[アンケート結果発表中]絆の軌跡 〜繋がりの導き〜 - 第7章ー甲 志有りし夢想、現実に賜ゆ。
39 L 争乱に咲く花
夕方 ポケモンセンター sideティル

ティル〈……ライト、まだ起きないね。〉
テトラ〈久しぶりに全力で戦ったみたいだから、仕方ないんじゃない?〉

俺は疲れ果てて眠ってるパートナーを心配しながら、旅の相棒と言葉を交わした。

……ライトもツバキさんも、凄く強かったよ。

技の威力とかスピードとか……、……とにかく目で追うのが精一杯だったよ。

……あっ、そうそう。

バトルの結果は引き分け。

たぶん、ライトの[ミストボール]とツバキさんの[ドラゴンクロー]がほぼ同時に命中していたかな?

最初に力尽きたのはライトだったんだけど、勢いが収まらなくて、ぶつかった衝撃でツバキさんも倒れたんだよ。

………本当に、一瞬だったよ。

………で、その後なんだけど、ユウカさんに頼んでライトを回復してもらったんだ。

流石に1つ星となると、色んな道具を持ってるんだね。

野生の時には見たことがなかった黄色い欠片みたいな物とか、いかにも高そうな傷薬とか……。

一言で言うと、何かすごかったね。

……で、回復してもらってからは、すぐにポケモンセンター………、俺達はボールの中だったからショウタ君から聞いた話なんだけど……、ユウカさんの名義で部屋を予約して、今、そこにいるんだよ。

………あっ、言い忘れてたけど、一応野生扱いのライトは[ボスゴドラ]のクロム君に背負ってもらってたみたい…。

[ラティアス]の姿のライトは大体140cmぐらい……、一番大きいクロム君は2mぐらい……かな?

俺から見ると……。

ラグナ〈……今日は何から何まですまないな。〉
ニトル〈だって、前からのつきあいだし、友達だから当然でしょ?〉

ラグナは申し訳無さそうに頭を下げた。

ニトル君は{気にしないで!}って感じで、にっこりと笑いながら言った。

………忘れかけてたけど、あんなに強いみんなも、俺達と殆ど年が変わらないんだよね……。

ツバキさんが15、クロム君が16、ニトル君が14、フィルト君が16だったかな?

やっぱり、旅してると強くなれるんだね!!

……俺達も頑張らないと!

ユウカ「………でもまさか[ポッチャマ]の君が[テレパシー]を使えるなんて、本当にビックリしたよ。」
ショウタ《この身体の持ち主のおかげなんだよ。》

元々[ミュウ]………いや、人間だったね………。

姿を変えているショウタ君は、俺達の頭の中に直接語りかけた。

ライトと同じで、リヴさん、使えたんだね?

ニトル〈えっ!? 身体の持ち主って、どういう事!?〉

……ニトル君、驚きすぎじゃない?

凄い顔になってるよ?

テトラ〈ちょっと訳ありでね。………ショウタ君? ライトの友達だって言うこのみんなになら、言ってもいいんじゃない?〉
ティル〈慎重なテトラが言うんなら、いいと思うよ。〉

出逢った時みたいに極端に、って程ではないけど、こう見えてテトラって結構用心深いんだよ……。

………俺はみんなに{焦りすぎ}ってよく言われるから、正反対だね……自覚、ないけど……。

俺って、そんなにせっかちなのかな………?

コロナ〈ショウタ、信じてもいいと思うよ?〉
ショウタ〈………うん、そうだね。…うっかり口を滑らせちゃったしね……。〉

ショウタ君は苦笑いを浮かべながら呟いた。


…………と、ここからはショウタ君の生い立ちを交えて、彼の事を話したんだよ。

途中でライトも目を覚ましたから、通訳を頼みながらね!

で、話し終わったらもう日が暮れていて、遅めの夜ご飯にしたんだよ。

料金は…………ううんと、特……何とかって言ってたかな?

そういうのはよく分からないけど、ユウカさんのお陰でタダで食べれたんだよ。

…………あっ、言い忘れてたけど、明日はココのジムに挑戦するつもりなんだよ!

今日は沢山戦って、新しい技も使えるようになったんだよ!!

それに、ここは草タイプみたいだから、俺の炎なら楽勝だよ!!

………まあ、見てて!




………

午前 タマムシジム sideライト

………ええっと、昨日ツバキと闘った後の事はティルから聞いてるよね?

引き分けだったけど、ちょっと頑張りすぎちゃったかな?

確か3時ぐらいに戦っていたと思うんだけど、目が覚めたらセンターの部屋の中にいるし、外が暗くなってるしで…本当にビックリしたよ!

………と、昨日の事はこのくらいにして、そろそろ話に戻らないとね!

わたし達は予定通りに、今日はジムに挑戦しに来たんだよ。

………もちろん、ショウタ君とコロナちゃん以外はボールの中。

……あと、今日は試しにショウタ君は[ミュウ]の姿なんだけど……、何も騒がれる事もなく、すんなりとここまで来れたんだよ。

………幻と言われているだけあって、やっぱり殆ど知られてないんだね?

…………うん、きっとそうだよ!

………で、今日はユウカちゃんも一緒。

ユウカちゃん、リーグを制覇してからは画家を目指すために色んな景色とか様子とかをスケッチしてるんだって!

昨日わたし達を描いてもらったんだけど、凄く上手かったんだよ!!

この事はツバキでもリーグを制覇するまでは知らなかったんだって!

………あっ、また話が逸れちゃったね。

………じゃあ、今度こそ………。

ライト「……じゃあ、お願いします!」
エリカ「はい。タマムシシティージムリーダー、エリカが丁重にお相手いたしますわ。」

着物を着て、清楚な感じのジムリーダー、エリカさんが、わたしの宣言に丁寧に答えた。

そして、お互いが一つ目のボールに手をかけ……、

ライト・エリカ「いくよ!!」「いきますわよ!!」

一番手のメンバーを出した。

……みんな、勝つよ!!

………

sideラグナ

ライト・エリカ「ラグナ、お願い!!」「[ラフレシア]、いきますよ!!」

ラグナ・ラフレシア〈ああ、任せな。〉〈……フッ、この私を楽しませてくれる事を期待するわ。〉

俺は今回の初戦を任され、勇み立ってフィールドに着地した。

………相手は見たところ……、プライドが高い[ラフレシア]……。

俺の経験上、こういう奴は自分の強さに自惚れている奴が多い。

……言い換えれば、一度貶されるとムキになりやすい傾向がある。

技でなくて言葉で戦っている俺にとっては、やりやすい相手だな。

………奴の態度でもわかるだろ?

あいつ、俺の事を鼻で笑った……。

……だが、俺も負けてない。

俺の特性は[威嚇]、奴の気づかぬ間に攻撃力を下げられる。

………心理戦らしいな。

エリカ「[マジカルリーフ]!」
ライト「[悪の波動]で迎え撃って!」
ラフレシア〈……さあ、この私の攻撃をかわせるかしら? [マジカルリーフ]!〉
ラグナ〈………容易い事だ……。[悪の波動]!〉

奴は俺に挑発しながら、どこからか鋭利な葉を出現させる。

対して、俺は黒いイメージで身体を満たし、一気に放出する。

………ついでに、本当の[挑発]というモノを見せてやろうか?

両者の技は丁度中間でぶつかり、衝撃と共に雲散した。

ラフレシア〈あら、どうやらそれなりに腕はあるようね?〉

奴はひねくれた様子で眉(?)を吊り上げた。

ラグナ〈所詮、篭もりっ放しのお前にはこの位で十分だ。…〉

売り言葉に買い言葉。

俺はさりげなく奴に言葉の罠を仕掛けた。

ラグナ〈ライト、アレで行こうと思っているが、どうだ?〉

俺は奴に意識を向けながらも、横目でチラッとライトに伺った。

ライト《言葉で攻めるんだね?うん、わかったよ!……だから、様子を見て[威張る]と[挑発]を使いながら「》[[噛み砕く]で攻めるよ!」

俺の脳内に、ライトの指示が響く……。

エリカ「光を溜めてください!」
ラフレシア〈一気にケリをつけてあげるわ!〉

………おそらく、[ソーラービーム]だな?

………これは溜めに時間がかかる技。

その隙に……。

俺は正面に標的を捉え、そのまま接近する。

ラフレシア〈あら、この私に対して正面から突っ込むなんて、幼稚ね?〉
ラグナ〈お前こそ、怖じ気づいで硬直しているだけだろ?………さあ、来いよ?俺に攻撃してみろよ!〉

俺は、奴の高飛車な性格を利用して、陥れるように[挑発]した。

………奴は草タイプ。

[光合成]を使える可能性が高い。

それに、[痺れ粉]に[眠り粉]………。

これらを使われたら厄介だ。

俺は気づかれないように技を発動させ、相手の攻撃以外の技を封じた。

ラグナ〈[噛み砕く]!〉
ラフレシア〈くっ! ……なかなかの威力ね?〉

俺は溜めで動けない奴に、思いっきり噛みついた。

そして、すぐに距離をとる。

………もちろん、次の技をかわすためだ。

エリカ・ライト「[ソーラービーム]!」《くるよ!!左にかわして!!》

ラフレシア・ラグナ〈[ソーラービーム]!〉〈当たり前だ!!〉

奴は頭の大きな花の部分から、光を凝縮させた光線を放った。

………甘いな。

威力は高いが、当たらなければ何の問題もない。

俺は奴が構えるのと同時に左に跳んだ。

案の定、俺がいた場所を光速で光が駆け抜ける。

エリカ「かわされた!?」

相手は、俺の行動に驚いた。

ラフレシア〈外れた!?〉
ラグナ〈フッ、お前がその程度の奴だって事だ。そんな技では俺には勝てないぞ!………もう決着はついているがな!〉

慌てふためく奴に、俺は[威張]った素振りを見せた。

ラフレシア〈一回かわしたからと言ってその態度………、腹立つわね!!……いいわ!この私が全力で相手してあげるわ!!〉

………よし、作戦成功だ!

奴は俺に対する怒りで我を忘れている!

……焦点も合っていない……、つまり、混乱状態になったという訳だ。

ラフレシア〈[マジカルリーフ]!〉
エリカ「!? ラフレシア!?」

奴の奇怪な行動に、相手も慌て始めた。

ライト「ラグナ、一気にいくよ!![悪の波動]から[噛み砕く]!!」
ラグナ〈勝負あったな。[悪の波動]!〉

奴は定まらない狙いで明後日の方向に草を飛ばした。

………こうなれば、かわすのは簡単だな。

俺はすんなりとそれらをかわし、黒いオーラを放出した。

ラフレシア〈くっ!!そこから!?…〉

エリカ・ラフレシア「[光合s………]……。」〈[マジカルリーフ]!!〉

あいつ………完全に指示が聞こえてないな。

奴はトレーナーの指示を無視して、同じ技で向かってきた。

俺はかわしながら接近し………、

ラグナ〈これで最後だ!![噛み砕く]!!〉

斜め上に跳び、奴の種族の急所である頭頂部に思いっきり噛みついた。

ラフレシア〈………っ!!〉
ライト「最後に至近距離から[悪の波動]!!」

………ジムのポケモンなだけはあるな。

一発では倒れなかったか……。

ラグナ〈[悪の波動]!!〉

すぐに離して、だめ押しの波動をお見舞いした。

ラフレシア〈………くっ………この私が…………やられるなんて………。〉

プライドの塊の相手は、悔しそうに言葉を吐き捨てながら崩れ落ちた。

………よし。

………俺の出番は終わりだな?

………ティル、あとは頼んだぞ。

俺はライトの言葉を逃さずに聞き取り、後ろに下がった。

………

sideティル

ライト「ティル、このままの流れでいくよ!!」
ティル〈もちろん! ライト、指示よろしくね!〉

ラグナ、あとは俺に任せて!

俺は自信満々にボールから飛びだした。

相手は草タイプ……。

炎タイプの俺にとってはもう勝ったも同然だよ!!

エリカ「[キレイハナ]、出番です!」
キレイハナ〈はいは〜い。いつも通りですね〜♪〉

相手は鼻歌混じりに飛びだした………ハナだけに………。

…………あっ、今のは無視してくれる?

…………気を取りなおして………、俺はバトルに備えて身構えた。

ライト・エリカ「[ニトロチャージ]で攻めるよ!!」「接近して痺れ粉です!!」

ティル・キレイハナ〈いきなり攻めるんだね?うん、任せて!![ニトロチャージ]!!〉〈OK〜♪[痺れ粉]〜♪〉

俺は一目散に走りだし、同時に炎を纏った。

対して、相手は風に乗せて黄色い粉塵をまき散らした。

………でも、無駄だったね?

黄色いソレは俺の炎に触れると、焦げ臭い臭いと共に燃焼した。

……それに、素速さ重視の俺にとってこの技は好都合。

素速さを上げてくれるもんね!!

エリカ「かわして[葉っぱカッター]です!」

………まっ、かわすの当然だね。

加速しながら接近する俺を、相手は軽快なステップでかわした。

キレイハナ・ライト〈魅せてあげるわ〜♪[葉っぱカッター]!〉「[サイケ光線]で撃ち落として!!」

ティル〈って事は、何か作戦があるんだね?〉
ライト《うん! あとで説明するよ!》
ティル〈[サイケ光線]!!〉

……なら、その時は頼んだよ!!

俺は横目でライトをチラッと見て、大きく頷いた。

相手はツバキさんほどではないけど、沢山の葉っぱを勢いよく放出した。

そしてそれは、俺の超属性を秘めた波で撃ち落とされた。

ライト《ティル、このまま草を落とし続けて!》

………って事は、[サイケ光線]のままでいいんだね?

ティル・エリカ〈うん!〉「光を溜めてください!」

キレイハナ〈りょうか〜い♪〉
ティル〈[サイケ光線]!〉

光を………溜める?

……って事は、[ソーラービーム]?

なら、距離をとったほうがいいね?

俺はライトに指示をもらう前に、自主的に相手との距離を離した。

これくらい距離があれば、対応できるよね?

ライト「そのまま走り続けて!」

ティル・エリカ〈うん!〉「[ソーラービーム]!」

キレイハナ〈さあ、かわせるかな〜♪[ソーラービーム]!〉
ティル〈!!?読まれた!?〉

!?

相手は俺の動きを予想して、俺が向かう先に草の光を放った。

……当然、いきなりでかわしきれず……、

ティル〈っく!〉

俺の尻尾を僅かに掠めた。

……俺の方が相性的に有利だけど、掠っただけでこの威力なんて、凄いね。

ライト《ティル、ここから作戦に移るよ!》
ティル〈作戦? うん、わかったよ!〉

って事は、様子見はここまでだね?

ライト《まずはさっきの葉っぱを燃やして、それから炎で相手を取り囲んで!》

……あっ、だから足元にわざと草をまき散らしたんだね?

ティル〈うん!じゃあまずは……〉

ライト・ティル「〈[炎の渦]!!〉」

俺とライトの声が見事にシンクロした。

エリカ「!? 兎に角かわして下さい!!」

俺は口元で火球を生成して、一気に放出した。

キレイハナ〈!?〉

するとそれは大きく広がり、あっという間に相手を取り囲んだ。

……実戦で使うのは初めてだけど、上手く行ってよかったよ。

相手にまとわりついた俺の炎はたちどころに身体全体を取り囲み、じわじわと体力を削っていく……。

……と同時に、その炎の一部が足元の草に引火して、炎上する。

……この状況、草タイプにとっては辛いだろうね……。

足元も周りも完全に火の海………、逃げ場がないよ。

ライト「ティル、ここから一気にいくよ!![ニトロチャージ]から[火の粉]!!」
ティル〈もちろん!![ニトロチャージ]!!〉

ここまで来たら、もう勝ったも同然だね?

俺は勝利への期待を確信に変えながら、燃え盛る炎となって突進した。

キレイハナ〈………っ!!!〉
ティル〈ダメ押しで[火の粉]!!〉

そして、一番慣れ親しんでいる炎でトドメ。

………俺の予想通り、相手は声をあげる間もなく崩れ落ちた。


………まっ、楽勝だね!

@ ( 2014/01/30(木) 15:29 )