[アンケート結果発表中]絆の軌跡 〜繋がりの導き〜























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第10章 積歴の栄華
97 L VS炎火の舞(唄)
セキエイ高原 第三の間 Sideライト


ライト「ええっと、確か3人目は…」

予定通りにはいかなかったけど、とりあえず2戦目を突破したわたし達はさっきと同じように係りの人にまた別の部屋へと案内された。広さはこれまでの鋼・氷タイプとあまり変わらない…。天井の照明もまた然り…。でもフィールドの雰囲気は違っていた。部屋の広さ以前に目に入るのが、炎を連想させるような赤や黄色…。そして何より、これまでのステージには無かった五感への干渉。それはそこを訪れた人物を汗だくにさせるのには十分すぎる熱気を放っていた。

…わたしが汗だくなのはさっきの戦いでティルが出してた熱波が暑すぎたからなんだけどね。3人目の四天王は暑さでトレーナー自身の判断力を鈍らせるつもりみたいだけど、このくらいの温度はわたしにとってはあまり効かない…。だってわたしは人間じゃなくて[ラティアス]だもんね。わたしはティルと同じ炎タイプじゃないからさすがに火山の火口は無理だけど、真夏の35℃とか40℃ぐらいなら平気だよ。

一ヶ月前を思い出させるような暑さの部屋に案内されたわたしは、ここまでのメンバーの状況を思い出しながら第三の番人の到来を待つ…。その部屋には、わたしの独り言だけが微かに響いていた。

A「…すまないね。ワシはまだリーグには不馴れでね」

と、そこに部屋の主が奥の扉から一人の老人が杖をついて姿を表した。歳のせいかはわからないけど、坊主頭…、いや完全に髪が無く光輝いた頭の彼は会釈をしながら軽く謝った。

ライト「いいえ、言うほど待ってないですよ。…ええっと、カツラさんってシオンタウンのジムリーダーのおじいちゃんなんですよね?」

彼の言葉にわたしは首を横に振り、大まかな経過時間を簡単に伝えた。それから続けて、カントーでの旅でできた友達の名前を遠回しに提起した。

カツラ「ほぉー。キミがレイが言っておった友人かね?」
ライト「はい!ライトって言います。レイちゃんとは仲良くさせてもらってます」

…あまり仲は良くないみたいだけど、レイちゃんのおじいちゃんが四天王の一人だっていうのは本当だったんだね?
…えっ?四天王なのは毒タイプ使いのキョウさんじゃないのかって?うん、確かに原作では元ジムリーダーのキョウさんだよ?でもそれはもう何年も前の話…。さっきのシブキさんもそうだけど、一人の人がずっとその役にいる訳にはいかないでしょ?それにこれはわたしの推測でしかないけど、キョウさんの任期が終わった時にジムリーダーのよしみで頼んだんじゃないかな?

カツラ「…さぁ、世間話はこのくらいで切り上げようかの」
ライト「そうですね」

いつの間にか、挑戦者のわたしと四天王のカツラさんはジムリーダーのレイちゃんの話で盛り上がっていた。

…初対面で歳もわたしの何倍もあるカツラさんとフツーに話してたのに後で気づいて密かにビックリしてたのはここだけの話だけど。

ライト「カツラさん、孫の友達だからと言って手加減はしないでくださいね!」

そう言いながら、わたしは気持ちをバトルに切り替えて一番手控えるボールを手に取る…。

カツラ「当然じゃ!孫娘の手持ちを全滅させたお主の実力、元グレンジムリーダーとして拝見あせてもらおう!」

彼も年を取っても消えることのない闘志を燃え上がらせて声をあげる。そして開戦の狼煙が上がると同時に第三幕の先発隊を出陣させた。

…カツラさんのメンバーはレイちゃんから聞いてて知ってる…。そうじゃなくても、ここで負けるわけにはいかない!!


――――


Sideラフ


ライト・カツラ「ラフ、練習通りいくよ!」「[ギャロップ]、四天王としての威厳を見せつけるのじゃ!」

ラフ・ギャロップ〈うん!ライ姉、ライ’姉も指示お願いね!〉〈挑戦者の実力を試す…。それが四天王だ〉

ライト≪うん!でもあまり無理しないようにね≫

…うん!まだ進化してあまり経ってないから思うようにいかないと思うけど、頑張るよ!

ジム戦の時とは比べのもにならないくらいの威勢と共に声をあげたライ姉は、昨日の打ち合わせ通りバトル初心者の私を出場させた。私も彼女の期待に応えるように高らかに頷き、戦う相手に目を向けた。その私の宣言を聞いたライ姉は声に出すこと無く私に注意を促し、激励してくれた。
一方の対戦相手も自分のメンバーを出し、声をかける…。それに〈当たり前だ〉とでも言いたそうに声を荒げ、対峙する私に鋭い視線を送った。

ラフ〈結構歳いってるみたいだけど、大丈夫なの?〉
ギャロップ〈その発言、愚問だな〉

…トレーナもそうだけど、ちゃんと戦えるのかな?見た感じ野生だともう引退しててもおかしくない歳…。相手の私の方が心配になってきたよ。

見た目で相手の年齢を判断した私は疑問を乗せてフィールドの空気を僅かに振動させる点。その言葉に相手は堂々とした出で立ちで私の疑問を断ち切った。

ギャロップ・ライト〈身体が動く限りバトルに引退はない!![鬼火]!〉「まずは[コットンガード]!」

ラフ・ライト〈あっ、うん![コットンガード]!〉≪守りを固めながら飛び上がって!≫

…だって最初にステータスを強化するのはバトルの鉄則だもんね!

相手は自分のトレーナから指示を受けとるとすぐに口の中にエネルギーを蓄える…。そしてそれを低い温度の炎に変換し、私めがけて走りながら打ち出してきた。
私は相手に一歩遅れてイメージを膨らませ、補助技を発動させる…。技によって私の翼の密度が上がり、相手の攻撃に対する耐久が強化された。そしてすぐに両翼に力を込め、真上に浮上する事で相手の炎をスレスレでかわした。

…物理技を使わない私には関係ないけど、火傷状態になるとダメージを受けるだけじゃなくていりょくも落ちちゃうもんね…。

ギャロップ・ライト〈空中に逃げても無駄だ![跳び跳ねる]!〉≪重ねがけして!≫

ラフ〈!?もっ、もう一回[コットンガード]!〉

…えっ!?空中なら当たらないって思ったのに追いかけてきた!?

炎をかわして空中に避難した私を狙って相手は跳び上がってきた。彼は跳んだ勢いをそのままに額の小さな角を私に掲げてきた。
まさか4mの高さまで追ってくるとは夢にも思ってなかった私は予想外の行動に思わず驚きを漏らしてしまう…。でもライ姉の指示で何とか我に返り、右翼を早く動かすことで追撃を辛うじて回避した。

…危なかった…。

相手の身体が完全に通りすぎたタイミングでもう一度技を発動させ、さらに翼の密度を底上げした。

ライト・ギャロップ「[チャームボイス]で撃ち落として!」〈飛べる種族だけが空中で戦えると思うなよ![フレアドライブ]!〉

ラフ〈うん。熱っ…、[チャームボイス]!〉

跳んだ勢いが無くなった相手は頂点で向きを変え、狼狽える私を狙う…。そしてすぐに燃え盛る炎を身体中に纏わせて降下してきた。

…[跳び跳ねる]にあんな使い方があったんだ…。

急降下する相手の真下にいる私は慌ててその場から飛び退いた。 しかし反応が遅れたせいで左翼を掠めてしまい、熱さでダメージを受けてしまった。…それでも負けじと喉元にエネルギーを溜め、相手の背中を狙ってフェアリータイプ音塊を発射した。

ライト・ギャロップ「[竜の息吹]で追撃!」〈っ!?〉

ライト≪炎が収まったところを狙って!≫
ラフ〈[竜の息吹]!〉

…「炎が収まったら」ってことは、技の効果が解除されたらだね?

私が撃ち出した音塊は対象が着地する前に達する…。でもまだ[フレアドライブ]の効果が続いていたために厚い炎に阻まれ、十分にダメージを与えることができなかった。
その相手は炎を纏ったまま前脚から着地し、少し屈む事で衝撃を地面へと逃がした。そして両眼で急降下する私を捉え直し、次なる一手のために一度技を解除した。
この時、私と相手との直線距離は約2m…。

ギャロップ〈んなっ!〉

相手が振り返っている間に私は竜属性のエネルギーを蓄える…。昨日覚えたイメージを元に溜めたそれを嘴に集め、隙だらけの相手を狙って一気に放出した。

…この調子で一気に攻めれば…、勝てる!!

ギャロップ・ライト〈っく…!〉≪何も考えずに翼を撃ちつけて!≫

暗青色のブレスは的確に相手を捉え、少しのけ反らせた。怯んでいる間に後ろにまわしていた両翼を広げ、相手との距離を測る…。

1m…、広げた右翼に意識を向け、目測で求めた距離を元にタイミングを合わせる。
0m…、

ギャロップ・ライト〈!![フレアドライブ]!〉「旋回して[チャームボイス]!」

降下する勢いを乗せ、力任せに右翼を叩きつけた。その反動で向きを地面と並行に戻し、弧を描くように再浮上した。
相手は私の連撃を何とか堪える…。それでも2〜3歩ぐらい押し流されてしまった。

…[コットンガード]で守りを固めて正解だったね。…ん?[コットンガード]は守りを固める技だから攻撃には関係ないって?…原作ではそうだけど、よく考えてみて!私の場合[コットンガード]で強化される部分は綿みたいな翼…。そこで攻撃を受ける感じかな?密度が高くなってるから、翼自体の耐久もあがる…。つまり、結果的に硬くなるから打撃の威力も上がるってこと。解説するとこんな感じかな?

私に圧されたけど何とか堪えた相手はすぐに炎を纏い、次なる攻撃に備える…。守りを兼ねた攻撃をするつもりなのか、燃え盛る炎によってフィールドの室温が2〜3度上がったような気がした。

…温度的に、この一撃で仕留めるつもりかもしれないね。

一方の私は地面から180度旋回した地点でイメージを膨らます…。そこから90度進む頃にはエネルギーの蓄積も終わり、属性に変換するだけとなっていた。

ラフ〈[チャームボイス]!〉
ギャロップ〈させるか!!〉

回りきった私は地面スレスレまで高度を落とす。そして相手との距離が4mまで迫った瞬間に蓄えた妖艶なエネルギーを一気に解き放った。
相手も私を正面に捉えると四肢に力を込め、一気に加速する…。

ラフ〈当てさせないよ!〉

このままでは大ダメージを受けるから、滑空する左翼だけを力一杯羽ばたかせた。すると突き進む私の起動は右に逸れ、間一髪相手の重い一撃をかわすことに成功した。
その間に私が放った妖艶な音塊が相手に命中し、少しのダメージと共に燃え盛る炎を減衰させた。

ギャロップ〈ちっ…〉

…相手はここまでで大技を連発してる…。エネルギー面もだけど、ずっと走ってるから体力的にもかなり消耗してるはず。…だからこのままかわし続けてエネルギー切れを起こせば、勝てる!!

彼の様子から勝機を見出だした私は並走しながら様子を伺う…。それに対して相手は悔しそうに舌打ち…。一度私を睨んでから炎を纏い直して接近してきた。

ラフ〈…だから何回かかってきても無駄だよ!そんなことよりそろそろ疲れてきたんじゃない?[滅びの歌]で終わらせてあげるよ?〉

…そんな回りくどい事しなくても十分終わらせられるけど、“脅し”の意味も込めてね。

並走する私は相手とぶつかる前に浮上し、その真上に避難する…。それと同時にイメージを竜一色に染め上げ、それを喉元に集中させた。

ギャロップ〈[跳び跳ねる]〉
ラフ〈[竜の息吹]!〉

…やっぱり、跳んできたね。

炎の塊になっている相手はそれをすぐに解除し、頭上の私に狙いを定める…。そして後ろ脚で思いっきり蹴って飛びかかってきた。
しかし相手の真上をとっていた私は技を発動される前に加速し、眼下の対象を抜き去る…。飛ぶ向きを後ろに変え、通過する対象を確認した。そして最後に技が外れて隙だらけの敵を狙って超至近距離で竜のブレスを撃ち出した。

…技の威力が弱くても隙を突けさえすればそれを補える…。おまけにこの距離だから、かわさせはしないよ!!

ギャロップ〈しまっ…くっ…!〉

案の定それは対象の背を捉え、技の勢いも加わって上空へと飛ばされる…。

ラフ〈これで最後!!〉

そこで私は急加速し、飛ばされた相手を追撃する。

…何も考えずに突っ込めば…。

そしてすぐに追いつき、身動きがとれない相手に捨て身で体当たりした。

…エネルギーを使わずに攻撃できる!

ギャロップ〈くっ……、そっ……〉

回避しようがない相手を的確に捉え、更に上へと突き飛ばした。ここまで蓄積していたダメージも重なり受け身がとれなかった相手は地面に叩きつけられる…。その影響もあって、相手は声を上げることも叶わず意識を手放した。


…とりあえず予定通り、かな?

@ ( 2015/04/22(水) 20:40 )