33 L祭宴
午前 ヤマブキシティー sideライト
ライト「………なら、また別行動だね?」
シルク〈ええ、そうね。〉
トリ〈[タマムシシティー]は西、[クチバシティー]は南だしね。〉
わたし達は、それぞれに別々の方へと歩き始めた。
わたし達はここから一番近い街……、ジムがある[タマムシシティー]へ。
シルクは、一度全員で情報を交換するために[クチバシティー]へ。
………そして、シルクと別の[エーフィ]………、テトラのお姉さんのトリさんは街の東へ………。
……でも、まさかテトラのお姉ちゃんに会えるとは思わなかったよ。
トレーナーのポケモンって言ってたから、またどこかで会えるかもしれないね。
テトラも、嬉しそうだったし!
トリ〈………あっ、そうだ! ライトさん、ちょっと待ってもらえますか?〉
ライト「えっ?」
テトラ〈? トリ姉、どうしたの?〉
ん? 何だろう……?
何歩か歩いた所で、彼女は何かを思い出してわたしを呼び止めた。
トリ〈[タマムシシティー]で今、ちょっとしたイベントをやってるんですよ!〉
ティル〈イベント? 何かの安売りセールとか?〉
ラグナ〈いや、それは無いと思うが………。〉
ライト「……だよね。わたし、主婦じゃなくてトレーナーだし……。」
イベント?
わたしは首を傾げながら呟いた。
みんなも同じ事を思ったみたいで、わたしと同じように疑問を抱いた。
ショウタ〈……そういえば、この時期って毎年そこでフリーバトル大会があったっけ?〉
コロナ〈確か去年はスクールで行ったよね?〉
トリ〈流石はこの地方の出身ですね! この辺では結構有名なんですよ!〉
三匹は、揚々とした様子……というより、何か{凄く楽しみ}って感じで盛りあがった。
………へぇー、バトル大会かー。
楽しs…………
ティル〈バトルの大会なんだね!?ライト、さっそく行こうよ!!〉
テトラ〈楽しそうだね!〉
……oう………。
わたしの言葉を遮って、ふたり………特にティルが今にも駆けだしそうな勢いで言い放った。
……私も、同じだよ!
ラグナ〈予行演習になるから、最適だな。〉
ライト「………なら、聞くまでもないね。ショウタ君にコロナちゃんもいいよね?」
ショウタ・コロナ〈〈うん!!〉〉
………決まりだね!
テトラ〈トリ姉、いい情報ありがとね!〉
トリ〈うん、どうも。 楽しんできてね!〉
トリさんは、満面の笑みで、楽しそうに言った。
………知ってるって事は、行ったことがあるのかもしれないね。
テトラ〈うん!!〉
テトラも、負けじと笑い返した。
…………じゃあ、行こう、[タマムシシティー]へ!!
…………
正午 タマムシシティー sideライト
ショウタ〈…やっぱり、いつ来ても賑やかだね。〉
コロナ〈うん。[商業のタマムシ]というのも伊達じゃないよ!〉
上がり気味のテンションで、[ロコン]のコロナちゃんと[ポッチャマ]が楽しそうに言った。
………あっ、そうそう。
気づいているかもしれないけど、この[ポッチャマ]はショウタ君。
[ミュウ]の姿じゃない理由は話さなくてもわかるよね?
ショウタ君、いつの間にか姿を変えるコツを掴んだみたいで、色んな種族を試しているんだよ。
ここに来るまでの道中でも、[ニドラン]とか[シキジカ]とか………。
とにかく、闘う度に姿を変えてたんだよ。
ショウタ君は元々トレーナーだし、普通の人では体験出来ない事が出来るもんね!
………わたしも、初めて人間に姿を変えれるようになった時は嬉しかったから、きっと同じ気持ちかもしれないよ。
……うん、きつとそうだね!
ラグナ〈組織にいた頃に聞いた話だが、[ヤマブキシティー]は経済、[クチバシティー]は外交を担っているらしい………。あながち間違いではないかもしれないな。〉
ショウタ〈あと、[シオンタウン]は工業、[ハナダシティー]は水産業が発達してるんだよ。〉
へぇー。
……やっぱり、街毎に特色が違うんだね?
ライト「[カントー地方]は中心部が発展してるって聞いてたけど、本当だったんだね……。」
………納得。
ティル〈………そういえば、イベントに参加するのに申し込みとかいるのかな?〉
……ティルは街の事を話すよりも、バトルを早くしたいみたい………。
相変わらずだけど、そんなに焦らなくてもバトルは逃げていかないよ?
わたしは心の中だけでせっかちなパートナーに問いかけた。
ショウタ〈確か、何もいらなかったと思うよ。〉
ティル〈なら、さっそくバトルを挑もうよ!!〉
ライト「…………うん、そうだね。」
………問いかけるまでもなかったね。
すぐに参加出来るみたいだし。
テトラ〈ねえ?折角だから誰が一番倒せるか勝負しない?〉
ショウタ〈うん、いいよ!〉
ティル〈俺、燃えてきたよ!〉
コロナ〈イベントなんだから、楽しまないとね!〉
年があまりかわらない四匹は、テトラの発言と共に凄く盛りあがった。
ラグナ〈そういえば、俺にも無邪気な時代があったな………。〉
ライト「今まで気づかなかったけど、わたし達の中ではラグナだけが大人だったね?」
最年少のテトラとコロナちゃんが13、ティルとショウタ君が14。
わたしが18でラグナが26だから………、結構離れてるね…。
ラグナ〈言われてみれば、そうだな。〉
ラグナは、何かを懐かしみながら呟いた。
………それしても、無邪気なラグナか…………。
……どんな感じだったんだろうね?
全く想像出来ないよ。
………でも、もしラグナがスーナみたいな性格だったら………
ライト「……
いや、ないね………。」
ラグナ〈ん?何か言ったか?〉
ライト「ううん、何も。」
………ちょっと、可笑しいかも。
わたしは思わず吹き出しそうになった。
……だって、真面目でしっかりしてるラグナがはしゃいでいるんだよ?
面白くない?
ティル〈ライト? 何か笑ってるけど、どうかしたの?〉
ライト「えっ? ちょっと想像しちゃってね。……プッ……。」
やっぱり、耐えられない!
横目でラグナを見たら、とうとう吹き出しちゃった。
ライト以外〈〈〈〈〈??〉〉〉〉〉
わたしの不可解な行動で、辺りは疑問符で満たされた。