[アンケート結果発表中]絆の軌跡 〜繋がりの導き〜























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第2章 平和な時が流れる町
10 LS 白銀の悩み
午前 トキワの森 sideシルク

ライト「オルトの言う通り………、凄い事になって る…………。」

私以外の、意識がある誰もが言葉を失った。

………いや、失わない方がおかしいわ。

技の使い方もそうだけど、私はポケモンの常識……使える技の数の点で非常識だからね……。

このバトルだけでも、私が使った技は5つ……、普通は4つのところを……。

おまけに、[エーフィ]が覚えられない[ベノムショック]と[10万ボルト]を使った。

シルク〈ライト!私の事は後で話すから、すぐにこの子の手当てをしてあげて!!〉

私は水色の瞳のままライトに指示をだした。

ライト「えっ!?あっ、うん!」
イーブイ〈に………、人………間……!?〉
ティル〈凄い傷だけど、もう大丈夫だよ!!〉

私の声を聞き、茂みに隠れていたライト達が駆け寄った。

イーブイ〈………どうせ……私が色違いだから………弱ったところを………捕まえるつもり……だったんでしょ!  [スピードスター]!!〉

ライトの姿を見ると、急に警戒し、ふらつきながらも黄色い流れ星を放った。

………これは……無理そうね………。

シルク〈[サイコキネンシス]………! 私達はあなたを捕まえるつもりは無いわ。それに、あなたは……〉
イーブイ〈うるさい!!…〉

不意に撃たれたけど、私は冷静に受けとめた。

………これは、言葉では落ち着かないかもしれないわ………。

イーブイ〈どうせ、……私が他人(ひと)とは違うから、………。みんなそうなんだよ!!〉

彼女は敵意をむき出しにして言い放った。

……このままではキリがないわね……。

イーブイ〈私を助けてくれたのは……感謝するけど………、君も私に対する好奇心からでしょ!!私が特殊だから……〉
シルク〈いいえ、特殊なのはあなただけではないわ。〉

私は彼女の訴えに口を挟み、優しく語りかけた。

彼女………、他人を信用できなくなっているみたいね……。

さっきの状況から推測すると……、日常的にあんな仕打ちを受けていた可能性があるわね……。

お節介かもしれないけど、放っておけないわ!!

シルク〈私の目をよく見て!〉
イーブイ〈……目を見て……何になるの……。〉
シルク〈私の瞳、他の[エーフィ]とは違うでしょ? それに、さっきのバトルを思いだしてみて!私の異常さが分かるはずよ?〉
ティル〈それ、俺も気になるよ。どうして?〉

ティル君も、同じね。

シルク〈私はさっき使ってない[瞑想]を含めて、[サイコキネンシス]、[シャドーボール]、[目覚めるパワー]……、そして、他の[エーフィ]………、いや、常識に反して、5つ目に[10万ボルト]、6つ目に[ベノムショック]………。………それに、私には守備力が無くて、木の実を使っても回復できない………。つまり、私もあなたと同じで、特殊なのよ。〉
イーブイ〈…………確かに、[エーフィ]の瞳は………白なのに……、君は青い………。私以外にも異常なポケモンがいたなんて………。〉

………何とか、冷静さを取り戻したみたいね……。

イーブイ〈………でも、兄さんや姉さんを無理やり捕まえていった人間が………一緒なんて………、絶対に………信じないから!!〉

………私の事は信じてもらえたみたいだけど……。

彼女はまだふらつきながらも、ライトの事を思いっきり睨みつけた。

………心の傷が……相当深いようね……。

ティル〈ならライト? ライトの正体を明かしたら?〉
ライト「……あっ!そっ……」
???〈テトラ!!〉
イーブイ〈……!?………ジル………兄さん………?〉

ライトが言おうとしたその時、遠くから[ジル]と呼ばれた[リーフィア]が駆け寄ってきた。

……兄さんって事は、兄妹かしら?

色は……、普通ね。

ジル〈もう……、あのチンピラ達は何回言っても聞かないんだから……。………?トリ……ではないね……。〉
シルク〈? ……ライト、今のうちに。〉
ライト「……あっ、うん。」



私がどうかしたのかしら?

ジルさんが私を見て呟いた。

ライトは、私の言葉で我に返り、すぐに光を纏った。

収まると、本来の姿である[ラティアス]が姿を現した。

ジル〈倒れている[スピアー]を見ると……、あなた達が助けてくれたんですね?〉
シルク〈えっ……、ええ。〉
テトラ〈別に………助けてもらわなくても良かったのに……。人間………!?じゃない!?〉
ライト〈そう。私、ポケモンだから………とにかく、このままだと聞いてくれそうにないから……、[癒やしの鈴]!〉

………そっか、彼女、[テトラ]っていう名前なのね。

元の姿に戻ったライトを見て、テトラさんは驚きを隠せない様子……。

ライトは天に祈り、辺りに心地いい音色が響いた。

私には効果がないけど、使えるようになったのね?

テトラさんの苦しそうな表情が若干緩んだ。

ライト〈これで、楽になったでしょ?〉
テトラ〈…………。〉

テトラさんはこっくりと頷いた。

ジル〈…回復技ですか……。 ……遅くなったけど、僕の妹を助けてくれてありがとうございます。……[エーフィ]の君は瞳が青いけど……。〉

そう言って、[リーフィア]の彼はぺこりと頭を下げた。

……あっ、そうだったわね!

すっかり忘れてたわ……。

私は目を瞑り、心を鎮める……。

目を開けると、瞳は元の色に戻っていた。

シルク〈紹介が遅れたわね。私は[エーフィ]のシルク。宜しくお願いするわね!〉
ティル〈俺は[フォッコ]のティル。よろしく!〉
ライト〈……で、わたしは[ラティアス]のライト。……とにかく、無事で良かったよ。〉

私は白い瞳で、にっこりと微笑んだ。

テトラ〈………ポケモン……だったんだ……。〉

対して、テトラさんは呆然としているわ……。

ジル〈……ほら、テトラ。強がってないでしっかり挨拶して!〉
テトラ〈………[イーブイ]のテトラ……。さっきは、ありがとう………。〉

テトラさんは、語尾が小さくなりながらも、何とか呟いた。

……やっぱり、まだ警戒されてるのかしら……?

シルク〈いいえ。私は当然の事をしただけよ。〉

疑い深いテトラさんに、私は笑顔で答えた。

ライト〈うん。困ってたら助けるのが普通でしょ?〉
テトラ〈………うん……。〉
ジル〈そうですね。テトラ、優しそうなポケモンだし、信じてもいいんじゃない?〉
テトラ〈ジル兄さん……。〉

テトラさん、心が揺らいでいるかもしれないわね。

……複雑な顔してるし……。

実のお兄さんに言われたからね……。

ライト〈わたし、人間じゃなくてポケモンだし……。〉
テトラ〈…………。〉
シルク〈私はどう思われても構わないわ。……でも物事は捉え方次第でいくらでも変わるわ。テトラさんは[色違い]だって事をマイナスの意味で捉えているのかもしれないけど、[個性]って思えば、いいんじゃないかしら?〉

考え方を変えれば、気持ちも楽になるはずよ?

テトラ〈……[個性]……?〉
シルク〈そうよ。誰にだってコンプレックスはある……。例えば、私なら両親がこの世には存在しない事かしら……?……でも、私はちっとも劣等感を感じてないわ。……最初は劣等感に打ちひしがれていたけど、ある時から考え方を変えたわ。それ以来、凄く楽になったわ。………だから、色違いだって事を個性って思えばどうかしら?………どうするかはあなたの自由だけど……。〉

親がいなくても、色が違っても自分が自分である事には変わりない……。

他人に、自分の容姿、生い立ちを貶される筋合いは無いのだから………。

ティル〈シルクにそんな事が………。〉
テトラ〈………[個性]…………。そっか………。そんな事………、考えた事なかった………。〉

何かを悟ったのか、テトラさんの瞳から一筋の光が流れた。

ジル〈テトラが泣いたところ、初めて見た……。〉
テトラ〈私の色が違うのも、……[個性]って思えばいいんだ………。〉

ここで、テトラさんが初めて笑顔を見せた。

それは輝く太陽よりも暖かく、重量がかなりある[グラードン]よりも重みがあった………。

テトラ〈……シルクさん、何か気持ちが楽になったよ……。兄さん達以外にも信用出来るポケモンがいたんだね……。〉
ジル〈テトラが人前で笑うのって、いつ以来だろう……。〉

………とにかく、想いが晴れて良かったわ!

テトラ〈……ライトさん? その様子だと旅してるんだよね?〉
ライト〈えっ!?うん。してるけど?〉

突然話をふられて、ライトは素っ頓狂な声をあげた。

テトラ〈私を、旅の仲間に入れてくれる?〉
ティル・ライト〈〈!?〉でも、わたしは普段人間の姿でいるし、たくさん会う事になるけどいいの?〉

テトラさん、何かが変わったわね!

出会った当初は別人のように生き生きとしているわ!!

…こっちも嬉しくなるわ!

テトラ〈うん!シルクさんの言う通り、考え方を変えてみようと思って。それに、シルクさんの話を聴いて、他人を信じられない自分を変えたいと思ったの!〉

………どうやら、決意は堅いようね?

ライト〈そっか。……規定では[モンスターボール]に入る事になるけど、いい?〉
テトラ〈うん!〉

テトラちゃんは大きく頷いた。

彼女の決意を聞くと、ライトは光を纏い、姿を変えた。

そして、鞄からそれを探り出し……、

ライト「……じゃあ、いくよ!!」

笑顔で溢れているテトラちゃんに向けて投げた。

コツッて音がして、テトラちゃんは赤い光と共にそれに吸い込まれた。

一回……、二回………、三回揺れ、やがて収まった。

ジル〈シルクさん、ティル君、テトラの事をよろしくお願いします!〉

私はライトとのメンバーじゃないけど……。

ライト・ティル・シルク「〈うん!〉」〈ええ!〉

しばらく一緒だから、そのつもりよ!

………こうして、私達に新たな旅の仲間が加わった。



@ ( 2013/12/07(土) 21:56 )