[アンケート結果発表中]絆の軌跡 〜繋がりの導き〜























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第8章 師に仰ぐ恩
63 LS ライトのチカラ
夕方 収録会場 sideライト

ライトE《ハートさん!! 倒れている[ピカチュウ]をお 願いします!》

わたしはどこに飛ばされたか分からないユウキ君 の種族名を、ハートさんに伝えた。

ハート《……[ピカチュウ]ね? ……ライト、分かっ たわ。》

わたしは残った全てのエネルギーを費やして、[大爆発]で気を失ったユウキ君をはじめとしたポケモンの体力を僅かばかりに回復させた。

……やっぱり、数が多いから大変だったよ……。

派生技を使った後であまり残ってなかったのもあるのかもしれないけど、危うく気を失いそうになった……。

もっと練習しておかないと……。

わたしは自分に言い聞かせながら、同じく姿を消しているハートさんに言葉を伝えた。


ユウキ君はハートさんに頼んだから、わたしはシルクを探さないとね…。

あげていた高度をおとしながら、わたしは広いスタジアムに視界を巡らせた。

A・B・C「[マニューラ]、[冷凍パンチ]!」「[連続斬り]!」「[炎の渦]だ!!」

マニューラ〈フッ……[冷凍パンチ]!〉
D〈三匹ならかわせないだろ?[連続斬り]!〉



あれってまさか……。

わたしは三匹のポケモンに囲まれた、あるポケモンを発見した。

リーフ〈くっ……なんでこんな時に限って…。〉

リーフ!!?

わたしが目撃したのは、今まさに丸腰となった[ジャローダ]に三匹のポケモンがトドメをさそうとしている瞬間だった。

……このままだと、リーフまで……。

……よし、こうなったら……、わたしが助けないと!!

パッと見た感じだと周りにわたしの知りあいは誰もいない。

それに、今のわたしは誰一人として目視する事ができない。

……だから、気づかれずに接近できる!!

わたしは意を決して、さらに高度を落とし、低空飛行をする……。


この時、リーフと相手の距離は4m……。

3m……

相手の一匹は手元に氷を纏い、もう一匹は技を発動させるべく、身構えた。

対して、リーフは迎え撃つべく、尻尾に力を蓄え始めた。

一方、風になっているわたしも、彼に狙いを定め、更に加速する。


2m………

相手ポケモン〈〈これで終わりだ!!〉〉

発動させた技を命中させるべく、構える……。

リーフ〈そうはさせない!!〉

彼も、攻撃に備えた。

わたしは腕を広げ、リーフを拾い上げる体勢に入る……。

……どうか、間にあって!!


1m……………

マニューラ・D・リーフ〈くらえ!!〉〈トド……!? 消えた!?〉〉〈!!!〉

よし、間にあった!

わたしは間一髪、リーフを抱え、この戦闘の場から飛び去った。


リーフ〈何!? [サイコキネンシス]!? いや、でも、これは違う………。…なら誰!?〉

……リーフ、驚かせてごめんね。

見えないわたしに抱えられているリーフは、長い身体を風に靡かせながら自問自答を繰り返した。

ライト《リーフ? わたしの事、声でわかる?》
リーフ〈!? この声は……ライト!? ……でも、どこに!?〉

突然の事で珍しく取り乱しているリーフにわたしは優しく語りかけた。

ライト《リーフからは見えないと思うけど、君を抱えてるのはわたし。体に何かが触れてる感覚があるでしょ?》
リーフ〈……確かに感じるけど……。〉
ライト《それが触れてるのがわたし。 種族の能力を使ってるんだよ!》
リーフ〈……っていう事は、[ステルス]?〉

わたしに抱えられてなすがままになっているリーフは、たぶん首を傾げながらわたしに質問した。

……リーフ、あってるよ。

ライト《そうだよ! ……っと。 そんな事より、リーフ、シルクの居場所はわかる!?》



わたしの事なんかより、シルクを捜さないと!

わたしは頭の隅っこに置いていた話題をふっと思い出し、他人から見ると飛んでいる[ジャローダ]に迫った。

リーフ〈! そうだよ! 僕、飛ばされた方向に向かってる最中にバトルを挑まれてて………。……とにかく、そこに向かってる途中だったんだよ!!〉

リーフも、わたしの方に気を取られていたんだね?

………リーフが知ってるなら……、

ライト《…ならリーフ? そこに案内してくれる!? わたしが着いた時にちょうどシルクが飛ばされてるのが見えて………。……とにかく、お願い!!》

……本当はユウキ君の消息も知りたいんだけど……、わたしは一匹しかいない……。

……せめて[影分身]が使えたらいいんだけどね………。

不安と焦りと共に、彼を説き伏せた。

リーフ〈……わかったよ! なら、僕が言う方向にまっすぐ飛んで!〉
ライト《うん!!》

……じゃあリーフ、頼んだよ!!

わたしはリーフの案内を頼りに、更に加速し、目的の彼女の元へと急いだ。


…………

数分後 sideスーナ

スーナ〈オルト、コルド♪ シルクは本当に大事なの!?〉
オルト〈意識ははっきりしているんだが………〉

オルト、意識はあるんだね!!?

ウチは飛ばされたシルクを追いかけて、オルト達と合流した。

……コルドが言うには、ユウキは一応無事みたいだけど、心配だよ……。

コルド……、目立った傷は無いのにしんどそうだから……。

きっと、[心]を共有している影響が出てるのかもしれないね……。

……それからシルク……。

オルト達二匹で何とか介抱してくれてたみたいだけど、シルクの方も状態は悪いみたい……。

……何があったのかは分からないけど、目の焦点が合ってない……。

……それに、明後日の方向をぼんやりと見つめて、言葉にならない何かを辛うじて聞き取れるぐらいの小さな声で呟いている……。

………まさに{心此処に有らず}って感じ…。

普段はしっかりしていて全く取り乱さないのに……、こんなシルク………、はじめて………。

ウチはオルトに迫った。

オルト〈呼びかけても全く反応がない……。……あくまで俺の推測だが、コルドの話を聴く限り、ユウキがシルクを庇ったのかもしれないな…。とばされてきたシルクを勢いからするとおそらくユウキの[気合いパンチ]だろう……。〉
コルド〈…シルクさんに外傷が無いのは……ユウキさんの[加護]で自身の攻撃から護られたからかもしれませんね……。〉

……だから……。

神妙な様子で語るオルトに、顔を歪めて心理的な苦痛に耐えながらコルドが何とか言葉を紡いだ。

???〈そっか……。そういう事だったんだ……。〉
スーナ〈…? フライ、聴いてたんだね?〉

ウチらが話しているところに、1人のトレーナーを乗せたフライと、血相を変えて[ハトーボー]が飛来した。

……?

フライが乗せてきた人はアツシさんって分かったけど、彼女は誰?

誰も連れてなかったよね♪?

コルド〈……ええっと、あなたはカレンさんですね?〉
カレン〈………そう。……うちの事なんかより、シルクの気を何とかして取り戻さんといけやへんやん!〉

……あっ、カレンさんだったんだ……。

オルト〈……そこが肝心だ…。[チカラ]で回復行動に制限があるシルクには他人からの技と道具は効果を発揮しない……。……戦闘によるダメージではないとなると、厄介だ……。〉
スーナ〈……なら、ウチらは一体どうすればいいの!? ウチは昔、シルクに励ましてもらって立ち直れた……。……だから今度はウチらがシルクを助ける番なのに……、何も出来ないなんて……。〉

………シルク達と出逢ったあの時、群れからはぐれた上に翼を痛めたウチに彼女は優しく声をかけてくれた………。

………怪我が治ったけど孤独と絶望に打ちひしがれていたウチに{一緒に旅がしたい!}って誘ってくれたのもシルク……。

当初は暗くて[コアルヒー]だったウチを励まして、親友になってくれたのもシルク………。

シルクが居なかったら今のウチはいないのに………。


何も出来ないなんて………。

ウチの瞳からは、自分の無力さと不甲斐なさで涙がこぼれ落ちた。

オルト〈………スーナ、俺も同じだ。 内気でバトルも弱かった……、{負け犬}同然だった俺に、色々とアドバイスをくれたのもシルクだ……。……俺の前にはいつもシルクがいた………。……シルクは俺の[憧れ]……[尊敬]の対象だ……。優しくて強いシルクに何度も助けられた………。…今まさに俺達がシルクを助ける番なのに何も出来ない……。コルドにフライも同じだろ……?〉
フライ〈……うん。……ボクもそうだよ……。〉
コルド〈…僕もです……。〉

みんな、同じ気持ち……。

………だけど、何も出来ない………。

ウチらがシルクを支える番なのに………。

???〈……みんな、話は聴かせてもらったよ。〉

………?

今度は誰……?

失意のどん底に沈み込んでいるこの場に、また別の声がした。

オルト〈……!? リーフ!!?〉
スーナ〈えっ!? 何でリーフが飛んでるの!!?〉
フライ〈嘘でしょ!?〉
カレン〈[ジャローダ]って、純粋な草タイプやろ!!?〉
コルド〈そのはずです!!〉

その方に振り返ると…………、!?何で!!?

そこには有り得ない光景があった。

……純粋な草タイプのはずのリーフが、風をきって滑空している………。

……夢じゃないよね!!?

摩訶不思議な彼を見た誰もが騒然となった。

飛んでいた彼は、ゆっくりと地面に降りたった。

……そんな彼は、誰もいない斜め右上を見ながら、

リーフ〈ありがとね。 …〉

こう言った。

……でも、なぜ!?

失意に捕らわれていたウチらは、今度は疑問の渦に呑まれた。

リーフ〈…………うん、そうだね。……ならライト、頼ん…〉
スーナ〈リーフ!? 今、ライトって言……!?〉
ライト〈うん! 確かに言ったよ!〉

!!!

どういう事!?

リーフが明後日の方向に話しかけたかと思うと、その先に突然光が集まり始めた。

一瞬強く発光したかと思うと、突然一匹のポケモンが姿を現した。

………浮遊している赤と白の伝説の種族……[ラティアス]……。

ウチらがよく知っているライトがいきなり出現した。

……全く状況が掴めないんだけど…。

オルト〈ライト!?一体どう……〉
ライト〈わたしの事は後でいくらでも話すから後にして!!〉

真相を確かめようとしたオルトに、ライトは言葉を遮って強く言い放った。


…………

sideライト

ライト〈わたしの事は後でいくらでも話すから後にして!!〉

血相を変えて問いただしてきたオルトの言葉を遮った。

わたしの事なんかより、今はシルクの方が大事だよ!!

ライト〈[サイコキネンシス]! …ティル、テトラ、ラグナ、手伝って!!〉

[派生技]を使った後でわずかに残ったエネルギーを何とかかき集めて、わたしはボールで待機するメンバーをボールから出した。

テトラ〈もちろんだよ!〉
ラグナ〈当たり前だ!〉
ティル〈俺達は[テレパシー]で伝えてくれた通りにすればいいんだよね?〉
ライト〈うん!………じゃあ、いくよ!〉

三匹とも、大きく頷いてくれた。

突然の事で慌てふためくオルト達を横目に、わたしはシルクの目の前まで移動した。


…………まさか、[ラティアス]として[チカラ]を最初に使うのがシルクとはね………。

わたしは自分の[チカラ]を発動させるべく、目を閉じて意識を集中させた。

……まず、わたしが使える技のうちの1つ、[癒やしの鈴]を元にイメージを膨らませる……。

次に、手元にそのイメージを元に技とは違ったエネルギーを蓄積させる……。

ライト〈[癒やしの澄心(すず)]……。〉

すると、わたしの手元に純白は球体が生成された。

……[ミストボール]にも似たその球では、ダメージを与える事は出来ない………。

能力値を変化させる事も出来ない………。

………これは、[技]じゃないから………。

わたしによって造られた純白の球は、まるでシルクに吸い寄せられるようにひとりでに動き出した。

一同〈!!?〉

その球は、シルクの身体に吸収され、消滅した。

それをきっかけに、シルクの呟きはピタリと止み、彼女の目はゆっくりと閉じられた。

ライト〈…………これで………たぶん……大丈夫……。〉

………何とか………なったかな……?

わたしはシルクの状況を確認すると、急に力が抜けて地についた。

………これは技のエネルギーじゃなくて自分のスタミナを使って発動させる[チカラ]………。

{使った対象の[心]を癒やす}……。

わたし達、[ラティアス]が持つ特殊能力の1つ……。

[伝説]らしい[チカラ]だね……。

ハートさんが言うには、{本当は[ミストボール]を利用するんだけど、[癒やしの鈴]の方が対象になる数は少なくなるけど効果が大きくなる}らしいんだよ。

[ミストボール]の方は意識がある人、ポケモンにしか使えないけど、[癒やしの鈴]ならシルクみたいな場合でも使えるんだって。


………言い忘れたけど、この[チカラ]の対象はその[代償]として半日間の深い眠りに堕ちる……。

使ったわたしも、半日間技が使えなくなる……。

それと同時に、一時間身動きがとれなくなる…。

………だから、むやみに使えないね……。

わたしの[チカラ]の[代償]によって、シルクからは静かな寝息が聞こえ始めた。

………上手く、いったね………、この様子なら………。

わたしはようやく、ホッと肩をなで下ろした。

■筆者メッセージ
またまた、サイドストーリーを検討中です。

今回も、ポケダンの予定です。
@ ( 2014/03/19(水) 02:43 )