85 L 腕試し(VS1)
午前 マサラタウン 研究所前 Sideラフ
ライト・リヴ「ラフ、一番手お願い!」「フェズ、任せたよ」
ラフ・フェズ〈うん!ライトお姉ちゃん、がんばるよ!〉〈なるほどね。リヴ、死角は任せたよ〉
…一匹だけで戦うのは初めてだけど、やってみるよ!
ライトお姉ちゃんにせんぱつを任されたわたしはボールから飛び出すと4〜5回羽ばたいてたいせいを整えて、ゆっくりと地面に着地した。相手のトレーナーもさいしょのメンバーを出す。飛び出たあのひとは地面に脚をつけず、ホバリングして空中に留まった。
…こうしてわたしが話すのは初めてだから、何かきんちょうするよ……。ここまで〜kizuna〜でも何回か出てるけど改めて自己紹介しないといけないね。
わたしは[チルット]のラフ、改めてよろしくね!使える技は[電光石火]と[チャームボイス]、[つばさで打つ]……、それからお父さんからうけついだ[ほろびの歌]の4つ。[ほろびの歌]は上級技だけど、ライトお姉ちゃんたちの仲間になる前に練習したからちゃんとできるんだよ!……練習してる時に群れのみんなを気絶させちゃったのはここだけの話しなんだけどね。
わたしの事はこのくらいにして、そろそろ話に戻るよ?
お姉ちゃんたちがこの町に着いてからすぐにけんきゅうじょに行ったんだって。でも会おうと思ってた人が誰かと話してたみたいで、先にたたかう事になったんだよ。それで、お姉ちゃんはすがたを変えて、こうなったって感じかな?
フェズ・ライト〈先手はもらうよ![エアスラッシュ]!〉《[電光石火]でかわして!》
ラフ〈うん![電光石火]!〉
…だってそれならすぐにかわせるもんね!
相手の……ええっと、たしか[ピジョット]は真っ先にその場でつばさを羽ばたかせ、わたしに向けて空気の刃を飛ばしてきた。それに対してわたしは早く動ける技を発動させ、風みたいに接近を始めた。まず初めにさいしょの一つ目を左のつばさを早くうごかして右にかわし、スレスレでやり過ごした。間髪をいれずに飛んできた二つ目を両方のつばさで同じくらいの速さで羽ばたいてかわす……。最後の三つ目はそのまま上を飛び越した。
ラフ・フェズ〈[つばさで打つ]!〉〈[燕返し]!〉
勢いに乗ったわたしははつどうしていた技をかいじょした。でも飛ぶスピードはゆるめずに右のつばさに力をたくわえ始めた。相手も近づくわたしをけいかいして、イメージをふくらませながら……
ラフ〈うわっ!痛っ!!〉
わたしに……!!
…速いっ!!
つばさを叩きつけようとしているわたしに急接近して、相手はわたしよりも早く技を命中させた。ちゅうとはんぱなじょうたいで技を使うことになったわたしのつばさに当たり、力負けして派手に打ち返された。
フェズ・ライト〈このまま一気にいかせてもらうよ!〉《[チャームボイス]で牽制して!!》
フェズ・ラフ〈[ブレイブバード]!!〉〈うん!
[チャームボイス]!!〉
…何とかちょくげきはさけられたけど、やっぱり痛いよ……。……でも、思い通りにはさせないよ!!
相手は飛ばされたわたしを狙いながら淡い光をまとう……。そしてさっきの[つばめ返し]とは比べ物にならない速さでわたしに迫ってきた。それに対してわたしはのどにエネルギーをたくわえる……。それから相手とのきょりが4mぐらいになったしゅんかんに音のかたまりとして解き放った。
フェズ・ラフ〈くっ!…これで最後!!〉〈まっ…、間に合わない![電こう…]…〉
…うそでしょ!?全然効いてない!![チャームボイス]はわたしの得意技なのに!?
わたしの音波は迫り来る相手に正面から命中。……でも全然効いてないらしく、そんな事は気にせずにわたしに……
ラフ〈せっ…くっ……!!〉
思いっきり突っ込んできた。
止まらないとさとったわたしはとっさに技でかわそうとした……。……でもそれは間に合わず……まともに……大ダメージを……うけてしまった……。身体が大きい……相手に対して……わたしの身体は小さすぎて……、そのせいで……軽く……10mぐらい吹っ飛ばされて……しまった……。
……くっ……、やっぱり……強い……。……でも……これからリーグに……ちょうせんするんだから……、……ここで……負ける訳には……
いかない!! 地面に……叩きつけられた……わたしは……、力をふりしぼって……何とか……立ち上がった。大技を……命中させた相手は……その反動で……のけ反っていた……。
………?何だろう……、この感じ……。もう負けそうなのに……力が……みなぎってくるような………。……気のせい……かな……?
そんなかんかくに……満たされながら……わたしは2回……、3回と、両方の翼を……羽ばたかせた。
フェズ〈流石、ジムを制覇するだけの実力だね。大抵[ブレイブバード]を命中させれは終わるんだけど……、大したものだよ〉
ラフ〈……でも……まだ……
終わらせないよ!!〉
……たしかに……まけそうだけど……
ぜったいに……勝たせないからね!! 倒れる寸前のわたしは……そう言い放つと……あふれる力と共に……目を閉じた……。そして、それに意識を向け……、一気に解き放った。
フェズ〈!?まさかこのタイミングで!?〉
ライト「ラフ!もしかして……」
…やっぱりこの感じ、そうだ…!うわさでは聞いてたけど……本当に力が湧いてくるんだ……。
なぞの力を解き放ったわたしは、たちどころに激しい光に包まれた。
…これが、“進化”なんだね?
光に包まれたわたしは次第に形を変えていく……。そしてその変化もある程度の所で治まり、包んでいた光が弾けるように雲散した。
……よし、これなら……いける!!
背水の陣とも言える状況で“進化”したわたしは、確信と共に目を開けた。それと同時にまた別のイメージで満たされ始めた。
ラフ〈[コットンガード]!!〉
そのイメージを一気に解放し、綿みたいな翼の密度を更に高めた。
…防御は最大の攻撃……。本当は守りを上げる技だけど、強度が増すから攻撃にも応用出来るよね?
ラフ〈姉ちゃん!指示をお願い!!〉
ライト「あっ、うん![電光石火]から[翼で打つ]!!」
リヴ「!まわり込んで!!」
フェズ〈!?〉
…完全な状態じゃないけど、体も何となく軽くなった気がするから、[電光石火]を使わなくてもいけそうだよ!
“進化”して蓄積ダメージがある程度緩和されたわたしは、両翼を力いっぱい羽ばたかせて急接近した。相手のトレーナーもその事に気付いて、若干遅れながらも指示を出した。
ラフ・フェズ〈[翼で打つ]!!〉〈[燕返し]!!〉
そしてわたしは右だけでなく左にも力を溜め、技の効果で先に発動させた相手に狙いを定めた。
フェズ〈!?防がれた!?〉
ラフ〈もう一発!!〉
フェズ〈っく……!!〉
相手は一撃で仕留めるために両翼同時に撃ちつけてきた。しかしそれが仇となり、縦に急旋回したわたしの左翼で難なく受け止められた。そして効果の残る右翼をすれ違い際に思いっきり叩きつけた。
…前はわたしもそうだったけど、飛行タイプはみんな守りが弱い……。でも“進化”してドラゴンタイプが加わったわたしは除外される!!
右翼を当てるとわたしはすぐに宙返りをし……、
ラフ〈[チャームボイス]!!〉
相手の丁度真上になったタイミングで音塊を飛ばした。
フェズ〈……っ!!〉
それは的確に相手を捉える……。
ラフ〈ダメ押しの[翼で打つ]!〉
フェズ〈ぐっ……!〉
そして更に、270°回った所で再び右翼に淡い光を纏わせ、飛ぶ勢いを乗せながら獲物にぶつけた。
フェズ〈………っ……〉
わたしの連続攻撃をうけた相手は耐え切れずに墜落し、意識を手放した。
……よし、勝てた!!