2 S おしゃれな化学者
昼前 シロガネ山付近 sideシルク
シルク〈これで最後ね。[シャドーボール]!!〉
私は口元にゴムボールぐらいの大きさまでエネルギーを蓄積させ、一気に放出した。
A〈っぐ!!〉
B「強すぎる………。本当に……野生……?」
漆黒の弾は一直線に飛んでいき、相手のポケモンに命中した。
あいにく、私はトレーナー……しかも3つの星を持っている人物のエース。
簡単にはダメージはだけでなくて、触れる事さえ不可能よ。
私はベテランのトレーナーのメンバー全員を難なく倒した。
B「ありがとう……。ゆっくり休んでて。流石[シロガネ山]………。ここまで強いとは……。」
トレーナーは自身のメンバーを回復させるために、ポケモンセンターへと急いだ。
シルク〈………何か有るかと思って[シロガネ山]に挑んだけど、結局何もなかったわね……。……闘って気分転換出来たから良いけど……。〉
私は右耳に着けている青い鉱石の耳飾りについた汚れを右前脚で落としながら呟いた。
そこに山から吹き下ろした風が駆け抜け、首に着けている水色のスカーフを靡かせる……。
………もう知っているだろうけど、一応自己紹介しないといけないわね。
私は[エーフィ]のシルク。一応、元考古学者。
今は化学者だけど、趣味の一環で調査をしているのよ。
そしてもう一つ、私には裏の顔があるのよ。
私はイッシュ地方の[英雄伝説]の第18代目、[絆の従者]。
他のポケモンには無い能力を持っているわ。
………逆に出来ない事もあるけど………。
その事はまた機会があったら説明するわね。
シルク〈………さあ、気を取り直して、[トキワシティー]に行きましょっか。〉
私は次なる目的のため、最寄りの町を目指して歩き始めた。
………陽の傾きからすると、もうすぐ昼かしら?
案外、早く調査が終わっ………
???〈あっ、シルクさん、お久しぶりです。〉
……たわ………?
私は声に驚き、その方に振り返った。
そこには一匹の黄緑色で小さなポケモン……、
シルク〈シードさん!?この時代に戻って来たのね?〉
シード〈はい。知り合いに会ってきたところなんです。〉
嘗て運命的な出逢いをした[セレビィ]………、シードさんが満面の笑みを浮かべながら飛来した。
本当に、久しぶりね!!
シルク〈知り合いにね……。シードさんの知り合いとなると、伝説のポケモンかしら?〉
シード〈はい。[リヴ]という名前のポケモンです。旅をしているシルクさんも、運が良ければ会えるかもしれませんよ!〉
彼は揚々と言った。
運が良ければね……。
一度会ってみたいわね。
シード〈あっ、そうだ。ラテ君とベリーさん、遂にギルドを卒業したんですよ!!〉
シルク〈……とうとう、卒業したのね。……別れたとはいえ、また会いたくなったわ。ウォルタ君にハク達も元気かしら……。〉
私は別の友人達の顔を思い浮かべ、懐かしんだ。
彼らの事は、“絆の軌跡〜過去と未来の交錯〜”を読んだ事がある人は知っているわよね?
今思うと、向こうの時代での生活も、楽しかったわ。
シード〈何事もなく、みんな元気です!それに、チェリーもいるんですよ!!〉
シルク〈チェリーも!? という事は、消滅を免れたのね!!〉
シード〈はい!シロさんの計らいでなんとかなったんです!〉
チェリーも!?
なら尚更会いたいわ!
あの時にした約束も、叶えられなかったし。
シルク〈シロさんが? 〉
シード〈もうその時は本当に嬉しかったです! あと、チェリーから聞いた話ですけど、ラテ君とベリーさんはこっちの時代に遊びに来る計画をしているみたいですよ!〉
えっ!?そうなの??
シルク〈シードさん、それって本当なの!?〉
私はあまりの事にテンションが上がりながらも、後遺症が残る喉が痛まないように注意しながら声を張り上げた。
案外、会える日が近いかもしれないわね!!
シード〈本当です! その時はぼくのほうで時間は調整します。〉
シルク〈わかったわ。なら、[ハナダシティー]に来てもらってもいいかしら?〉
私はテンションをそのままに、こう提案した。
私はその先の場所にちょっとした用事があるのよ。
シード〈[ハナダシティー]ですね!了解です! ではそこで会いましょう!〉
シルク〈ええ!!〉
シードさん、頼んだわよ!!
私は心を踊らせながら、シードさんと別れた。
本当に、楽しみだわ!!
続く………