ν コルドのチカラ
昼 街道(ヤマブキ←→シオン) Sideコルド
ユウキ(……とりあえず、調査結果はまとめ終わったよ。)
コルド(僕達だけ楽しんでいる間に、すみません…。)
ユウキ(気にしないで。 これがあったから、僕は暇で腐らずに済んだんだから!)
確かに、入院生活となると何もできないですからね……。
僕は彼のホッとした感情と共に彼の言葉を心の中で受け取った。
ユウキさんはこう言っているけど、申し訳ないですよ……。
自由が利かないのに、僕達だけが楽しむとなると……
ユウキ(コルド、そこまで思い悩まなくてもいいよ。 僕自身も、皆には二か月間も任せっぱなしだったし、心配させちゃったから、お互い様だよ。 ……僕達が出るのは久しぶりだから一応確認しておくけど、僕は{生放送襲撃事件}で大火傷を負って入院中……。)
全治一か月の傷を負って、その期間中、メンバーは休養を兼ねて自由時間なったんです。
ユウキ(生身なら生死の間を彷徨ってもおかしくないらしいんだけど、僕は半分ポケモンみたいなものだから、この程度で済んでいるんだよ……。 ………でもまさか、[チカラ]に命を救われるとは思わなかったね………。)
本当にそうですよ……。
……あっ、そうだ!
ユウキさん、今の怪我の状態を読者の皆さんに報告したらどうですか?
ユウキ(そうだね。 実質僕達は空気になりかけてたし、言う機会もなかったからね。 ……今日は僕が入院し始めてからちょうど3週間目。 去年負った火傷の痕は無理だったけど、それ以外はほとんど目立たなくなってきてるよ。 包帯も取れたし、退院できる日も近いかもしれないよ。)
ユウキさん、もうそんな状態まで回復していたんですね?
ユウキ(うん。 病院側は想像以上の回復力に驚いているよ。 ……実際、僕自身もそうだし……。)
ポケモンの体は人間より丈夫で回復も早いですから……。
ユウキ(弱点の属性をくらっても、そう簡単には倒れないぐらいだからね…。 ところでコルド? そろそろ話に戻らないといけないんじゃない? 文字数が1000文字近くなってるよ?)
えっ!? ほんとうですか!?
……言われてみれば、そうですね。
ここまで僕とユウキさんの心の中での会話だけでしたからね。
ユウキさん、うっかりしてましたよ……。
……というわけで、話に戻りますね。
僕はユウキさんと心の中で話しながら昼間の街道を突き進んだ。
季節の影響もあって暖かい風が吹き抜け、気休め程度に火照った体を冷ます……。
コルド〈時期的にも、おそらくこのあたりでしょうね……。〉
そして、会う予定の旧友の姿を探しながら呟いた。
…ライトさんの話によると、リヴと姿が入れ替わった彼は{リヴさんと合流してまたジムを巡りたい!}って言ってたらしいので、きっとこの中心街のどこかにはいるはずですね…。
コルド〈…フェズさんもいるから、きっともう合流しているでしょうね。〉
きっと、そうですね。
僕はこう結論を出し、その彼を探し続けた。
………
数分後 Sideコルド
A〈……うん、いい感じだね!〉
B〈ショウタ君もね!〉
コルド〈あれは……、間違いないですね!〉
あれから何分か歩いた先で、僕は技の特訓をしている3匹のポケモンと、そのトレーナーの姿を発見した。
…一匹は、小さい体からは想像できない規模の炎技……、[フレアドライブ]を成功させた♀の[ロコン]。
二匹目はその彼女の大技を[高速移動]でかわした♂の[ピジョット]。
最後に、その光景を見守っている♂の[ベイリーフ]……。
あと、あの少年は、絶対に彼ですね!
僕は確信と共にその彼らに近づき、
コルド〈[フレアドライブ]ですか…。 使えるという事はかなりの実力を持っているようですね?〉
コルド以外「〈〈〈!!?〉〉〉」
話しかけた。
リヴ「コルド、…ビックリしたよ…。」
フェズ〈でも、何でこんなところに?〉
コルド〈偶々お二人の姿を見かけたので…。〉
…やっぱり、驚いてますね。
彼らは突然話しかけられ、とびあがった。
ショウタ〈…見たことない種族だ……。〉
コロナ〈リヴさん? 知りあいなの?〉
リヴ「そうさ。 [コバルオン]のコルドと言って、10年以上前からの仲なのさ!」
ふたりが僕の事を知らないのも無理ないですね……。
何しろ、再会してから一か月も経ってないですから……。
その時、このふたりはいなかったから、尚更ですね……。
……でも、僕はシルクさんとライトさんから聞いているので知ってますよ。
コルド〈三週間ぐらい前に再会したばかりですけどね。 ……申し遅れました、僕は[コバルオン]のコルドと言います。 ショウタさんにコロナさん、よろしくお願いしますね。〉
ショウタ・コロナ〈〈えっ!?何で〉僕達の名前、知ってるの!!?/私たちの名前知ってるの!?〉
コルド〈{シルクという名前の[エーフィ]から聞いた}と言えば分かりますか?〉
あと、ライトさんも、ですね。
シルクさんとは少しだけ一緒に旅をしていたそうなので、きっと知ってますね。
僕は[絆の従者]の名前を出し、驚愕している彼らにこう付け加えた。
コロナ〈シルクさんを知ってるの!?〉
コルド〈はい! 彼女とは同じトレーナーのメンバー……、旅仲間なんです。〉
……今ではもうそれ以上……、かけがえのない存在ですけどね。
ショウタ〈…って事は、コルドさんも強いんだね?〉
コルド〈いいえ、僕は戦いは苦手ですから……〉
{いうほど強くありませんよ。}
そう言いかけたちょうどその時、
C「…あいつへの土産に丁度いいな……。 …[水の波動]だ!!」
D〈………、[水の波動]!〉
一同「〈〈〈〈!!?〉〉〉〉」
どこからか音波を乗せた水塊が放たれた。
!!?
一体どこから!!?
突然の事で僕達は反応しきれず…、
コロナ〈! きゃっ!!〉
ショウタ〈コロナ!! [マジカルリーフ]!!〉
まさかこのタイミングで攻撃されるとは夢にも思ってないコロナさんに命中した。
……戦闘準備も出来てないひとに攻撃するなんて、失礼な方ですね!!
ショウタさんは咄嗟に向きを変え、放たれた方向を狙って葉の辻風を発生させた。
リヴ「!? 一体誰なのさ!」
コルド〈!! あなたは……“グリース”の……〉
彼に続いて僕達も振りかえると……、
ガンマ「[ラティアス]を捕まえらえない腹癒せだ……。 [コバルオン]代わりに捕まってもらうぞ!!」
連れていた[パルシェン]に、次なる指示をしようとしている、元密猟組織幹部がそこにいた。
……相変わらず、[礼儀]がない方ですね!!
コロナ〈この人って………、ライトさんに………付きまとって………いる……人…だよね……?〉
予期せぬ大ダメージを受けたコロナさんは、辛うじて耐え、言葉を紡いだ。
コルド・ガンマ〈そうです!! リヴ、これは戦うしかなさそうです!〉「相手の駒はあと2体か…。 …今度は[ピジョット]に[オーロラビーム]!!」
それしか方法は無さそうですね!
パルシェン〈…[オーロラビーム]!〉
フェズ〈!! [電光石火]!〉
コルド《本当に[礼儀]のない方ですね!! 〈》[ラスターカノン]!!〉
相手は僕達の事を気にも留めず、問答無用で冷気を乗せた七色の光線を放った。
対して、フェズさんは技でそれをかわし、僕は口元に溜めた銀色の弾でそれを打ち消した。
ガンマ「[礼儀]? …そんなの、知ったことか!! [ラッタ]、トレーナーに[突進]だ!!」
ラッタ〈…[突進]!〉
リヴ「!!?」
!!!
噂は、本当のようですね!
コルド《ショウタさん! もう一度[マジカルリーフ]をおねがいします!! フェズさんはコロナさんの保護、リヴは彼女の回復をお願いします!!〈》[正義の剣]!!〉
…おまけに、トレーナーに対しての攻撃を指示するとは……、[絆の守護者]……いいえ、一匹の[コバルオン]として許せませんね!!
僕は直接[テレパシー]で彼らに指示をだした。
それと同時に角にエネルギーを集中させ、反撃の体勢に入った。
ラッタ〈っく!!〉
ショウタ〈うん! [マジカルリーフ]!!〉
ガンマ「ちっ。」
攻撃を命中させ、僕はすぐに進路を左に逸らした。
直後、そこをショウタさんの緑風が通過した。
ラッタ〈っ!〉
ガンマ「くっ、…やられたか…。 ならばもう一度[オーロラビーム]! [ベトベトン]、お前は[ヘドロ爆弾]だ!」
パルシェン〈…[オーロラビーム]。〉
ベトベトン〈…詰まなければいいがな…。 [ヘドロ爆弾]!〉
リヴ「!! また!?」
コルド《そうはさせません!!〈》追撃!!〉
!!
またですか!!
相手のトレーナーはまた同じように指示をした。
……この方は……本当にトレーナーですか!??
ショウタ・フェズ〈!! [エナジーボール]!!〉〈[エアカッター]!〉
非常識な攻撃に、ショウタさんとフェズさんは驚きながらも迎え撃った。
コルド〈くっ! …まだです!!〉
僕は相手の攻撃の一部をうけながらも接近を続け、
パルシェン〈っ!!!〉
ベトベトン〈何っ!!〉
連続で専用技で切り裂いた。
ガンマ「クソッ! またやられたか! [オ……]…」
コルド《[絆]の名において、あなたは絶対に許しません!! 今までの悪行、言動を反省し、[罪]を悔い改めてください!!》
ガンマ「こ……、[罪]!? 知るか!!!」
………もう、我慢の限界です!!!
言葉で説得しても伝わりそうにない……。
手荒な真似はしたくはありませんでしたが、やむを得ないですね…。
[チカラ]を、使わせてもらいます!!
僕は走りながら意識を集中させる………。
同時に、専用技である[正義の剣]のイメージを元に、それを別のモノへとシフトしていく………。
…そのモノをエネルギーに変換し、元の技と同じように自身の角に蓄える………。
……使うのは初めてですが、これで何とかなりそうですね……。
ここまでに、僕はガンマとは3mの距離まで接近していた。
ガンマ「!!?」
コルド〈
[聖儀の剣]!!〉
聖なる光を纏った角で、対象の[悪しき心]を貫いた。
ガンマ「っぐ!!!」
ショウタ〈!!? コルドさん!!?〉
コルド〈……今まで……言動を改めなかった………報い………です………。〉
くっ………!
先代から聞いていましたが………、ここまでとは…………。
僕の[チカラ]を………まともにうけた……対象は……、派手に飛ばされ、気を失った。
対して、僕も全身から力が抜け、崩れ落ちた。
………これが………、[悪意に満ちた心]を………浄化する……、僕達……[守護者]に対する…………[代償]……ですか……。
リヴ・フェズ「〈コルド!!!〉」
そしてそのまま、………[代償]の効果で………意識を………手放した。
………先代によると………、24時間………、意識が無くなる……そうです………。