[アンケート結果発表中]絆の軌跡 〜繋がりの導き〜























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第9章 積み蓄えし成果
77 S 集いし四鳥伝説(後編)
午後 ヤマブキシティ付近上空 Sideシルク


スノウ〈…でもまさかシードが言う[エーフィ]と[フライゴン]があなた達とは思わなかったわ〉

 午前中には曇っていた空模様もすっかり晴れ渡り頭上に広がる天井が青々と広がる午後の中心街に、1つの透き通った囀りが幾多にも響き渡った。その声には驚きと共に懐かしさが含まれ、祝日で賑わう大都市へと馴染んでいった。

…ニビで会った時はシードさんの事を話さなかったからこう思うのも仕方ないわね。その時は私も知らなかったから仕方ないけど…。

フライ〈本当にそうですよね。それにスノウさん、スノウさんの幼なじみって誰も伝説の種族なんですよね?〉
スノウ〈ええそうよ〉

 私を乗せて飛んでくれているフライはその彼女に目線だけで伺った。その彼女も彼の問いに快く答えてくれて、辺りには和気藹々とした空気が流れていた。

…前にも言ったかもしれないけど、スノウさんの幼なじみはみんな伝説の種族。おまけに偶然か必然かは知らないけどそのうちの2匹は同じ伝説の種族…。初めて会った時に他の当事者がいる所を教えてくれたのも納得ね。あとの2匹も私がよく知ってる人物だったのにはさすがに驚いたわ。
 1匹は“交錯”が始まるきっかけになった[セレビィ]のシードさん。彼女は彼と生まれ育った場所が近かったから20年も前から知ってたそうよ?これは後から知った事だけど、スノウさんはカントー地方の双子島っていう場所、シードさんは今ライト達が向ってるセキチクシティの出身らしいわ。
 それからもう1匹は新人トレーナーだったショウタ君と“心”と“体”が入れ替わった[ミュウ]のリヴさん。彼はお月見山の近くで育ったそうだわ。スノウさんが彼と知り合ったのはシードさんを通して。それもシードさんと出逢った時期と殆ど変らないらしいわ。しかもそのリヴさん、コルドとも古くからの知りあいだそうだわ!
 …今こうしてみると、世界って意外と狭いのね……。
 で、話をスノさんに戻すと、彼女は普段セツさんが仕事の間、双子島に行ってるそうよ?そこで知りあいとバトルをしたりして技の特訓をしてるらしいわ。意外なのが、スノウさんは飛行・氷タイプなのに泳ぐ事が趣味らしいわ。…でも流石に潜水まではできないみたいで、〈いつか水の中の世界も見てみたいわ〉って言ってたわ。……どうやって泳ぐのか、気になるわね。それから、特訓してるなら一度彼女と手合せしてみたいわ!
 …ええっと、スノウさんの事でもう1000文字超えちゃったから、そろそろ話に戻るわね?

 クチバシティにエレン君達を迎えに行ったユウキ達と別れてから数十分、カントー放送の放送局から飛び続けた私達……、いや、フライとスノウさんの眼下には何棟も高くそびえ立つ経済都市が広がっていた。

…まだここから出発して数時間しか経ってないけど、もう戻ってきちゃったわね。

シルク〈フライ〉
フライ〈ん?シルク、どうかした?〉

 私はこのタイミングで徐に乗せてくれているフライの肩にあたる部分をポンポンと軽く叩いた。その彼はすぐに反応してくれて、目線だけを私の方に向けて疑問をなげかけた。

シルク〈あの15階建てのマンションの屋上に降りてくれないかしら?〉
フライ〈15階……ああーあれだね?〉
スノウ〈あそこにイカヅチと“雷鳴の防人”が住んでるのね?〉
シルク〈ええ、そうよ〉

 そう言いながら、私は彼からは見えないけど目的のビルを指さした。フライは私の言葉をうけ、いくつもそびえるビルのうちの1つの階数を数えはじめた。そしてすぐに見つけたらしく、再び私の方に目線で振り返って声をあげた。その間にスノウさんも見つけたらしく、羽ばたく翼を止める訳にはいかないから嘴でそれを指した。

…そうよ、そのビルであってるわよ。

シルク〈あのマンションの屋上に……〉
A〈あっ、スノウ!イカヅチの言う事は本当だったんだね?〉

〈人影が見えるわよね?あのビルがそうよ!〉

 私が飛んでいる2匹にこう言おうとした丁度その時、私達の斜め後方からここにいる3匹でも迎えに行く2匹でもない、別の声が私の声を遮った。その声の影響で[驚かす]にも似た衝撃をうけた私はとびあがり、危うくフライの背中から落ちそうになってしまった。…でも私以外の2匹は言うほど驚いておらず、平然としていた。

……ビックリしたわ……。

 そんな中で私は何とか平生を取り戻し、声がした方を振り返ると……

スノウ〈!?シード?…ええ……、そうよ〉
フライ〈今日はスノウさん達の伝説の当事者の顔合わせをする予定なんですよ〉
シード〈でも何でフライさんとシルクさんが?〉
フライ〈ボク達がその仲介をする事になってたんですよ〉
シルク〈私達のトレーナーが“四鳥伝説”を調べてた関係でね〉
スノウ〈お蔭で私達が知らない事も知れたから助かってるわ〉

そこには1匹の[セレビィ]……、さっきから話に出ていたシードさんが〈スノウ、元気だった?〉と言いながら彼女に笑いかけていた。その彼に私達は簡単に事情を説明した。

…厳密にはスノウさんもシードさんも種族上性別無いんだけど……。
 …でもまさかシードさんとも再会できるなんて想像できなかったわ!

シード〈そういえば前に会った時に言ってましたね〉
シルク〈フライから聞いてたのね?〉
シード〈はい!〉
フライ〈シードさんはどうしてここに?〉

…そういえば、シードさんはどうやって私達がここにいる事がわかったのかしら?さっき〈イカヅチから聞いた〉って言ってたけど…。

 私は突然現れた彼との再会を喜びながらも、そのまま彼に事の真相を伺った。

シード〈イカヅチから……〉
B〈俺が一昨日言ったからな〉
C〈イカヅチの言っとった幼馴染って彼のことやったんやね?〉
イカヅチ〈そうだ。この[セレビィ]が俺達の幼なじみのシードだ〉

…さすがにもう2回目だからもう驚かなかったわ。

 説明しようとしていたシードさんの言葉を遮り、今度は下の方から[サンダー]のイカヅチさんと、私の憧れの人であり友達でもある[ハトーボー]……、化学者で“雷鳴の防人”のカレンが羽ばたいてきた。彼らはシードさんと入れ替わるように参加し、補足で情報を付け加えてくれた。

フライ〈そういえばイカヅチさんもそうだったっけ?〉
シルク〈そのはずだわ〉
スノウ〈ええ、そうよ。カレンさん、一か月ぶりね〉
カレン〈そうやな。…スノウさん?セツさんの姿が見えやんのやけど、どうしたん?〉
スノウ〈本当は私も“水冷”のふたりを迎えに行く予定だったけど……〉
イカヅチ〈……俺?〉
シード〈そっか。だからなんだね?〉

 各々が各々に視線を移し、思うがままに言の葉を紡いだ。まずフライが私にその事を確かめるように訊き、その彼に私は頷いて返事した。そう答えた私にスノウさんも続き、私に向けていた目線をカレンに変え、彼女にも話しかけた。彼女と簡単な挨拶をしたカレンはセツさんが欠けている事に気付き、彼のメンバーである彼女に真相を伺った。カレンに聞かれたスノウさんは意味ありげにイカヅチさんをチラッと見、その様子を見たシードさんが何かに納得していた。

…イカヅチさんがどうかしたのかは知らないけど、きっと幼馴染の間での何かがあるのかもしれないわね。


……と、こんな感じで雑談を進め、そのまま話し込みながら残りの当事者との待ち合わせ場所へと向かった。

 …あっ、そうそう。さっき偶々会ったシードさんも一緒にね。〈エンさんとも幼馴染だ〉って言ってたから、きっと大丈夫ね!私もちょうどシードさんをみんなに紹介したかったし!


――――


数時間後  燈山 Sideシルク


フライ〈…よし。とりあえず予定通りかな?〉
シルク〈ええ。話しながら来たからちょっと心配だったけど、何とかなったわね〉

…乗せてもらってる私にはどうしようもないんだけどね……。

 カレンとイカヅチさん……、それからシードさんと合流してから数時間後、遥々海を越えてきた私達はカントー地方近くの諸島の中の1つの島に上陸した。その島の北部には黒煙が休むことなく立ち上る活火山が鎮座し、長距離を移動してきた私達を出迎えてくれた。気候はホウエンの煙突山よりも遙かに過ごしやすく、溶岩の熱で火照った身体を吹き抜ける秋風が程よく冷ましてくれる……。
 着陸したフライから跳び下りた私は辺りをキョロキョロと見渡し、状況を掴んでから一息ついた。

D「ここに来る途中でシルクさんたちの声がきこえたからぼくたちもペースを合わせたんだよ」
ユウキ「だから僕達も今着いたところだよ」
スノウ〈遠くにあなた達が見えたからそうだと思ったわ〉

 その私達に、先に到着していたもう一組が気づいて声をかけてきた。まず、真っ先に「他に勝てる人がいないんじゃないの?」っていうぐらい早口の少年……、エレン君が声をあげ、その彼に私の兄が補足していた。

…確かに、そうかもしれないわね。私は飛行タイプじゃないからそこまで遠くは見えなかったけど、カレンが言うには私達の500mぐらい前をスーナ達が飛んでいたらしい…。その証拠に早く着いていたなら出ているはずのリーフ達はまだ出ていない。だからこう考えてもいいわね?

E〈さすがエレンだよ〉
セツ〈飛行タイプだから目はいいけどそこまでは分かりませんでしたよ〉
スーナ〈[チカラ]が完全に馴染んだっていう証拠だね♪〉
F〈噂には聞いていたけど、まさか“水冷のチカラ”でここまでわかるんだな〉
スノウ〈そんなに遠くから聞こえていたのね?〉
ユウキ「…らしいね。事件の前に会った時よりも遠くまで聞こえてるみたいだから、そうなるね」

 彼女の言葉に〈これが“チカラ”だからね〉と付け加えた背が一番高い彼……、[ルギア]の二アロ君がタメ口で声をかけ、まだ戻していない[ムクバード]の姿のセツさんがエレン君の“チカラ”に圧倒されながらも何とか言葉を繋げていた。続いてスーナが明るく声をあげ、この山を住み家にしている[ファイヤー]のエンさんも同じように話す……。

…彼が、エンさんね?

 エレン君の“チカラ”を知ったスノウさんは平生を装いながらも驚きを隠せない様子……。その彼の“チカラ”を間近で見ていたユウキは彼女とは対照的に彼の成長を実感して嬉しそう…。

シルク〈そうね。…シードさん、紹介するわ。彼が私の兄のユウキ。彼女が[スワンナ]のスーナよ。で、彼が前に話した[セレビィ]のシードさんよ!〉
シード〈えっ!?“兄”って…どう見ても人間ですよね!?〉
ユウキ「…兄弟同然って言ったほうが正しいんだけどね。…うん。そういう事だから、よろしくね」
シード〈あっ……、はい……〉
スーナ〈ウチの方こそ、よろしくね♪〉
シード〈はい……、よろしくです…〉

 私も、それぞれにそれぞれを紹介した。

…やっと紹介できたわ!


 っと、こんな感じでこの後もボールで控えるみんなも入れて話し込んだわ。

@ ( 2015/02/24(火) 23:41 )