケシ「ご苦労だったな。[[イワーク]、頼んだ!」
イワーク〈任せな。〉
続いて、二匹目………。
大きい………。
ライト「テトラ、一回下がって!」
テトラ〈うん!ティルと交代だね?〉
ライト、作戦だもんね!
私はライトの後ろに下がった。
ライト「ティル、いつも通りいくよ!
ティル〈うん!!〉
ティル、頼んだよ!!
ティルは勢いよく躍り出た。
タケシ「[岩雪崩]!」
イワーク〈俺の攻撃をかわせるかな?〉
ティル〈そっちこそ、その大きな身体で俺のスピードについてこれる?〉
互いに、相手を挑発する。
そして、ティルは走り始めた。
………尻尾が、揺れてる?
……もしかして、[尻尾をふる]?
ライトが指示したのかな?
ティルは身軽に降り注ぐ岩をかわす。
………ティル、凄い。
タケシ・ライト「続けるんだ!」「[遠吠え]!!」
ティル〈うん!!〉
ティルはかわしながら雄叫びをあげた。
タケシ・ティル「[穴を掘る]!!」〈[火の粉]!!〉
イワーク〈[穴を掘る]〉
ライト・ティル「〈!?〉」
相手は急に地中に潜っ……え!?
どこ!?
ライト「ティル!気をつけて!!どこから来るか分からないよ!!」
ティル・タケシ〈う、うん!〉「攻撃の後に[締めつける]だ!」
イワーク〈そこだ!!〉
ティル〈うわっ!………くっ………。〉
ライト・テトラ・イワーク「〈ティル!!〉」〈[締めつける]!〉
ティル〈……………っ!……[火の……粉]………!〉
私は思わず叫んだ。
ティルは何とか力を振り絞り、火片を放出した。
イワーク〈……効かないな……。〉
ティル〈嘘………でしょ………。守備力………下げたのに………。〉
ティルは抵抗も虚しく、崩れ落ちた。
ライト「やっぱり………、相性が悪かった……。ティル、ありがとう。ゆっくり休んでて。」
ティル〈……………うん…………。ごめん…………。〉
ティルは力なく呟き、ボールに収まった。
やられたティルのためにも………頑張らないと!!
テトラ〈ライト!〉
ライト《……うん!「》テトラ、お願い!![つぶらな瞳]!!」
私は地面を思いっきり蹴り、駆けだした。
そして、相性を真っ直ぐ見つめる……。
タケシ「[岩雪崩]!!」
イワーク・ライト〈誰が来ても同じだ!![岩雪崩]!〉《かわして[スピードスター]!!》
テトラ〈うん!!〉
ライトの声が響く……。
……そういえば、ライトってエスパータイプなのかな?
相手の行動の予測が結構当たってるし……。
私は岩の軌道を見切って、
テトラ〈[スピードスター]!!〉
口元にエネルギーをため、一気に放出した。
タケシ「[穴を掘る]!」
テトラ〈!? しまった!?〉
まさか、気を逸らす作戦!?
………って事は、次は[締めつける]?
ライト「テトラ、注意して!!《」次も同じ手で来るはずだよ!!》
テトラ〈ライト、私もそうおもったよ!!〉
なら、全力でかわさ………
タケシ「[叩きつける]だ!!〉
イワーク・テトラ〈これで最後だ!!…〉〈えっ!?後ろ!? くっ!!〉
!?
イワーク〈[叩きつける]!〉
テトラ〈……………っ!!………強い…………。ライト………ごめん………。〉
私の背後をとった……………相手の攻撃が…………、私に………直撃した………。
そして………、瞬く間に………視界が霞み………、私は崩れ落ちた。
………………ごめん…………。
……………無理だった………。