7 LS 再会
夕方前 トキワシティー付近 sideシルク
シルク《大分良くなってきたわね。》
コロナ〈本当に!?〉
ショウタ「って事は、次のジムも……。」
シルク《ええ。きっと大丈夫よ!》
2時間以上にも及ぶ私の個別指導が功を征して、新人トレーナーのショウタ君の判断力と、コロナちゃんの動きが良くなったわ。
……えっ?何で指導しようと思ったのかって?
……ただの[絆]の気まぐれよ!
教えるのか好きってのもあるかもしれないけど、今日は[トキワ]シティーに泊まる予定だったから丁度良かったわ。
私は、彼らの好評をしながら笑顔を振りまいた。
ちなみに、ついでだから彼女の名前を彼に伝えたわ。
コロナ〈シルクさん、今日はありがとうございます!〉
シルク〈こちらこそ、初心に帰れて楽しかったわ!〉
私は一回微笑んで、目的の町を目指して歩きはじめた。
ショウタ「………行っちゃう前に1つ聞いてもいいかな?」
シルク《ん?どうかした?》
突然呼び止められ、私は振りかえった。
ショウタ「君は野生なのにどうしてそんなに強いの?」
実は、私はトレーナーのポケモンだって事を伏せてここまで教えてきたわ。
ジムを巡るつもりって言ってたから、また会える可能性は少ないと思ったのよ。
私達、もうこの地方のリーグは制覇しているから!
だから今私達は何かいい研究テーマがないか個々に行動しているって訳。
シルク《なら、試してみる? 空の[モンスターボール]を出してくれるかしら?》
ショウタ「えっ?うん!」
コロナ〈って事はもしかして、わたし達の仲間に……?〉
私に二つの期待を乗せた視線が向けられた。
……ちょっと、申し訳ないけど………。
ショウタ君は自分の鞄からそれを取りだした。
ショウタ「じゃあ、いくよ!」
そう言い、振りかぶってそれを投げた。
弧を描き、私をめがけて飛来する………。
コツって音がし、ボールの機能が作動……………
せずに弾かれる。
ショウタ・コロナ「〈えっ!?〉」
シルク《ここまで黙ってたけど、こういう事よ。 実は私、3つ星トレーナーのポケモンなのよ。》
期待させちゃったから、申し訳ないわね……。
ショウタ「3つ星の!? 1つとる事でさえ難しいのに!?」
コロナ〈………だから、あんなに強かったんだね……。〉
シルク《そう。………だから、私はこの辺で失礼するわね。……ジム戦、頑張ってね!》
そして、私は負い目を感じながら、逃げるように立ち去った。
……………
トキワシティー ポケモンセンター前 sideシルク
シルク〈……さてと…、センターのソファーを借りれるように頼みに行こうかしら?〉
ちょっと予定より遅れたけど、着いたわね。
日が少し傾いてうっすらと色づき始めたから、4時半ぐらいかしら?
私はセンターの入口の前に歩み寄り、そこをくぐ………
???「ティル、ジムに行こっか!」
ティル〈うん!〉
…ろうとした時、1人の少女と彼女のポケモンとすれ違った。
!!
彼女は、もしかして……!!
私はまさかの出会いに立ち止まり、振りかえった。
彼女も同じ事を思ったらしく、同じ行動をした。
シルク・ライト〈ライト!!久しぶりじゃない!!元気だった!?〉「シルク!!まさかこんなに早く会えるなんて思わなかったよ!!」
やっぱり気のせいじゃなかったわ!!
一年ぶりの再会に、自然と私達の声のトーンがあがった。
シルク〈本当にそうね!!ライトはどうしてこの地方に?〉
ライト「目の色も変えれるようになったし、お兄ちゃんに文字も教えてもらったからわたし、トレーナーになったんだよ!!」
ライト、トレーナーになったのね?
自然と会話が弾む……。
シルク〈言われてみれば、黄色から変わってるわね!〉
ライト「でしょ!? オルトに聞いたんだけど、シルク達はそれぞれで研究テーマを探してるんでしょ?」
シルク〈オルトに会ってたのね?そうよ!〉
そういえばオルト、書類をイッシュのアロエさんに届けに行くって言ってたわね。
って事は、帰る船で会ったのかしら?
………きっとそうね!
ティル〈……ライト?この[エーフィ]とは知り合いなの?〉
私達が盛り上がっている横で、ティルという彼が不思議そうに聞いた。
………確か、[フォッコ]だったかしら?
会うのは初めてだけど……。
ライト「うん![シルク]っていう名前で、わたしにとって友達であって師匠でもある存在かな?」
シルク〈らっ、ライト、師匠は言いすぎよ!〉
私の頬が若干赤くなった。
ティル〈ライトの………?〉
シルク〈主従関係は嫌いだけど、第三者から見るとそうなるわね。私、トレーナーのポケモンなんだけど、ライトとは私の仲間、トレーナーと旅した事があるのよ。………で、ライトはこの町にいるって事はジム戦かしら?〉
ライト「うん!ちょうど今行こうとしてたところなんだよ!!」
ライトは揚々とした様子で言った。
シルク〈そうだったのね? ちなみに、ここのジムは虫タイプよ。〉
彼のタイプなら、きっと簡単に攻略できるわね。
ライト「虫タイプなんだー。ティルとは相性がいいね!」
ティル〈う、うん!そうだな!特訓もしてもらったし、楽勝だよ!!〉
ティル君は自信満々に答えた。
活気があっていいわね!
十分に実力があるライトに教わっているなら、期待できそうね!!
シルク〈ライト?……あなた達の初戦、見せてもらってもいいかしら?〉
私は盛り上がっているライトとティル君に訊ねた。
ライト「えっ?うん!いいよ! ……でもシルク?予定とかは………」
シルク〈今日の予定は全部終わってるから、大丈夫よ!〉
ライトの言葉を遮り、私はとびっきりの笑顔で答えた。
この後暇だから、ついていくわ!!
ライト「そつか!なら、行こ!」
ティル・シルク〈うん!!〉〈ええ!〉
そうね。暗くならないうちに行きましょ!
私達は、宵の空に変わりつつあるジムに向かった。
ライト、ティル君、頑張ってね!!