[アンケート結果発表中]絆の軌跡 〜繋がりの導き〜























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補章Y 長い1ヶ月、短い1ヶ月
κ 成長
午前 トキワの森付近上空 sideテトラ

テトラ〈……だから、たぶんこの地方のどこかにはいると思うよ。〉

私はイカズチさんに予想を含めて、こう伝えた。

トリ〈へぇー……。 ドラマみたいなこともあるんだね……。〉

うん。
トリ姉、私も最初は信じられなかったけど、本当なんだよ!


………えっ!?
何の話をしているのかって?

…そういえば、結構期間が開いてるから改めて話さないといけないね。

…じゃあ、話すよ。

まず、私は一か月間の休暇を使って[ヤマブキシティー]にいるトリ姉に会いに来たの。
それから、私の提案で一緒に故郷の[トキワの森]に行くことにしたんだよ。
……私の過去のことがあるから最初は反対されたけど………。
……で、そこに行くのに[サンダー]のイカズチさんも同じ方向に用事があるって言ってたから、トリ姉と一緒に送ってもらうことになったってワケ。

ここまでの……うーんと、これって“あらすじ”…なのかな…?
とにかく、ここまでの事はこんな感じかな?

…ということで、話の内容を今の事にかえるよ?

[ヤマブキシティー]を出発してから、前会ったときは話せなかった旅の事を話し始めたの。
[お月見山]の麓で会ったことを話し始めたら……、凄くビックリしたことがあるんだよ!
トレーナだったショウタ君と体が入れ替わった、[ミュウ]だったリヴさんのこと、覚えてる?
その彼とイカズチさん……、実は幼馴染みなんだって!!
他にもいるみたいなんだけど、そのみんなも伝説の種族なんだよ!
すごくない!?
私には幼馴染みと呼べるひとはいないからちょっと羨ましいけど……、滅多に会えない伝説……、おまけに5匹ともなんだよ!!
凄く気になるよ!

イカズチ〈たしかにな…。 人間とポケモンなら、尚更だな。〉
トリ〈ワタシは会ったことはないけど、身近で起きてるもんね!〉
イカズチ〈そうだな。〉

イカズチさんは多分、その彼の事を思いだしながら呟いた。

テトラ〈…だね! ……あっ!! もう森が見えてきたよ!〉
トリ〈本当だ! やっぱりイカヅチは凄いよ!〉

うん、私もそう思うよ!

あれこれ話しているうちに、私たちの目的地(故郷)が眼下に広がり始めた。

……とうとう、着いたね……。

イカヅチ〈褒められる程ではないが……。 ……兎に角、着いたから着陸するぞ。〉
テトラ〈うん!〉

……イカヅチさん、もしかして照れながらスルーした?
声がちょっと上づってたよ?

そんな感じで、私たちを乗せたイカヅチさんは羽ばたきを緩めながら地に脚をついた。

…そして、彼……でいいよね?
伝説の種族って、性別、ないけど……。

とにかく、私たちは彼が身を屈めてくれてから跳び下りた。

トリ〈イカヅチ、ありがとね。〉
イカヅチ〈仲間として、当然だろ?〉
テトラ〈ふたりとも、本当に仲がいいんだね。 ……ええっと、ありがとうございます。 イカヅチさんはこれから幼馴染に会いに行くんだよね?〉
トリ〈……確か、シードさんだっけ?〉

イカヅチさんも、今日という日を楽しみにしてたみたいだね。

イカヅチ〈ああ、そうだ。 ……じゃあ、楽しんでこいよ。〉
テトラ〈イカヅチさんもね。〉

お互いにね!!

私達と二言三言交わした彼は、軽く会釈すると大きな翼を羽ばたかせて飛びたった。

トリ〈…さあテトラ、ワタシ達も行こっか。〉
テトラ〈うん!!〉

そうだね!

私は満面の笑みと共に大きく頷いた。
そして、そのまま森に足を踏み入れた。


…………


数分後 トキワの森 sideテトラ

トリ〈…本当に懐かしいよ……。 やっぱり、いつ来ても変わらないね…。〉

トリ姉は吹き抜ける故郷の風を感じながら、何年かぶりに森の香りを楽しんでいる…。

……私にとってはちょっと複雑だけど……。

テトラ〈だよね。 …でも、何でだろう…。 旅立ってから少ししか経ってないのに何故か凄く懐かしいよ……〉

辛い思いでしかないけど……。

トリ姉に対して、私は辛いことを無理やり頭のどこかに押し留めて、それを表情に出さないように注意しながら呟いた。

……きっと、暗い過去の元凶(あの群れ)も変わらないんだろうな……。

誰かが標的になってないといいけど……。

トリ〈テトラも、そう感じるようになっ……〉
???〈!!? [エーフィ]!? ……まさか……トリ…?〉

!!

私達の後ろから、ひとつの驚きが混ざった声が響いた。

……まさか、こんなに早く会えるなんて思いもしなかったよ!!

トリ・テトラ〈〈ジル兄!! 久しぶり!!〉〉

予想よりも早い再会に、私達姉妹の声が共鳴した。

私達が振り返ると、そこには1匹の[リーフィア]……私より6つ年上の兄が驚きに押しつぶされていた。

…ジル兄、元気だった!!?

私達はたまらず、彼の元に駆け寄った。

ジル〈本当に、トリなんだね!?〉
トリ〈うん!!〉
テトラ〈ジル兄、私が誰か分かる!?〉

ジル兄なら、私の声で分かるよね?

ジル〈!? まさか……、テトラ……?〉
テトラ〈うん!! 私、[ニンフィア]に進化したんだよ!!〉

ジル兄なら気づいてくれるって信じてたよ!!

私は、まだ彼には聞かせたことのない溌剌とした声で答えた。

トリ〈ジル兄、ビックリしたでしょ?〉
ジル〈うん! トリとテトラが揃ってきたのもそうだけど、まさかテトラがここまで変わっているとは思わなかったよ!〉

私がここまで変われたのも、この森から連れ出してくれたライトとシルク、ティルのおかげだよ!!
感謝してもしき………

???〈テメェら、見かけねぇ奴らだな? 俺様に挨拶もしねぇで立ち入るとは、いい度胸してるじゃねぇか!!〉

れ……?

……やっぱり奴も来たね……。

トリ〈…ハァー……。[ビード]…、まだそんな事してたの……?〉

出来れば会いたくない奴ら(虫タイプのポケモンの群れ)……、そのリーダーの[スピアー]が相変わらずのドスの利いた声で言い放った。

トリ姉は、呆れにも似たため息と共に呟いた。

ビート〈!? 俺様の名前を!!? まさか、あの[エーフィ]か!?〉
スピアーA〈挨拶代わりの[乱れ突き]!!〉
トリ・ジル〈〈!!?〉〉

!!?

群れのうちの1匹が、突然トリ姉に襲い掛かってきた。

テトラ〈[ムーンフォース]!! どうせ私の事なんか覚えてないんだろうけど、いきなり攻撃するなんて、相変わらず非常識にも程があるよ!!〉

何でこいつらはいつもこうなの!!?

私は奴らの行動にキレて、触手にフェアリータイプのエネルギーを溜めた。

薄いピンク色のそれは私の元から離れると標的を捉え、一発で撃ち落とした。

スピアーB〈!? お前は、何者だ!?〉

…あんなことをしておいて、覚えていないなんて……。

テトラ〈ちょっと前までこの森であんた達……、ジル兄、トリ姉以外のポケモンのみんなから迫害されていた色違いの[イーブイ]を忘れたなんて……、絶対に言わせないからね!! [フラッシュ]!!

群れ・トリ・ジル〈〈〈〈〈!!?〉〉〉〉〉

……その様子だと、覚えてないんだね……。

今度は光の珠を創りだして、すぐに発光させた。

テトラ〈[スピードスター]!!〉

そして今度は、変換されたエネルギーを蓄えて、それを星型にして放出した。

……複眼を持つあんた達にとって強い光はそうとう辛いだろうね……。

ただでさえ前もまともに見えてないのに必中の技だから、尚更だね……。

……でも、私が13年間受けてきた痛みに比べたら………。

トリ・ジル〈〈テトラ……〉〉

私の猛攻を見たトリ姉とジル兄は、言葉を失っている………。

ジル兄……奴らのせいでこんな再会になって、ごめんね………。

@ ( 2014/05/11(日) 03:02 )