[アンケート結果発表中]絆の軌跡 〜繋がりの導き〜























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第10章 積歴の栄華
89 LS 繋がる絆
午前 研究所前 Sideライト


ライト〈ハァ……、何とか……勝てた……〉

 ショウタ君達との戦闘は辛うじてわたし達の勝利で幕を閉じた。張りつめていた緊張はわたしの宣言と共に溶かれ、まだ温度は高いままだけど普段の空気を取り戻しつつあった。

…勝ったと言っても、殆どティル1匹だけで戦ってたようなものだから何とも言えないんだけど……。いつの間にかティルにもショウタ君にも抜かれちゃってたし……。全力で戦ったはずなのにショウタ君にはあまりダメージを与えられなかった。それに対してティルはショウタ君とコロナちゃんの2匹相手に有利に立ち回ってた……。
 ……本当は悔しいけど、ティル達がここまで強くなってたから嬉しくもある……。……何か複雑な気分だよ……。

 姿を消して自然に体力を回復させていたとはいえまだまだ完全じゃないわたしは、バトルの結果に安堵しながらホッと一息ついた。

テトラ〈ライト、ショウタ君もお疲れ様〉
ラフ〈凄かったよ!〉
ラグナ〈ティルとの連携も完璧だったな〉

 と、そこに、わたし達のバトルを間近で観戦していた3匹が額から滝のように汗を流しながら駆け寄ってきた。まずテトラが右側の触手で流れ落ちる汗を拭いながら労いの言葉をかける。その後に溌剌とした様子でラフが続き、最後にラグナが〈もちろん、お前等もな〉と、ついさっき意識を取り戻したショウタ君にも声をかけた。

ライト〈ううん……、わたしだけではショウタ君に勝てなかったから……「〉まだまだだよ……」
ショウタ〈そんな事はないよ……。……[自己再生]……。あの時の[10万ボルト]、結構効いたよ〉

…でもやっぱり、わたしはトレーナーとして旅をしてたからあまり実力が上がってないのが現実かな……?

 わたしはみんなの言葉に首を横に振り、姿を変えるために光を纏った。人間の姿に変えたわたしは膝に手を当て、肩で呼吸をしながら仲間の言葉に答えた。だけどわたしの謙遜をショウタ君がさらに否定し、彼はわたしとは異質の光に包まれた。するとショウタ君の傷は見る見るうちに癒え、声の調子も自然と軽くなった。

…そういえば、ショウタ君って人間としての性質も残ってるからセンターでは回復出来なかったんだよね?

リヴ「そうさ。指示はショウタ君に全部任せてたけどふたりの連携があったからこそ、僕達は負けたのさ」

 戦闘で力尽きたティルをボールに戻してあげていると、ほぼ空気になりかけていたリヴさんが「だから気にする事はないのさ!」と歩み寄ってきた。それまでに彼はコロナちゃん達をボールに戻していた。その彼も尋常じゃないくらい汗を流し、わたしと同様に喉が渇いた素振りを見せていた。

A「久しぶりに良いバトルを見させてもらったよ」
B「このレベルのバトルはリーグ戦でも中々見れるものじゃないな」
C〈そうね〉

 そこに、テトラ達がいる方からその誰のものでのない3つの声が満足した様子で割り込んできた。2つは如何にも研究者って感じで白衣を羽織った男の人達、そしてもう1つは首に蒼いスカーフを着けた♀の[エーフィ]……。

ライト「えっ……!?ユウキ君にシルク……、いつからいたの……?」
テトラ〈ずっと前からいたけど?〉
シルク〈ライトが丁度“チカラ”を使ったぐらい……かしら?〉
ユウキ「外に出た時に強い光が見えたから、そのくらいだね」

 1人は誰か分からないけど、2人目は右頬に一か月前の事件とは全く関係ない火傷の痕がある考古学者のユウキ君。そしてその隣にはわたしにとって師匠、親友、恩人でもあって一言では言い表す事が出来ないシルク。

…“ステルス”を使った辺りだから、結構前からいたんだ……。全然気づかなかったよ……。

ショウタ〈えっ!?ライト!?あの3つ星トレーナーのユウキさんと知りあいなの!?〉
ライト「うん。去年[ラティアス]として一緒に修行の旅してたんだよ。……だからわたしにとっては友達であって師匠でもある存在かな?」

…ユウキ君との関係は「シルクのトレーナー」って事しか言ってないから、知らないのも当然だよね?

 仲良く話すわたしとユウキ君を見たショウタ君は〈信じられない!〉とでも言いたそうに声を荒げた。その彼にわたしはユウキ君との関係を簡単に説明した。

ユウキ「そうなるね。……ええっと、[ミュウ]の君がショウタ君で、君がリヴさんだね?初めて会うはずなのにリヴさんの事は昔から知ってたような……そんな気がするよ」

ショウタ・リヴ〈!?何でわかったの!?〉「何故僕の名前を!?」

…えっ!?何でユウキ君がリヴさんの事を知ってるの!?それに「リヴさんの事を昔から知ってる」って、どういう事!?

 彼の口からすんなりと出た言の葉に、わたしは思わず耳を疑った。そして頓狂な声をあげながらその彼の方をハッと見た。それを傍で聞いていたテトラとラグナも同じみたいで、思わず驚きで声を荒げていた。

ユウキ「メンバーを見ればすぐにわかるはずだよ。みんな、お待たせ!」

 そう言いながら彼は左右にセットしている、シルクのもの以外の5つのボールを手に取った。そして中で控えるメンバーに謝りながら慣れた手つきで同時に出した。

リーフ〈仕事だから仕方ないよ〉
スーナ〈そうだよね♪〉
フライ〈今日でとりあえず“四鳥伝説”についてはひと段落つくしね〉
コルド〈当事者の皆さんの顔合わせも終わりましたから〉
オルト〈そうだな〉
リヴ「こっ、コルド!?そっか!そう言う事だったんだね?」
シルク〈リヴさん、そう言う事よ〉

 ボールから飛び出した彼ら……、[ジャローダ]のリーフ、[スワンナ]のスーナ、[フライゴン]のフライ、[コバルオン]のコルド、そして[コジョンド]のオルトは思い思いに言葉を交わし合った。そこに驚きを顕わにしながら元[ミュウ]のリヴさんが加わり、最後にずっと出ていた[エーフィ]のシルクが締めくくった。

……だからユウキ君、リヴさんの事を知ってたんだね?って事はコルドと“心”が繋がってる影響かな?それにテトラから聞いた話だけど、コルドとリヴさんは10年以上前からの知りあいらしい……。どんな風に出逢ったのかまでは聞いてないけど。

ラフ〈あっ!オルトお兄ちゃん、それにみんなも久しぶり!私の事、覚えてる?〉

 そこに、今日“進化”したばかりのラフが真っ先にオルトを見つけ、彼の元に飛んでいった。

オルト〈!?まさかこの感じ……ラフか!?〉
ラフ〈うん!昨日ライ姉達の仲間になってさっき“進化”したばかりなんだよ!〉

…〈ライ姉〉って、わたし?

 彼女は彼に気付いてもらうと嬉しそうに言い放った。そしてわたしの方をチラッと見て、再び彼の方に向き直った。

オルト〈そうか。“進化”したなら祝いにピッタリだな。本当は群れの誰かに渡すつもりだったが、丁度いいな〉
シルク〈そうね。ライトとラフちゃんなら使いこなしてくれそうね〉

ライト・ラフ「わたし達に?」〈私達に?〉

シルク〈ええ!〉

…えっ?何を?“進化”したラフにならまだ分かるけど、何でわたしもなの?

 何かを思い出したオルトはそう言うとボールから出た時に一緒に持っていた荷物の中を漁り始めた。彼に続いてシルクがラフ、わたしの順番で視線を移しながら言った。その彼女の意図が分からないわたしとラフの疑問が共鳴し、揃って首を傾げた。そしてさらに、わたし達の反応を見たシルクは満面の笑みで大きく頷いた。

オルト〈俺達からの“進化”祝いとして受け取ってくれ〉

 そう言いながら、オルトは鞄から丸くて紺と薄ピンクに輝く……!?

ライト「えっ!?何で!?何で“チルタリスナイト”をオルトが持ってるの!?」
オルト〈調査中に偶然拾ってな〉

 彼が取り出したのは、[チルタリス]を“メガ進化”させる効果を秘めた“メガストーン”の一種……、本物の“チルタリスナイト”であった。それは時々紺や薄桃色に光り輝きながら独特な存在感を放っていた。

ラフ〈ちるたりすないと……?何なの、それ?〉
テトラ〈ええっと、確か“メガ…”…何とかをするためにいる石……だったっけ?〉
ラグナ〈そのはずだ。俺も実物を見るのは初めてだが、組織にいた時にそう聞いた事がある。“メガ進化”した後のタイプによって色が違うそうだ。それでどの種族に使えるのかある程度は見分けられるらしい〉

 反応からして初めて耳にしたラフは頭の上に疑問符を浮かべながら首を傾げる……。その彼女にテトラが〈ジル兄から聞いたんだけど……〉って言ってから説明……。そして経験豊富なラグナがテトラの説明に補足を加えた。


…そうなんだ。使える種族によって色が違うのは知ってたけど、色にそんな意味があるって事までは知らなかったよ。

■筆者メッセージ
 読者の皆さんはこうなるフラグが建っていたことに気付いたでしょうか?直接は書いていませんが前もってオルトが“チルタリスナイト”を持っていることを伝えています。気になる方は戻って捜してみたらどうでしょうか?
@ ( 2015/03/18(水) 17:25 )