6 L 準伝説
昼過ぎ 1番道路上空 sideライト
ティル〈ライト? ライトって人間なの?それともポケモンなの?〉
わたしの背中の上で、ティルは不思議そうに訊ねた。
………突然、自分のトレーナーの姿が変わったら、驚くのも当然だよね……。
ライト〈もう少し時間が経ってから話そうかと思ってたけど……、うん、わかった。話すよ。実はわたし、人間じゃないんだよ。〉
ティル〈えっ!?〉
黙ってて、ごめんね……。
ライト〈本当のわたしは、[ラティアス]っていうポケモンなの。〉
ティル〈なら、なんで人間の姿に?〉
わたしは彼に負い目を感じながら話す。
ライト〈わたしの種族専用の特殊能力なんだよ。………習性って言った方がいいのかな?わたし達、[ラティアス]と、その♂の[ラティオス]はこうして自らの身を外敵から守ってるんだよ。〉
ティル〈外敵から……?それに、♂だけってどういう事?〉
顔は見えないけど、凄く難しい顔してるんだろうな……。
ライト〈わたし達は性別で種族が変わるんだよ。……話にもどると、わたしの種族は個体数が凄く少ないんだよ。………準伝説っていうのも原因かもじゃないけど、そういう理由でさっき狙われたんだよ……。………わたしは何の伝説にも関わってないから、普通のポケモンと殆ど変わらないんだけどね!〉
ティル〈準………伝説……?〉
たぶん、ティルは首を傾げた。
ライト〈そう。わたしが知る限り、わたしを含めても[ラティアス]は3匹しかいないんだ。〉
ティル〈そうなんだ……。ライトの種族については分かったけど、どうしてライトはトレーナーになろうと思ったの?〉
ティル、なかなか上手い事聞くね?
ライト〈単純に、景色とか見て廻るのが好きだから、かな?それに、バトルも楽しみたいし!トレーナーになれば、どっちも叶えられるでしょ?〉
元々景色を見て廻るのは好きだったけど、特に去年の旅が影響してるかな?
仲間との旅………、もう最高だよ。
オルトには会えたけど、他の皆にも会いたいなー。
ティル〈ライトの言う通りだよ。……って事は、ジムとか巡ったりするの?〉
ライト〈そのつもりだよ。何の目的も無く旅してもしょうがないし、どう?〉
ティル、どうかな?
わたしは旅の相棒に事の真偽を訊ねた。
ティル〈ライトのバトルを見て思ったよ……。俺もライトみたいに強くなりたい……。だから……ぜひ!!ライトがポケモンであっても人間であっても仲間にはかわりないよ!だから、挑戦しよう!ジムに!!〉
ティルは元気一杯に答えた。
ティル、ありがとう!!
ライト〈ありがと!〉
ティル〈ならまずは特訓しないとね!!早速色々教えてくれる?〉
ライト〈うん!そうこないと、教え甲斐がないよ!!〉
ティル、やっぱりせっかちな性格だね。
わたしはこの後、下に下りてティルの特訓を始めた。
………もちろん、人間に姿を変えてね!
続く………